SDGsの視点で考える
私たちの課題解決への取り組み

大学での学びの素地ともいえる「思考力」「判断力」「表現力」を育み、課題解決型人材の育成につなげる取り組みが、文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている福岡県立小倉高等学校で行われている。同校では「国際社会に貢献できる人材の育成」を教育目標に掲げており、SDGsの視点を踏まえた課題研究活動をSSHの学校設定科目に取り入れている。地域や世界の課題解決に向けて一歩を踏み出した生徒たちに、活動を通しての「気づき」と「学び」について語ってもらった。※科学技術・理科、数学教育研究を重点的に行う研究指定校。

INTERVIEW
福岡県立小倉高等学校
成友 快さん(3年生)
高城 将英さん(3年生)
松川 菜々子さん(3年生)
岡野 菜月さん(2年生)
徳永 紀美さん
(進路指導部 キャリア教育係長 教諭)

地域や世界には
さまざまな課題がある

左から成友さん、高城さん、松川さん、岡野さん、徳永先生

成友 1年生のとき、地元の大学の方々にご協力いただき、北九州の課題解決を目指す活動にクラス単位で取り組みました。私は障がい者スポーツである車いすソフトボールの普及について考察し、その成果を地元のラジオ局で発表するという一連の流れに携わることができ、とても貴重な体験をしました。

高城 ぼくは小学生の頃から建築士になりたいと思っていたので、2年生のときの課題研究では「建築ゼミ」を選び、SDGsの「住み続けられるまちづくりを」と関連づけて取り組みました。ちょうど門司港駅が復原作業をしているところだったので、1年間を通して門司港駅とその周辺の建築物を調査・研究できて面白かったです。

松川 私は世界につながる研究をしたいと、途上国の貧困をなくすことを目的にフェアトレードをテーマに選びました。まずはフェアトレード商品を販売しているお店で話を伺うなどのリサーチから始めたのですが、調べるうちにジェンダーや教育などさまざまな課題につながっていることを知って驚きました。世界には私が思っているより深刻な問題がたくさんあるのだと。

岡野 私はビジネスプランコンテストに出たいという仲間たちと一緒に「北九州がもつ負のイメージを良いイメージに変えよう」という目標を立てて活動しました。そこで注目したのが日本三大夜景である皿倉山の夜景を活かしたまちのイメージアップです。夜景を十分堪能してもらうために山の頂上にコンテナを利用した宿泊施設をつくろうと考えたのです。でも、専門家の方々にいろいろお話を伺ううちに、資金面や法律面でいろいろな問題をクリアしなければいけないことがわかりました。

成友 考えていたことと現実との違いは自分も感じました。車いすソフトボールを普及させる活動をしていたのですが、障がい者の方々の中には「今のまま少人数で楽しみたい」という人もおられたのです。でも、それも実際にお会いしてみてわかったこと。この経験をぜひ、次につなげていきたいです。

「課題研究」での車いすソフトボール体験
「建築ゼミ」での「門司港建築ツアー」

大学での学びにつながる
多くの「気づき」があった

卒業生と在校生によるパネルディスカッション

高城 ぼくも多くの現場の方々のお話を伺うことで、建築士とは建物を建てるだけではなく、建物からまちの雰囲気をよくしたり、みんなが暮らしやすいまちにしたり、広い視野でまちづくりを考える人だということを知りました。大学は建築関係の学部に進むつもりですが、この活動を通じて大学で何を学びたいかが変わってきました。

松川 いろんな課題を知るうちに、もっと深く調べたい、もっと知りたい、と思うようになりました。だから、大学は経済学部に進学して、フェアトレードについて専門的に学んでいきたいです。受け身ではなく自分から主体的に動いたことで、学びたいこと、やりたいことが明確になった気がします。

岡野 私は夢とか行きたい大学とかもなかったんですが、地域活性化のビジネスプランを考えたことで今は経営学に興味が湧いています。

成友 自分はゼミ以外でも、校外の方とグループディスカッションする機会をたくさんいただきました。相手の意見を聞いて、自分で考え、発言する力がついたと感じています。

高城 ぼくも専門家の方々の前でポスター発表をしたことで、自信をもって自分の意見を言えるようになりました。

松川 ゼミをきっかけに文化祭でフェアトレードのカフェを開いたのですが、グループのリーダーを務めたことで積極性がつき、弱気な面が克服できたと思います。

岡野 私はビジネスコンテストの最終プレゼンの練習で、真剣なあまりクラスのみんなに「顔が恐い」と言われて(笑)。でも、アドバイスをもらって挑んだ結果、審査員の方々に「堂々としていて素晴らしい」とほめていただき、すごく自信がつきました。

成友 この活動で学んだこと、悩んだことの経験が、将来きっとどこかで活きてくる。それがこの活動の一番の収穫だと思っています。

課題研究活動を通じて
自分の将来につながる学びを

課題解決型学習法による「課題研究」の授業

徳永 高校での学びは単に大学入試のための勉強ではなく、もっと先の自分の将来につながるものでなければなりません。そうした意味からも本校の課題研究活動は「なぜ学ぶのか」という動機付けになると考えています。また、自分たちで仮説を立てて研究し、その道の方々に聞き取りをするというのは、教室ではできない学びのスタイルです。授業で学んだことを頭だけで理解するのではなく、自分ごととして捉えることでいろんな可能性が見えてくるのではないでしょうか。

小倉高校の課題研究活動

2015年度より、全生徒を対象に導入。第1学年の「課題研究Ⅰ」で、北九州市の抱える課題を発見し、解決策を考察・提案する教育プログラムを実施。第2学年の「課題研究Ⅱ」では、興味がある分野ごとに専門分野(ゼミ)に分かれ、1年間を通して研究活動を行う。いずれも、パワーポイントによる口頭発表やポスター発表などでその成果を生徒自身が発表する機会が設けられている。

INTERVIEW