グローバルに学ぶということ

グローバル化が進む社会で必要な力を身につけるため、各大学では特色ある教育が行われている。しかし『大学ランキング』(朝日新聞出版)の鈴木顕編集長は、留学や語学教育とグローバルな学びは、必ずしもイコールではないと語る。これからの世界で「活躍する」のはどんな人か、そのために必要な力とは何か聞いた。

INTERVIEW
鈴木 顕編集長
朝日新聞出版『大学ランキング』編集長
すずき・あきら/朝日新聞出版アエラムック編集部で、『AERA English』『アエラ大学ムック』シリーズなどのデスクも兼務する。『週刊朝日』の医療担当、大学担当記者などを経て、現職。

大学進学者の
3割に留学意向

 最近の若い人は内向き志向で、留学はおろか海外旅行に出かけることも少ない、と言われて久しいですが、リクルート進学総研の調査によると、大学進学者の3人に1人は在学中に留学をしたいと考えているそうです。企業の競争環境はますますグローバルになり、国内で働いていても同僚や顧客に外国人がいるという状況が珍しくなくなっています。大切なのは語学力だけでなく、異文化を理解する力や、誰に対してもしっかりと自分の考えを伝える能力です。
 そのような力が身につく学びの環境をどう選ぶか。『大学ランキング』でいえば、「海外留学制度ランキング」や「外国人留学生ランキング」、「国際ボランティアランキング」などが参考になるでしょう。たとえば留学プログラムが充実している大学は海外の大学との提携に力を入れているということですので、何年もかけて地道に国際化に取り組んできた姿勢がそこには現れています。また、それを利用する学生が多い大学は、費用の支援制度や留学先での単位を卒業に必要な単位として認めるなど、バックアップ体制もしっかりしているといえるでしょう。
 私立大学を中心に、在学中に一度は留学することを必須としている学部や学科が増えています。国立大学では、今年1月に千葉大学が原則として2020年度以降に入学する全学生に留学を課すと発表して話題になりました。この決断がどんな成果につながるか、大いに注目しています。

※留学先の大学で取得した単位(16単位以上)が、帰国後に日本の大学で卒業要件として認定された学生を集計。『大学ランキング2020』より

語学力より大切な
広い視野と思考力

 先ほど紹介した留学費用の支援制度ですが、成績要件や保護者の収入要件がある場合、希望するすべての学生が利用できるわけではありません。また、海外での生活には不便が多く、学習に集中できないのではないかといった不安を抱える人もいるでしょう。しかし、キャンパスが国内にあっても学生や教員の多くが外国人という大学もあります。立命館アジア太平洋大学はその一例で、キャンパスは大分県にありますが、出口治明学長は、学内の雰囲気を「若者の国連のようだ」と表現しています。さまざまな事情で留学することが難しい人、なかなか踏み切れない人にとって、こうした環境は魅力的に映るでしょう。
 自分がなりたい仕事では海外赴任などありえないし、外国語も必要ない。そう考える人がいるかもしれませんが、英語ができればどれだけ読める本が増えるか、中国語が話せれば会話できる相手がどれだけ増えるか、と考えてみてください。グローバル教育と外国語教育は必ずしもイコールではありません。言語はあくまでツールであり、それを使うことで視野が広がり、思考の幅が広がることのほうがはるかに重要です。そのように位置付けるなら、必ずしも留学を経験しなくともグローバルな感覚を身につける方法はたくさんあります。一人ひとりが自分に合ったやり方で、「グローバルな人間」をめざしてほしいと思います。
 明日は、ちょっと意外な視点で見ることで大学選びが広がる、という話をしましょう。(談)

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