大人が知らない今どきの大学

少しでもいい大学に行きなさい。そんな聞いたこともない大学はダメだ。大人がつい口にしてしまうそんな言葉こそ、子どもの大学選びにはマイナスだと語る『大学ランキング』(朝日新聞出版)の鈴木顕編集長。満足のいく選択のために、保護者と子ども双方が考えるべきこと・知っておきたいことを聞いた。

INTERVIEW
鈴木 顕編集長
朝日新聞出版『大学ランキング』編集長
すずき・あきら/朝日新聞出版アエラムック編集部で、『AERA English』『アエラ大学ムック』シリーズなどのデスクも兼務する。『週刊朝日』の医療担当、大学担当記者などを経て、現職。

過去30年間で
大学は変わった

 保護者のみなさんは、子どもの大学選びについてどんなアドバイスをしていますか。現在、大学受験を控えた子どもがいるとしたら、その親世代は40~50代、おおよそ20~30年前に大学を卒業した人たちが中心でしょうか。私からみなさんにお願いしたいのは、アドバイスをしないでほしいということです(笑)。というのは少し乱暴すぎますが、少なくとも今の大学についてよく知らないのであれば、子どもへのアドバイスには慎重であるべきです。
 現在、日本には約780校もの大学があります。平成元年には499校だったので、過去30年間に300校近く増加したことになります。この間、日本の大学は大きく変わりました。保護者のみなさんのなかで、データサイエンティストを育てる学科、と聞いて内容が思い浮かぶ人がどれだけいるでしょう。海外留学や地域活動への参加を必修としている大学もありますし、企業が即戦力として働ける人材を求める傾向も強まっているようです。
 大学入試をめぐる状況もずいぶん変化しています。今年は特に、2021年1月実施の大学入学共通テストを控え、浪人は避けたいと考える受験生が増えるでしょうから、倍率や合格ラインも大きく変わる可能性があります。何しろ数のうえでは全体の3分の1が、保護者のみなさんが学生時代にはなかった大学です。「そんな名前は聞いたことがない」といった理由だけで、子どもに志望校の変更を迫るようなことは避けるべきでしょう。

『大学ランキング2020』より

他より大事なことを
探してみよう

 『大学ランキング』の編集方針は、大学選びに迷う人に、偏差値以外の多様な「ものさし」を提供する、というものです。たとえば、少し意外な指標では「保護者会ランキング」というものがあります。子どもの状況に関して、大学との密な情報共有を求める保護者は増えていますし、大学側もなるべくそれに応えようとしています。「学生寮ランキング」は、大学時代の4年間をどんな環境で過ごすかを重視する人に役立つでしょう。その他には、開学から日が浅い大学に対象を絞ったランキングもあります。単純に「物量」でいえば、歴史の長い大学やマンモス大学が上位になりがちですが、新しい大学も様々な分野で頑張っています。
 もし私が個人的に大学選びのアドバイスをしてほしいと言われたら、まずこちらからたくさん質問します。何が好きか、どんなことがしたいか。学部や職業選択につながるようなことでなくても構いません。外国人の友だちをつくりたい、先生との距離が近いほうがいい、といったことでもいいでしょう。何かひとつ、他よりも「大事なこと」が見つかれば、そこが大学選びのスタートです。
 私が思う大学という場の最大の魅力は、自分が面白いと思うものをとことん突き詰められる環境であることです。そのために必要な文献がそろった図書館があり、専門家の先生がいて、同じ興味を持つ友人もいる。大学に入ったら、ぜひ在学中に大学を「使い切る」というぐらいの気持ちで、充実した時間を過ごしてください。(談)

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