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06月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

特別編
マイストーリーコンテスト受賞者発表
ペン

時代を超えて愛されるウイスキーを片手に、紡ぎ出されたエピソードに酔いしれる。

  • すべての男たちは、物語をもっている。「マイストーリーコンテスト」結果発表!

  • 東京のシンボルとして名高い東京タワーが完成したのは、昭和33年。333メートルという高さは、完成した当時、パリのエッフェル塔を抜いて世界一。この時代、ニッポンの男たちは上を向いて走り続けていた。上司と、同僚と、部下と、そして友と、夜ごと銀座や赤坂に集った。よく働き、よく飲む。男が男であった、幸せな時代。そんな高度経済成長期、倒れることなく斜めに立つオールドパーのボトルは、「右肩上がり」のウイスキーとして憧れ、愛されたのである。

  • 偉大な宰相であった吉田茂も、オールドパーを愛したひとり。スーツは老舗テーラーで仕立て、車はロールス・ロイス、英国の一流品に徹底的にこだわった。大磯に閑居してのちもその影響力は絶大で、薫陶を求めて訪ねてくる若き政治家たちと政策談議を交わし、このスコッチウイスキーを振る舞ったという。高度成長期を牽引したあまたの政治家が、吉田学校でオールドパーの洗礼を経て、ウイスキーを好むようになったという。

  • 食通として知られる池波正太郎も、代表作「鬼平犯科帳」や「剣客商売」といった時代小説を執筆した後、寝しなにオンザロックでウイスキーを飲んだ。自分自身と対話をしながら、あるいは、大きく変わりゆく東京の街をいとおしむように、舶来のウイスキーを飲む彼の姿が目に浮かぶ。

  • シリーズ企画「オールドパーを愛したニッポンの男たち」で掲載したこうしたストーリーに、多くの読者から共感のメッセージが寄せられた。「あの頃を思い出した」「父が飲む姿がよみがえる」「恩人と再会したくなった」――。そう、精一杯に生きたのは政治家や作家といった著名人ばかりではない。ニッポンの男たち一人ひとりが、時代を紡いできたのである。今回のマイストーリーコンテストで書いていただいたテーマは、「オールドパーと私」と「あの人と私」。寄せられた数多くの作品から、ここに三つの作品を紹介しよう。読んでいるうちに私自身も、スコッチウイスキーの水割りが飲みたくなってきた。

  • 時代は巡る。そして今も、男たちはオールドパーを愛している。

最優秀賞 静岡県 及川敏夫さん
 一見、無骨にも見える寡黙な茶色のボトルは、いつも実家の居間の片隅にあった。昭和三十年半ば、私が小学生の頃のことだ。私の父は、当時、海外航路の船乗りだった。冷蔵庫、洗濯機、テレビが三種の神器と呼ばれ、テレビではプロレス中継が大人気を博した時代だ。父は半年に一度くらい、海外から土産を手に帰って来た。チョコレート、パインナップル、バター、あの茶色のボトル、オールドパーも、きっとそれらと一緒に海を渡って来たに違いない。家に帰ると父は、家族にさまざまな国の様子を話して聞かせた。父の語る夢のような話に、私は海の向こうの遠い異国に思いを馳せた。それと当時に、家に居ることがなく一緒に過ごす時間の少なかった父も、また「異国」のように、私にとっては遠い存在だったのである。やがて自意識が芽生えた私は、そんな父に馴染めないまま父と口をきかなくなっていた。そして、就職して家を出てからも、ずっと疎遠な間柄が続いたのである。やがて父は他界した。私は定年を迎えた。送別会の帰り、私は喧噪から逃れたい感傷的な気持ちで、通りがかりのバーに立ち寄った。カウンターに腰掛け棚に目をやると、片隅にオールドパーがあった。その姿は、かつて私が子供の頃見たものと同じであった。私は懐かしい気持ちでオールドパーを注文した。グラスに琥珀色の柔らかい波頭
が立った。そっと唇で触れると、華やかな香りが口いっぱいに広がった。その瞬間、居間の片隅にあったあの寡黙なボトルが、何十年もの沈黙を破って、饒舌に語り始めたような気がした。私の脳裏に暗い海が浮かんだ。父はたった一人遠い異国の地で、どこまでも続く暗い海を見ながら何を考えていたのだろう。家族と囲む暖かい食卓だっただろうか、それとも、子供達の屈託のない笑顔だっただろうか、そんな思いが胸をよぎり、思わず眼がしらが熱くなった。そして、そんな父の気持ちを察しようともせず、つまらない自意識に心を閉ざし、我儘に振る舞い続けた自分を恥じた。一杯、そしてもう一杯とグラスを傾けるにつれ、私は、グラスの中で静かに溶かされていく氷のように、自分の胸の中で父へのわだかまりがゆっくりと溶かされ、代わりに温かく優しい思いが広がって行くのを感じていた。私は、子供の頃に見たあのオールドパーのボトルを今夜開けたのかもしれない、そして、遠い「異国」の父との会話が今始まったのだ、と思った。これからの第二の人生は、オールドパーを挟んで父とゆっくり語り合いたい、そう思って私はバーを後にした。外へ出ると早春の夜風が甘い花の香りを運んで来た。いつしか脳裏に描いた海は深い青色を湛え、美しい水平線を描いていた。
最優秀賞
「オールドパーと私」部門賞「あの人と私」部門賞
時代を超えて、日本人に愛され続けている スコッチウイスキー。調和のとれた柔らかな味わい、奥行きのある香りと長い余韻は、和食とも好相性。詳しくは、oldparr.jp へ MHD モエヘネシーディアジオ株式会社

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