「ものさし」は多いほうがいい

大多数の受験生にとって、大学選びは初めての、そして一生に一度だけの経験。十分な時間をかけて考え、悔いのない選択をすることは決して簡単ではない。『大学ランキング』(朝日新聞出版)の鈴木顕編集長がすすめるのは、偏差値以外の多様な「ものさし」を持つこと。具体的な考え方のヒントを聞いた。

INTERVIEW
鈴木 顕編集長
朝日新聞出版『大学ランキング』編集長
すずき・あきら/朝日新聞出版アエラムック編集部で、『AERA English』『アエラ大学ムック』シリーズなどのデスクも兼務する。『週刊朝日』の医療担当、大学担当記者などを経て、現職。

入り口に迷う時は
出口から考える

 就職先を会社の名前だけで選ぶ人はいませんし、結婚相手をルックスだけで決めてしまう人もいないでしょう。自分の将来にとって大事な選択であればあるほど、時間をかけていろいろな角度から検討したいと思うのが当然です。ところが大学選びについては、いまだに偏差値という単一の「ものさし」で考えてしまうことが多いのではないでしょうか。特に保護者世代に、その傾向が強いように思います。
 今年で26年目を迎えた『大学ランキング』の創刊当初から変わらぬ編集方針は、偏差値に代わる大学選びの多様なものさしを提供する、というものです。たとえば大学という「入り口」選びに迷うなら、卒業後にどんな仕事に就きたいかという「出口」のほうから考えてみるのも一つの手。就職率ランキングのほか、保育士や理学療法士など具体的にめざす資格がある人は、その採用者数や合格者数ランキングも参考になるでしょう。
 そうしたランキングを見ていくと、意外な大学が上位に入っていて驚くことがあるかもしれません。しかし、仮に一度も名前を聞いたことがなくても、偏差値が高くなかったとしても、その大学は受験生にとって夢をかなえる近道である可能性が高いということです。ものさしは多く持っていたほうがいいという理由がおわかりいただけるのではないでしょうか。

大学を選ぶのは
将来を選ぶこと

 特定の企業や業種に進む卒業生が多い大学の場合、将来自分が社会に出る時、その企業や業界に先輩が多くいるということです。卒業生の活躍が大学の評価を高め、「あの大学の学生なら」と、就職活動で有利に働くこともあるかもしれません。ランキングを参考にすることで、各大学のそうした面も見えてきます。
 就職関連のランキングで上位に入る大学は、やはりキャリア教育に力を入れていることが多いようです。保護者の方にはピンとこないかもしれませんが、現在のキャリア教育は、昔のような「就職のあっせん」とはずいぶん違います。学生一人ひとりの個性に合った進路を一緒に考え、社会で必要な力が身につく実践的なカリキュラムを用意している。なかには大企業ばかりに目を向けがちな学生たちのために、優良な中小企業を熱心に紹介している大学もあります。
 当然ながら、大学は入ることがゴールではありません。社会で活躍するために必要となる知識や技能を身につけたい。将来に役立つ人脈を広げたい。そのように考える人も多いでしょう。つまり大学選びとは、その先の人生をどう生きるかという選択に、必然的につながっています。模試の志望校判定がAかBかということも気になるでしょうが、まずは夢や理想といった大きな視点で、なりたい未来の自分を想像してみてください。学生たちを採用する企業の側も、近年は人物重視で選考することが増えており、「どの大学を出たか」よりも、「その人にどんな可能性があるのか」を積極的に評価しています。偏差値は大学の一面を知るには有効ですが、決してそれがすべてではありません。
 明日はテーマを変え、近年ますます重要性を増す「グローバル」という視点で大学選びを考えてみましょう。(談)

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