可能性に満ちている大学時代。
思い切り、充実させてほしい。

元号が令和に。そして、来年は西暦2020年代に。新たな時代が幕を開けようとしているなか、社会はさらに大きく変化しようとしています。大学は、人を育て、研究成果などを社会に還元することで、多種多様な課題に応え続ける場でもあります。教育YouTuberとして活躍されている葉一さんに、大学に通うことや、学ぶことの意義を教えてもらいました。

INTERVIEW
葉一さん
教育YouTuber
はいち/1985年福岡県生まれ。東京学芸大学卒業後、教材販売会社勤務を経て、個別指導の学習塾講師に。2012年より〝教育YouTuber〟として、チャンネル名「とある男が授業をしてみた」で、小中高生対象の問題と授業、悩み相談などを無料投稿。

高3直前に進路を変更
志望校を目指して猛勉強

──葉一さんは〝教育YouTuber〟のパイオニアですが、始めたきっかけは何だったのでしょう。

 塾講師をしていたときに、経済的な理由で塾に通えないなど、ご家庭の所得格差で選べる教育に差が出る例をたくさん見て、何かできないかと思っていました。そして、ちょうど独立した際に全米で話題の日本人YouTuberのニュースを知り、〝授業の動画を公開したら誰でも見られる〟と。その翌日さっそく投稿しました。

──では、教育を目指したのは?

 高校3年生になる直前、数学の先生の影響で教師を目指すことに。実は中学でいじめに遭い、先生全般に不信感があったんですが、いつの間にかその先生を信頼し、数学まで得意になっていたんです。〝先生で生徒がここまで変わるのか。自分もそんな仕事がしたい〟と思いました。ただ、それまで専門学校志望だったので、志望する4年制大学に向けて偏差値を20は上げなきゃいけなくなり、死に物狂いで勉強しました。

──具体的には、どんな受験勉強を?

 塾が嫌で、予備校も金銭的にきつかったので、自学しかないと腹を括りました。全科目、学校で配られるワークや問題集を繰り返し、定着するまでやる。最初は何がわからないかもわからなかったんですが(苦笑)、できない問題をできる問題へと一つずつ増やしていきました。

──繰り返し学習は、動画でも勧めていますね。

「〝できない〟から〝できる〟」が一つのハードルなら、定着させて「テストの場で生かせる」が次のハードルです。勉強していると早く先に進まなきゃと焦りますが、反復学習をしっかりやるかどうかで、試験の結果が変わってくるんです。

努力した結果、花が咲く経験
つらくても歩き続ける大切さ

──大学ではどんなふうに過ごしましたか。

 自宅から片道2時間半かけて通学していたんですが、そんななか、教育に携わる決意は変わらなかったものの、教師は違うのかなと感じ、NPOや起業家に付いて社会勉強を始めました。子どもたちの前にいずれ立つなら、いろんな経験をしたかったんです。悩んだことを含め、生きてきた経験すべて、子どもたちに表現できることですから。また大学生は自由な立場です。大企業を相手に「将来こんなことがやりたいので、御社で勉強させてください」という話が通ったり。その可能性に満ちた時間をうまく使ってほしいですね。無駄にするのも、将来につながる充実したものにするのも、自分のやり方次第です。

──「学ぶ」ことは人生をどう豊かにしますか。

 視野が広がり、知識を得ることももちろんありますが、勉強ができなかった子も、努力して成果が出せることが貴重だと思うんです。勉強は努力が結果に出やすいので、成功体験を積めます。例えば社会に出て、やりたい仕事が下準備の大変なものでも、努力した結果、花が咲くことを学びから経験していれば、大変さに臆せず取り組めます。動画でも成功体験ができるように、コンテンツ力をあげていきたいですね。

──悩んでいる人にエールをお願いします。

 つらいときもあると思いますが、足を止めてしまったら、見える景色はずっと変わらないままになるんですよね。花を咲かせることは誰でもできると信じて、歩き続けてほしいです。

──受験生の保護者にもアドバイスを。

 基本は、子どもが頼ってきたときに手を差し伸べる気持ちで。口を出すより見守るスタイルですね。親御さんのひと言は、ご自身が思う何十倍も影響力があります。模試の結果についたため息一つで親の失望を子どもは察するし、親御さんのひと言で子どもたちはがんばれる。自分の言動一つが、お子さんのプラスにもマイナスにもなることを心のどこかに置きつつ、受験を一緒に戦っていただければと思います。

INTERVIEW