青山学院大学

自らの成長を実感する学びへ

大学力座談会

国際社会での役割を自覚し
主体的に貢献する精神を育む

未来を切り拓(ひら)く
理系と文系の挑戦

【座談会メンバー(左から)】 鈴木眞理教授[教育人間科学部教授 ボランティアセンター長]
中村真梨さん[国際政治経済学部 国際政治学科4年 Roote 2017年度 国際協力部リーダー]
大平沙穗さん[法学部 法学科3年 Roote 東北部・災害支援部 2018年度災害支援部リーダー]
三木義一学長

──時代を先取りして改革を進める青山学院大学は、今後どのような方向に進むのでしょうか。

三木 本学は、伝統ある青山学院のスクール・モットー「地の塩、世の光」のもと、社会に仕え、人と社会のために未来を切り拓く人材を育成しています。そして本学は文系のみならず理系も高水準の研究実績を上げています。国際的な科学誌『Nature』の特別企画冊子『Nature Index 2018 Japan』(2018年3月発行)のランキングで、本学が第5位に入りました。このランキングは、2012~17年に、高品質な学術誌に掲載された論文数の割合が高い大学を表しています。本学のハイレベルな研究内容が極めて効率良く発表されていることが示されました。
 また、AI(人工知能)時代の到来で、私たちはどう生きるかという課題に立ち向かうため「シンギュラリティ研究所」を立ち上げました。さらに、AI研究の拠点となる「理工学部附置先端情報技術研究センター」や「ジェロントロジー(美齢学)」に関する研究所も開設し、時代のニーズに応える研究を加速させていきます。

──社会奉仕と学術研究を融合させたサービス・ラーニングにも注力されています。地域貢献や国際交流の具体的な活動を教えてください。

鈴木 東南アジアへの留学を柱にした教育でグローバル人材を育成する地球社会共生学部に続き、日本の地域社会の課題に取り組むコミュニティ人間科学部を来春開設予定です。もともと、青学には社会貢献の気風があるのです。2017年4月から本格稼働している「ボランティアセンター」は、東日本大震災の際に発足した学生団体を継承したもので、大学が情報を集約し、学生の活動を支援しています。

広い世界に飛び出し
地域にも目を向ける

ネパールにて、衛生教育後の昼食配膳(中村さん)

大平 ボランティアセンターで私たち学生スタッフRoote(ルート)は、青学生のボランティア活動を活性化するために、各プログラムを企画し、運営しています。災害復興や国際活動、渋谷区周辺の地域活動等を行っています。
中村 国際協力部では、発展途上国の社会問題の解決を目指して、年間を通してプログラムを企画しています。また、Meal for Refugees(M4R)という、難民の故郷の料理を学食で提供し、売り上げの一部を難民支援の資金にする学内での活動も毎年秋に実施しています。
大平 私は夏休みと春休みを使って、被災地の宮城県の塩竈市で小学生の学童保育を手伝いました。東北ではインフラの復旧は進みましたが、子どもの心のケアなど、目に見えない部分での支援が必要です。昨年は熊本県の南阿蘇村で農業支援にも従事しました。
三木 活動から得たものはありましたか。
中村 ネパールでは、土に還(かえ)らないビニール等のごみのポイ捨てが問題になっています。現地に根付いたポイ捨ての習慣がなかなか変化しない現実を身をもって理解できました。教科書では学べないことだったと思います。国際政治学科の学問と、実際の社会で起きている問題を並行して考えることで、視野が広がりました。
大平 熊本では、私たちの活動が現地の新聞に取り上げられて、多くの人が目にするメディアで伝えることの重要性に気づきました。自分も伝える活動に携わりたいと思っています。
鈴木 異文化体験が将来にも生かせると良いですね。現地でのコミュニケーションはどうでしたか。
中村 カトマンズの市役所やNPOと一緒に活動する際の会話は英語です。青学生は日頃から英語をしっかり学んでいるので、皆、自分の思いや細かいニュアンスも伝えられました。活動先の方と社会課題に向き合い、文化や考え方の違いを越えて活動を作り上げてきた経験は、これから社会で働くうえでも必ず生かせると信じています。
三木 世界はますます身近になっていきます。青学生なら共通言語の英語はマスターした上で世界各国の文化も学んでほしい。昨年、東京外国語大学と協定を結びました。両校の資源を活用して、多言語・多文化を学べる体制を整えていき、世界の人と交流する人材がどんどん巣立ってほしいと思います。同時に、日本の地域にも目を向けてほしいのです。

──日本の地域のなかでも12の自治体・1つの県と包括連携協定を結んでいます。どんな活動をするのでしょうか。

三木 本学は国際交流も盛んで研究力・教育力も高い。その資源を生かし、奉仕の心を実践しています。協定を結んだ都市で、地域おこしのサポートや地域と国際社会をつなげる試みがあります。たとえば、岡山県の総社市では過疎化が進む山村地域に、幼・小・中一貫教育としての英語特区を設けることで子どもたちの転入が増えました。この活動に本学の教員や学生が教育ボランティアで参加しています。ほかにも駅伝大会を支援したり、小学校で英語のサポートをして国際化に協力したり、活動を広げています。
中村 東北のボランティアに参加して、中学生に勉強を教えながら国際貢献の話をしたとき、一人の生徒が興味を持ち「私も大学生になったら海外ボランティアをしたい」と。自分の国際体験がその生徒の好奇心を刺激することができたのです。広い世界と地域、両方を知る意義を感じました。大学で学ぶことは人生にとって大事なこと。これからも人との関わりに生かしていきたいと思っています。

南阿蘇村でのビニールハウス解体作業(大平さん)

新学部「コミュニティ人間科学部」
(収容定員増認可申請中)がスタート

新学部開設準備室 副室長 鈴木眞理教授

 青山学院大学には、国際政治経済学部や地球社会共生学部などで国際貢献やグローバル人材を育成するプログラムがあります。しかし、日本の中にはもっと日常的な貢献の必要性もあります。今、地方は、高齢化、過疎化、産業の衰退、環境問題などさまざまな課題に直面しています。そこには経済的アプローチだけではなく、地域にあるものの価値を知り、継承し、コミュニティを尊重した対応が必要です。「地の塩、世の光」を実践するのは、そうした地域の力になる人材です。
 2019年4月に開設予定の「コミュニティ人間科学部」には五つの専門科目群があります。「子ども・若者活動支援プログラム」「女性活動支援プログラム」「コミュニティ活動支援プログラム」「コミュニティ資源継承プログラム」そして「コミュニティ創生計画プログラム」。学生はこの中から重点的に学ぶ領域を選び、必要な科目を自由に履修することができます。
 主な特長として、地域実習が必須となっています。地域づくりのサポート、教育支援活動、博物館の活動など、地方の大学や企業、自治体やNPOと連携して、さまざまな体験的実習で、地域の課題解決に必要な力を身につけることができます。
 卒業後は地方公務員、NPO活動、地域の金融機関、一般企業、図書館司書や博物館、美術館の学芸員など、地に足のついた将来像が考えられます。新しい時代の要請に応える、「地域に向き合える人材」。新しい学部は自分の生活を意識し、他者との関係をきちんと考えられる人が向上できる場所です。(談)

新学部を開設予定の相模原キャンパス

『大学ランキング』杉澤編集長が見た「青山学院大学」

奉仕の心を実践

 座談会のなかで三木義一学長が語った「地域と国際社会をつなげる試み」という言葉が印象的です。大学の地域貢献と国際貢献は、ともすれば反対のベクトルを持つ取り組みであるように捉えがちです。しかし青山学院では「地の塩、世の光」というスクールモットーの下、両者が違和感なくつながっているようです。ボランティアが単なる体験にとどまらず、学生たちの思想的な行動指針になっているのだと思います。

地域実習

 2019年春開設予定の「コミュニティ人間科学部」では、地域実習を必修にしたのも面白い試みです。地域の課題解決で即戦力となる力が身につくのだとすれば、卒業後は地元で活躍したいと考える地方の受験生にとっても魅力的です。首都圏以外から広く学生を集め、大学の多様性を保つ取り組みとしても注目しています。

杉澤誠記編集長
朝日新聞出版『大学ランキング』編集長

掲載大学一覧[関 東]

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