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12月17日は「未病の日」人生100歳時代健康に生き抜くための未病ケアとは?

12月17日は「未病の日」人生100歳時代健康に生き抜くための未病ケアとは?

2017年12月17日(日)、
日本医科大学同窓会館 橘桜会館で、
「未病の日」制定記念フォーラムが
開催されました。

公開フォーラムには約200名の読者が参加し、会場は熱気に包まれました。公益社団法人日本医師会会長の横倉義武氏が「健康を自己管理し、長寿を楽しんでいただきたい」とメッセージを寄せ、日本未病システム学会の福生吉裕理事長が基調講演を行いました。続いて、同学会で活躍する4人の専門家が、それぞれの立場で未病についてゲスト講演。その採録を紹介します。

未病とは?

健康と病気の間を指す概念。病気に至る前、食事や運動などの生活習慣に気をつけることで、自分で病気を防ぐという考え方。江戸時代、貝原益軒は「養生訓」で、医者に頼らず自分で養生することを提唱。その考え方は現代の未病に通じる。

[主催]21世紀医療課題委員会 [共催]一般社団法人 日本未病システム学会、一般社団法人 日本家族計画協会、スマートウエルネスコミュニティ協議会 [後援]公益社団法人 日本医師会

健康と病気との間。未病とは何か?

100歳以上の人口は、厚生労働省の最新データによると6万7000人。2035年には50万人に達するといわれています。この100歳時代を乗り切るためには、①健康寿命を延ばす、②経済的安定を確保する、③社会的・家庭的な交流を大事にしておく、そして、④次の世代になるべくツケを回さない、という4つの心構えが必要です。このうち1番目と4番目について、活用していただきたいのが「未病」です。
未病とは、健康と病気との間に位置する概念。まだ病気になる前だから、自分で身体を守ることができます。未病に対処するのは、基本は医者ではなく皆さん自身なのです。では、どうやったら健康を自己管理できるのでしょうか。それを研究するため、24年前に立ち上げられたのが日本未病システム学会です。

自分で養生する、現代の未病

京都の仁和寺に、2000年前に中国で書かれた医学書「黄帝内経(こうていだいきょう)」の写本が残っています。そこに「聖人は已病を治さず未病を治す」とあります。これが、歴史に残る最初の未病です。つまり、聖人=名医は、病気にならないうちに病気を治すということ。だから、この頃の未病(古典未病)は、名医のみが行える秘伝でした。これに対して、現代の未病は、私たちひとりひとりが自分の身体の医者になろうというものです。
江戸時代の本草学者、貝原益軒は「養生訓」の中で、まだ病がおこらないうちに腹八分の食事や軽い運動などに気をつければ、病には至らないと書いています。以前は名医に任せていたものを、自分で養生しようという考えで、現代の未病に通じます。日本未病システム学会では、この益軒先生にちなみ、彼の誕生日である12月17日を「未病の日」と制定。この記念フォーラムの開催となりました。

体調を知ることで、健康寿命を延ばす

未病はそれぞれの病気の数ほどあります。現代では自覚症状がなく、痛くもかゆくもなくても検査機器によって異常を知ることができます。例えば無症候性脳梗塞や脂肪肝などです。これを西洋医学的未病と言います。また、冷えや肩こりなどの自覚症状はあるが今の検査では中々分からない。これを東洋医学的未病と言います。自覚症状もあり、検査でも異常が見つかるのが病気です。自覚もなく、検査しても異常がない場合、これは健康です。いずれにしても、未病はどこかで食い止めなければなりません。
そこで、自分の未病を見分けるサインをいくつかご紹介しましょう。例えば、目の白い部分が黄色い場合は肝臓や胆のうに障害が及んでいます。いずれ全身が黄色くなってくる。眉毛の外側が薄いときは甲状腺、頬が赤い若い女性は膠原病の疑いがあるかもしれません。また、爪がぼろぼろなのは貧血、手のひらの小指側が赤いのはお酒の飲み過ぎかも、指先が太いのは呼吸器疾患に異常があるかも…。このようにいろいろなサインがありますので、自分の身体に鋭くなっておくことが未病ケアの第一歩です。気がついたら早めに病院で診てもらうことをお勧めします。
現在、私たちが未病に気をつけられるのは、平和で豊穣で長生きできる世界があるからこそです。戦争、飢餓、貧困では未病なんて言ってられません。未病は文化なのです。
これからは、スマホで健康管理をしたり、AI(人工頭脳)を利用したりと、未病イノベーションが進んでいきます。そうやって積極的に自分の体調を把握し、健康寿命を延ばすことが、次の世代への贈り物となるのです。

フレイルとは、虚弱な状態のこと

日本人が寝たきりになる原因でいちばん多いのは脳卒中で、次が虚弱です。3位は転倒による骨折、4位が認知症で、これら上位4つで寝たきりの人の7割を占めています。タイトルにもあるフレイルとは、寝たきりの2番目の原因である「虚弱」という意味です。体の衰えだけでなく、うつなどの精神的な虚弱、独居や貧困などの社会的な虚弱などもあわせてフレイルと呼びますが、今日は、特に身体的フレイルについてお話しします。
足腰が弱くなって歩けなくなるのは、歳のせいだと思っていませんか。実は、そうではありません。フレイルは病的な状態であり、治療ができるし、予防もできる。健康な状態から要介護の状態へ至るには、プレフレイル(フレイルの前段階)とフレイルを経ますが、この間に適切な治療を受ければ元の状態に戻れます。逆にいえば、この時期にフレイルを放置すると介護が必要な状態になる。そういう意味で、フレイルは要介護状態の未病といえるのです。

サルコペニアの見分け方

身体的フレイルの中心的な状態をサルコペニアと言います。その定義は、意図しない体重減少(1年に4.5kg以上)、疲れやすい、筋力(握力)が落ちる、歩く速度が遅い、身体活動が低い、の5つ。このうち2つを満たす場合はプレフレイル、3つ以上あればフレイルと診断します。
日本人では、70歳を越えた頃からサルコペニアが増え始めます。最初は女性が多く、80歳を超えると男性の方が増えてきます。握力と歩行速度、筋肉量を測れば診断できますが、歩行速度を測るのは意外と難しい。そこで、誰にでもできる簡単なテストをご紹介します。
両手の親指と人差し指で輪っかをつくり、ふくらはぎのいちばん太い部分を囲んでみてください。囲みきれない人は大丈夫。ぴったりの人は、サルコペニアになる頻度が囲めない人の2.4倍。また、隙間のできる人は6.8倍にもなります。この場合は、医師に相談することをお勧めします。

元気な老後は、栄養と運動から

では、どうやったらサルコペニアを防げるのでしょうか。それには、栄養と運動が中心となります。まず栄養ではたんぱく質が大事。高齢者は普通、体重1kgあたり1.1g以上のたんぱく質が必要です。つまり、60kgの人は66g。ただ、肉や魚に含まれるたんぱく質は20〜25%しかないため、66gのたんぱく質をとる場合は、その4〜5倍の肉や魚を毎日とらなければなりません。これは大変なので、足りない分は穀類や野菜などの植物性たんぱく質や牛乳などで補充しましょう。栄養補助剤も有効です。
ところで、栄養のとり方は年齢によって変わることをご存知でしょうか。中年層までは、動脈硬化を防ぐために脂肪やカロリー制限が必要ですが、75歳を超えると、この栄養制限は逆効果です。高齢者は基本的に、糖尿病や腎臓病などがなければ何を食べても何を飲んでもいい。その方が元気に長生きできるのです。
次は運動について。筋肉には赤筋と白筋があり、赤筋は持続力、白筋は瞬発力に関わっています。このうち、サルコペニアでは白筋が損なわれやすいことがわかっています。水泳、ダンス、ウォーキングなどの有酸素運動は赤筋にはいいのですが、白筋には無酸素運動の方が効果があります。ですから、サルコペニアの予防には、無理のない範囲で、筋トレやダンベル運動などをお勧めします。

健康寿命を延ばすために

日本はご承知のように長寿国で、2016年の平均寿命は男女ともに世界2位を記録しました。もう一つ健康寿命があります。健康上の問題がなく、介護を必要とせずに日常生活をおくれる年齢のことですが、日本は男女共に世界第1位です。
平均寿命と健康寿命には大きな差があります。この差は何を意味するのでしょう。日本人は平均寿命と健康寿命の間に10年近い差があり、この間は何らかの介護を受けなければ生きていけないということです。ですから、この期間を縮めることが大切ですが、2001年から2016年までの間、平均寿命と健康寿命の差は全然縮まっていないのです。皆さんは健康寿命を延ばし、この差を縮めていかねばなりませんが、そのためには、ひとりひとりが健康な生活習慣を身につけて生活せねばなりません。それには、病気を未然にキャッチして、すなわち未病の状態を知る必要があります。
病気の原因は大きく分けると二つです。すなわち遺伝と環境の異常です。病気の発症を防ぐには、これらのコントロールが不可欠です。遺伝については、異常が発現する前に事前に遺伝子の異常を検知して処置する必要がありますし、環境については食事や運動などの生活習慣に気をつけて対処しなければなりません。

動脈硬化を未病のうちに防ぐ

人は、血管と共に老いるといわれます。歳をとると血管の石灰化が進み、最終的にはメスが通らないくらい硬くなって動脈硬化という状態になります。その主な原因は、脂質代謝異常症、糖尿病、高血圧、そして喫煙です。
例えば、脂質代謝に異常が起こっただけではただちに症状は出ません。10年から20年かけて動脈硬化が起こり、心筋梗塞や脳梗塞となるのです。興味あることに、血清コレステロール値について日本動脈硬化学会が新しい診断基準を作りました。これまで脂質異常症の中で、LDL(悪玉)コレステロール値は140mg/dL以上を高値としていましたが、新たに120〜139mg/dLという境界領域を設けたのです。これはまさに未病の状態に当たり、早い段階で数値を下げるよう推奨しているのです。
また、糖尿病は1970年代以降、患者さんが増え続けており、コンビニ、外食産業、自動車の保有台数の増加と非常によく相関して増加していますが、環境の変化がいかに病気を引き起こしているか、という証拠ではないでしょうか。糖尿病になると、腎臓病、眼の網膜症、神経症という3大合併症が起こってきますが、そのすべてが動脈硬化によって引き起こされます。例えば糖尿病性腎症は腎の糸球体という組織を構成する毛細血管に異常が起こるためで、悪化すると透析が必要となります。このように、3大合併症はすべて非常に厄介な病気なので、ぜひ未病のうちに治療する必要があるのです。

異常を見出す、さまざまな検査法

未病の段階で異常を発見するために、さまざまな検査方法が開発されています。例えば、動脈硬化かどうかを知るには、超音波検査器で頸動脈の中膜の肥厚を見ます。この機器は医療機関に設置されていますが、ポータブルで持ち歩くものもあり、往診で聴診器代わりにも使うこともできます。もちろんCT(コンピュータ断層撮影装置)やMRI(核磁気共鳴画像装置)でも血管を観ることができます。
また、がんを発見するためには画像診断検査や血液検査以外にも、PET-CT(陽電子放射断層撮影)という機器も使用することができます。また、今期待されているのがエクソソームを使った診断です。エクソソームは細胞から分泌される物質で、がん細胞から分泌されたエクソソーム中の遺伝子を幾つかの方法で集積し測定することが可能になりつつあり、今後に期待したい検査です。
このように、いろいろな検査法を駆使することで、未病のうちに少しの異常でも見つけられる時代となってきました。適切な検査に加えて、大切なことは、自分でコントロールしようと思えばできる食事や運動に気をつけ、禁煙を守り、十分な睡眠に心がけていただき、毎日を笑顔で過ごしましょう。

コレステロールの酸化を防ぐ物質

動脈硬化は、悪玉コレステロール(LDL)が血管壁に入り、酸化することで起こります。ただ、LDLの量を減少させるだけで動脈硬化を約30%は防げるという結果が出ています。では、残りの70%はどうやって防げばよいのでしょう。LDLの酸化を防ぐ抗酸化物質が大きな働きをするといわれています。ビタミンE 、ビタミンC、カロテノイドなどの抗酸化物質に加え、最近ではポリフェノールに注目が集まってきました。
フレンチパラドックスという言葉をご存知でしょうか。欧米では脂の多いこってりした食事が好まれるため、コレステロール値が高まり、動脈硬化による心筋梗塞が多いのですが、フランスだけは例外なのです。フランス人に心筋梗塞が少ないのは、日頃から赤ワインを飲んでいるからではないか。やがて、カリフォルニアのワイン学者が、赤ワインの原料となるぶどうの種と皮に含まれている抗酸化物が試験管内でLDLの酸化を防ぐことを示しました。
LDLの酸化を防ぐのは、赤ワインだけではありません。抹茶で実験をすると、飲んで1,2時間で、LDLの酸化を有意に抑えることがわかりました。日本人は朝、昼、晩と食事のたびにお茶を飲みます。昔から、お茶によってLDLの酸化をうまく抑えてきたのです。さらに、ココアやチョコレートもLDLの酸化を抑えることがわかってきました。

ポリフェノールが動脈硬化を抑える

ぶどうの種や皮、そして、ココアやチョコの原料となるカカオの皮に含まれている抗酸化物質が、ポリフェノールです。ポリフェノールは何千種類もあるといわれ、全貌はわかっていませんが、ほとんどの植物に含まれています。代表的なものは、赤ワインのアントシアニンやタンニン、緑茶のカテキン、チョコのエピカテキンなどです。
ポリフェノールと心筋梗塞の関係を10年間オランダで調べたデータが、1987年に発表されました。1日19mg以下のポリフェノールをとった人が心筋梗塞を起こす危険度を1とすると、30mg以上とった人の危険度は半分以下という結果が出ました。オランダでは、ポリフェノール摂取に寄与した食品として紅茶、玉ねぎ、りんごが取り上げられています。
血液中に中性脂肪が増えると動脈硬化を起こしやすくなり、血液もどろどろになります。この中性脂肪にも、ポリフェノールが関与しているようです。脂肪と一緒に赤ワインを飲むと、脂肪を腸管から全身へと運ぶカイロミクロンがまったく出てきません。これは、ポリフェノールによって、小腸で脂肪の吸収が抑えられているからだと考えられます。

健康な体は普段の食事から

ポリフェノールのほかに、オリーブオイルなどのオレイン酸や植物ステロールも、コレステロールを下げるといわれます。植物ステロールは豆類や穀類の胚芽にある成分で、米油、菜種油、コーン油などに多く含まれます。
また、中鎖脂肪酸は吸収された後、肝臓ですぐに燃えてエネルギーとなります。そのため肥満対策になるのでは、と2200kcalの食事を3ヶ月投与する実験を行いました。すると、中鎖脂肪酸をとったグループだけでなく、とっていないグループまでやせてきたのです。中鎖脂肪酸にも有意な効果はありましたが、食事を規則正しくコントロールするだけで、体脂肪や体重は下がるという結果が出たのです。
このように、身近な食物には未病に生かせるものがいろいろとあります。普段の食生活を見直すことで、健康を目指していただきたいと思います。

まず健康であること。それが国民の義務

日本の医療費は、現在とても逼迫しています。このままいくと、やがて立ち行かなくなるのではないでしょうか。例えば、がんに使う新薬の価格は高額で、人工透析にも大変なお金がかかります。その医療費は今、若い人が支払い、高齢者が使っているという構図です。だから、これからの中高年の仕事のひとつは、まず健康であること。未病のうちに病気を治し、健康寿命を保つことが国民の義務だといえます。
未病は予防ではありません。病気に向かっている動的な状態なので、逆方向に戻すことができます。病気を火事に例えるなら、予防は火事のないときに行う避難訓練、そして未病は火事になる前のボヤ。ボヤだから、火元を特定すれば、コップ一杯の水でも消火することができます。未病のときなら、自分の努力で健康な体に戻すことができるのです。

養生を発展させた、摂養という考え

江戸時代、貝原益軒が「養生訓」を著し、病気になる前に自分で養生しようと説きました。やがて、患者中心の未病予防医学として摂養という考えが生まれます。食養生としての養生、酒やタバコを控える摂生、休息により疲れをとる保養、これら3つを行い、未病のうちに手当てするのが摂養です。個人だけでなく家族や社会全体で支え合い、回復力や自然治癒力を引き出すように生活習慣や治療を優先する。そして、心と体の両方をケアしながら、持続的に相互扶助を行っていく。今の時代に求められる考え方です。
この摂養の考えを実践している国があります。がんの罹患率と死亡率は、日本では年々増えてきています。ところが、平均寿命は延びているのにがんが減ってきている国、それがアメリカです。実はアメリカの医療はとても変化してきているのです。

アメリカに学ぶ、未病と摂養

サプリメントなどの代替医療について研究するため、アメリカ政府が国立補完代替医療センターを設置したのは1992年のこと。さらに翌年、ハーバード大学のアイゼンバーグ博士が「アメリカ人は医療費の約25%を、保険がきかず科学的にも認められていない代替医療に使っている」というレポートを発表しました。代替医療を取り入れた医療は統合医療と名付けられ、いまや全米で約半分の大学が取り入れ、多くの病院が取り組んでいます。
これをさらに発展させたのが、治療より予防を重視する、統合ヘルスという考え方です。人々の日常的で自主的なセルフケアの力を高めるもので、終末期の患者さんから、軽度の安定期の人、未病の人、そして、病気のない人までを対象としています。統合ヘルスと日本の摂養とは似ていますが、アメリカでは政府が先頭に立っているという点が違いますね。
この考えを後押しするかのように、医療費の支払い方法についても変化が起きています。例えば、再診や救急の頻度が減ると、病院にお金が戻ってくるというシステム。退院した後、食事療法などによって患者さんが健康になれば、結果的に再診率が減り、病院の収入が増えるというものです。アメリカに続いて日本でも導入され始めたこのシステムこそが、未病と摂養の考え方を具体的に実践する方法ではないかと思います。そのためには、医療が病院を抜け出す必要があります。地域の薬剤師や栄養士、看護師などが中心となって患者とともに健康を支え、それで難しい場合は病院で医師が対応します。世界の医療は今、科学的にも経済的にも、未病と摂養に向かっているのではないでしょうか。

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