千葉商科大学

実学を重んじる教育で90年

トップが語る

日本初の「自然エネルギー
100%大学」へ

大学のプロジェクトを
学生たちも推進

原科幸彦学長
はらしな・さちひこ/工学博士。東京工業大学理工学部(1969年)、東京工業大学大学院理工学研究科修士課程(71年)、東京工業大学大学院理工学研究科博士課程(75年)。社会工学が専門で、参加と合意形成研究、環境アセスメント研究の第一人者として国内外で広く知られている。

──千葉商科大学は日本初の「自然エネルギー100%大学」をめざすと宣言されました。実現に向けて、どんなことをしているのでしょうか。

 本学は四つの「学長プロジェクト」を行っていますが、その一つが、日本初の「自然エネルギー100%大学」という大きな挑戦です。これは、本学所有のメガソーラー発電所などの発電量と、大学のエネルギー使用量を同量にするものです。これを実現するには発電量を増やすだけでなく、一人ひとりが省エネの意識を持ち、行動することが必要ということは言うまでもありません。そのため、「ハード」「ソフト」「ハート」の3要素での充実を進めています。
 「ハード」はメガソーラーやLEDといった創エネ・省エネの設備、「ソフト」はエネルギーの見える化・最適化のシステム、「ハート」は個々の意識を指します。特に、継続的に省エネに取り組む意欲、「ハートウェア」の形成は、社会に影響を与える先進事例として、成功の鍵となると考えています。

──自然エネルギー100%大学への取り組みに、学生が積極的に参加し、行動しています。

 ハートウェアを育むためには「気付き」が必要です。学生有志が立ち上がり夏の打ち水イベントやグリーンカーテン、節電パトロールなどを企画・実施しています。また、学生が問題意識を持ち、アクションを起こしたことで、現在学内の自動販売機のほとんどは省エネ型になっています。
 このケースは学生が能動的に学ぶアクティブ・ラーニングの好例といえるでしょう。学長プロジェクトでは、学部の垣根を越えた多様な専門分野の教員や職員、学生たちが協働しています。学生は知識を蓄え実践し、そこから得る経験や成果から次の行動への意欲的なアクションを考え、奮起していきます。これらは学生にとっても社会に出たときに力となり役立ちます。これこそが、本学の重んじる「実学」なのです。

大学単体では日本一大きいメガソーラー野田発電所

実学教育を通じて
「治道家(ちどうか)」を育成する

学生主体で行われる打ち水イベント

──今年5月に90周年を迎えた千葉商科大学の理念は「商業道徳の涵養」ですが、具体的にはどのようなことでしょうか。

 まっとうな商いをするための心がまえを培うことです。うそをつかない、約束を守る、卑劣なまねはしないといった「武士道精神」。この精神を根底に、しっかりと自分の道を治める「治道家」を育成するのが本学の使命だと考えます。
 治道家とは、大局的見地に立ち時代の変化を捉え、高い倫理観を持って社会の諸課題を解決できる人を指します。本学の創設者であり、文学博士の遠藤隆吉博士が提唱した言葉です。

──社会科学系の大学として、今後、社会にどのような貢献をするのでしょうか。

 「自然エネルギー100%大学」は、本学の社会貢献の第一歩です。2017年に環境省のCOOL CHOICE LEADERS AWARDの優秀賞を受賞しましたが、この取り組みは地域も変え、それをモデルに日本を地域分散型エネルギー社会へ変えていこうとしています。これによって、地域の産業構造も変わります。地域で経済が回る地産地消型の社会への転換です。「商いの力」で社会を変える。この実現へ、本学は貢献したいと思います。
 四つの学長プロジェクトでは〝豊かさを追求しながら地球を守る〟というSDGs(持続可能な開発目標)の方針に沿った取り組みを展開しています。持続可能な社会づくりに対しての貢献です。皆様にはぜひ期待していただきたいと思います。

NEWS[最新ニュース]

NEWS 1全国大学対抗簿記大会5連覇
実践的な会計知識を習得
 2017年11月の全国大学対抗簿記大会で、千葉商科大学は大会史上初となる団体戦5連覇を達成し、1~4位を独占。個人戦でも千葉商科大学の学生が1~8位(4・6・8位はタイ)に輝いた。同大会には全国72大学から2,835人がエントリーしている。
NEWS 2中小企業庁「創業機運醸成賞」受賞
地域と国が認める起業支援
 千葉商科大学の教育が、若者の起業意欲を醸成し、起業の機会を与えているとして、市川市から推薦を受け中小企業庁の「創業機運醸成賞」を受賞。学生が経営する学生ベンチャー食堂や、学生の起業を支援する起業支援室の設置、地域の小学生や幼児に向けたビジネス教育の場を提供する「キッズビジネスタウン®いちかわ」の運営など、若者による新しい事業や開業意欲を高める独自の取り組みが評価されている。

CAREER[就職]

アライアンス企業は755社を突破
2018年度中に目指すは800社到達
 千葉商科大学が就職とキャリア教育で連携する「CUCアライアンス企業」は755社を超える。大学にとっては就職支援の大きな柱となるほか、企業側には学生採用のチャンスや異業種交流でビジネスチャンスも。2020年就活問題にも無縁だ。学内合同会社説明会の参加企業数は毎年延べ1,000社。そのうち約6割がCUCアライアンス企業。2017年度は延べ100社と学内選考会を実施。卒業生で企業に就職をした約3人に1人がCUCアライアンス企業に就職している。
同大の採用・キャリア教育に積極的な企業群
「CUCアライアンス企業」ネットワーク

『大学ランキング』杉澤編集長が見た「千葉商科大学」

「ハートウェア」の形成

 日本初の「自然エネルギー100%大学」というのは非常にユニークな目標です。それを実現するには継続的に省エネに取り組む意欲が大切で、だからこそ学生たちの自発的な「気付き」が必要だというのも、原科幸彦学長が述べている通りだと思います。「ハートウェア」というのは造語でしょうが、実学教育を後押しするアクションワードとして興味深いと感じます。

「治道家」を育成する

 根底に武士道精神を置き、「治道家」を育成するというのが千葉商科大学の教育理念。ここでの武士道精神とは、うそをつかない、約束を守るといった態度のことで、「まっとうな商い」のために必要な心がまえだと学長は言います。また治道家とは、大局的見地に立ち、倫理観をもって社会の課題解決に取り組む人といった意味です。一見すると古い道徳観のようですが、コンプライアンスが重視される現代には非常にマッチした考え方と言えそうです。

杉澤誠記編集長
朝日新聞出版『大学ランキング』編集長

掲載大学一覧[関 東]

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