

新島襄が創立した同志社英学校を源流とする同志社大学。創立150周年を迎える2025年に向けて、「同志社大学VISION 2025」を展開している。建学の精神「良心教育」を礎に、どんな大学改革を進めているのか。その一端を紹介しよう。
同志社大学の創立者・新島襄は、自ら思い描く大学の実現に200年を要すると語りました。創立150周年となる2025年は、次の50年への通過点として大きな節目です。本学はこれを機に、脈々と受け継がれてきた「良心教育」を根幹とする理想の大学の結実に向けて、「同志社大学VISION 2025」を策定しました。
ビジョンのひとつ「学びのかたちの新展開」では、リーダー養成プログラムや大学院教育改革などを積極的に推進し、意欲ある学生の能力をさらに伸長します。ここでいうリーダーとはビジネスのほか、研究開発、地域社会のリーダーも含め、それぞれの分野で独自の発想力や卓越した実行力を発揮し、課題を乗り越え、時代を主導できる人物です。大学院においては各研究科の近縁の学問領域の力を結集させ、教育改革の端緒にします。次に「キャンパスライフの質的向上」では、ダイバーシティーキャンパスにふさわしい、留学生と日本人学生が活発に交流できる学生寮を作りたいと考えています。
また、「『国際主義』の更なる深化」では、2016年度からグローバル・リベラルアーツ副専攻を設置。新島襄が若き日に学んだアーモスト大学のリベラルアーツ教育にならい、グローバル化が進展する新時代の価値を創出できる人物の養成を目指します。海外拠点の強化としては「同志社大学テュービンゲンEUキャンパス」構想を推進し、本年4月、ドイツのテュービンゲン大学に本学の拠点を開設。外国人留学生誘致を促進するとともに、本学学生の派遣についてもテュービンゲン大学を中心とした教育・研究プログラムを開発し、展開していきます。
このように「同志社大学VISION 2025」は、学生、教職員、校友が一体となった「ALL DOSHISHA」体制によって展開の途にあります。未来を牽引(けんいん)する人物養成に突き進む「躍動する同志社大学」に、ぜひ注目していただきたいと思います。
世界学生環境サミットの淵源(えんげん)は、同志社大学の有志の学生たちが呼びかけ、2008年7月に開催された「第34回G8主要国首脳会議in洞爺湖」に対して意見書を提出することを目的に、同年6月、文部科学省・環境省・京都府などの後援・協賛も得て、京都・同志社大学に世界11カ国14大学の学生が結集した第1回大会にある。以来、世界各国の大学生が集い、持続可能な社会環境の発展について議論を交わし、世界に向けて改善・解決の提案を行う「学生による学生のための」国際会議として開催されている。同大学からも毎年、複数の学生が会議に参加し、今年は、第10回世界学生環境サミットが同大学で開催される。
同志社大学赤ちゃん学研究センターと理化学研究所医科学イノベーションハブ推進プログラムの健康医療データ多層統合プラットフォーム推進グループは、17年から「生体リズムに着目した発達障害の解析」「胎児心電図計測技術の高度化」などの共同研究を進めてきた。発達障害児の多くが睡眠障害を伴うが、本共同研究では、睡眠治療により症状が改善するという臨床的発見のもと、発達障害の新しい診断法と治療法の開発を目的とする。今年1月には、学研都市キャンパスに「同志社大学-理化学研究所連携研究室」の整備が完了。今後、両者の持てるポテンシャルを基に、さまざまなテーマに関する共同研究の構築、ひいては第2、第3の連携研究室の発足も期待できる。
全学共通教養教育科目の「クリエイティブ・ジャパン科目」は、「同志社大学VISION 2025」で掲げられた構想を具体化したもので、文化庁の京都への移転が決まったことを契機に2018年度から開設された。同科目は、京都を題材とした学びを通して、日本各地の伝統、文化への汎用(はんよう)的理解力を養う「京都科目」、世界が注目するコンテンツ、映画、ファッション、音楽、ゲームソフトなど、他文化圏で受容されている現代日本文化の価値について考察する「クールジャパン科目」、伝統、文化、芸術を産業振興やまちづくりなど、社会のさまざまな分野で活用させ、幅広い分野に波及させていく方法を思考し、文化による日本のブランディングについて考える「クリエイティブ・ジャパン科目」、そして日本の伝統・文化について外国人留学生とともに学ぶ科目で構成される。
文化は、ライフスタイルに革新をもたらすクリエーティビティーの源泉である。本科目の受講を通じ、文化の力で日本社会のクリエーティビティーを高め、文化的な価値を経済的、社会的な価値に置き換える方法を学んでもらいたい。日本文化の魅力について考えることは、受講生の「感性」を磨き、未来の「感性価値」の創造へとつながる学びとなるだろう。
今出川キャンパスに続き、今年4月、京田辺キャンパスのラーネッド記念図書館1階に「ラーニング・コモンズ」を開設。グループワークやプレゼンテーションなど、多種多彩な学びの交流が展開できる空間を提供している。また、パソコンやプロジェクター、電子黒板など多様な最新情報機器や、人的サポートとしての学習相談やワークショップなどの学習プログラムもあり、学生の学びへの意欲を支援している。間仕切りのないオープンな空間の中、さまざまなヒト・モノ・コト・情報と出会い、それらを仲間とともに議論し展開していくことで、新しい学びの可能性を生み出していくことを目指す。