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  • 翻訳家・詩人の田村隆一 ミステリとスコッチを結ぶ

  • 池波正太郎と同年生まれ、戦後詩を代表する詩人・田村隆一に、『夜明けから夢がはじまる』と題する詩がある。次に掲げるのはその書き出しの一節。

  • 《ぼくの夜の世界は
    梨子地模様の
    squat type の瓶のなかだ
    茶褐色のガラスの壁から
    夜の光りが射しこんでくる》

  • ここに描写されているのは、まぎれもなくオールドパーのあのボトルである。

  • 思えば、田村は酒を愛し酒神にも愛されたような詩人だった。長身痩軀、モダンにして洒脱、柔らかな感性。ウイスキーを好み、とりわけオールドパーを愛飲した。鎌倉の私邸に迎え入れる客人にも、決まってオールドパーをふるまった。

  • 田村 隆一

  • 田村がスコッチ・ウイスキーと出会ったのは、戦時中の新宿あたりの酒場。年上の大学生たちから、二十世紀初頭のヨーロッパの文学・芸術運動を教わると同時に、オールドパーをはじめとするスコッチの味を教えこまれた。だから、後年もスコッチの香りをかぐと、T・S・エリオット、ジェイムズ・ジョイス、アンドレ・ブルトン、サルバドール・ダリ、パブロ・ピカソなどの固有名詞の響きがいつも耳の奥に甦ってくるのだった。

  • 戦後復興から高度経済成長の入口にあたる時代には、田村は翻訳家兼編集者としても活躍した。アガサ・クリスティ、エラリー・クイン、ロアルド・ダールらの作品を翻訳する傍ら、和服の着流しで出版社の編集室にやってきて『世界探偵小説全集』や『ポケット・ミステリ』シリーズの企画編集に携わった。日本における海外ミステリの普及に、先駆的かつ大きな役割を果たしたのである。

  • 大好きなスコッチとミステリを結んで、後年の田村はこんなふうにも語っている。

  • 《イギリス人には不思議な才能がある。ウイスキーと探偵小説を創造した才能。(略)酒は、その文化圏のシンボルである。イギリスの探偵小説を読むときは、安楽椅子にゆったり腰をおろし、片手にはスコッチ、ときには葉巻をくゆらしながら読んだほうがいいに違いない》(『ダンディズムについての個人的意見』)

  • ミステリの翻訳を卒業し一読者にかえった田村は、深更、オールドパーのグラスを片手に、名探偵ポワロやミス・マープルの謎解きを楽しんでもいたのだろう。

  • 田村は旅する詩人でもあった。日本各地はもちろん、アメリカ、ヨーロッパ、インドなどに長い旅をし、紀行随筆や詩を生み出した。そんな旅の道連れも、スキットルに入れたウイスキーだった。「生命の水」とも呼ばれるこの酒の源流を求め、スコットランドにも繰り返し足跡を刻んだ。百五十二歳の長命を全うし、オールドパーの名前の由来ともなった伝説的人物トーマス・パーの墓まで詣でた日本の詩人は、おそらくこの人を措いて他にない。

時代小説家、池波正太郎 一日の終わりはウイスキーで
翻訳家・詩人の田村隆一 ミステリとスコッチを結ぶ
鎌倉文士の立原正秋 客人にふるまうのはオールドパー
時代を超えて、日本人に愛され続けている スコッチウイスキー。調和のとれた柔らかな味わい、奥行きのある香りと長い余韻は、和食とも好相性。詳しくは、oldparr.jp へ MHD モエヘネシーディアジオ株式会社

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