法政大学

自由を生き抜く実践知

大学のいま

新しい世界へと漕(こ)ぎ出す
フロントランナーの大学として

自由を生き抜く
実践知大賞

田中優子総長

 2017年12月、法政大学では「第1回 自由を生き抜く実践知大賞」の発表と表彰式が開催された。
 会場には、事前にノミネートされた18組の付属校生・大学生・教職員が、少し緊張した面持ちで集まっている。同賞の企画・準備は、法政大学が推進する長期ビジョン(HOSEI2030)の一環をなす教職員組織「ブランディング推進チーム」だ。チームもまた、新企画実施の緊張感に包まれている。
 ここで法政大学が4年以上取り組む「ブランディング推進」について、少しふれよう。ブランディングは、田中優子総長が14年の就任早々手がけた事業。そのスタートにあたり、総長は全学教職員にこう呼びかけた。
 「ブランディングとは、自分が何者であったか、思い出すこと、自らの価値を自覚し、社会に渡す宝ものを、約束することです。社会が変化しても、そのときどきの社会に約束する普遍的な価値を言葉にし、形にし、堅固な土台となるブランドにしていく。私はそのプロセスを、皆さんと共有しようと思います」
 そして、自ら描く法政ブランドのイメージをこう述べた。
 「1880年、20代の3人の若者が本学の基礎を築いた時から、法政大学の理想は、新しい世界に漕ぎ出していくことでした。そして、誰もがそれをなし得る『自由』を獲得することでした」
 法政大学のブランディング推進は、その後1年半かけて、総長も加わり教職員間での意見交換を重ね、2016年に「法政大学憲章」として結実する。憲章では、「自由を生き抜く実践知」という言葉で、法政大学の社会への約束を表した。

法政大学憲章

自由を生き抜く実践知

法政ブランドを
生み出す受賞者たち

 「自由を生き抜く実践知大賞」は、こうして生まれた法政大学憲章をより堅固な法政ブランドとすべく、憲章の精神を体現する教育・研究活動を見いだし、顕彰し、共有し、そして発信しようとする企画だ。
 賞の発表が始まる。初めに各部門優秀賞の発表。「学生部門」は、02年に学生からの提案を受けて始まり、大学のオープンキャンパスに学生が関わる先駆けとなった、オープンキャンパス学生スタッフ。「職員部門」は、文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業採択をきっかけに、若手職員有志が自主的に作成した「大学職員のためのとっさのひとこと英会話」の作成チーム。「教員部門」は、3・11以降継続して学内外の教員・学生で取り組み地元の信頼も厚い、陸前高田地域再生支援研究プロジェクト(宮城孝現代福祉学部教授ほか)が受賞した。
 次に「特別賞」の発表。「人々が災害時でも落ち着いて行動できる社会」の手助けになるものづくりで缶サット国際大会にも出場を決めた、法政大学第二高校物理部が「社会の未来賞」を、手術支援の「医療・福祉ロボット開発」(石井千春理工学部教授)が「進取の気象賞」を受賞した。

大賞は
「自主マスコミ講座」

 最後に「大賞」の発表である。第1回大賞は、教職員有志が30年にわたりボランタリーに取り組んできた「自主マスコミ講座」が受賞。田中総長はその選考理由をこう述べた。「同講座から巣立った卒業生たちの活躍により、自主活動でありながら学外からも高く認知・評価され、『マスコミに強い法政』として本学のブランドイメージの向上に大きく寄与しています」
 〝誰もやっていないことでも、やってみようと思ったらやれる環境〟、法政大学はしばしばそう語られる。フロントランナーが生まれ、活躍し、巣立つ大学、今回の受賞事例はその個性を生き生きと示している。

CAREER[就職]

法政大学「自主マスコミ講座」とは?
 教職員有志による1988年の開設以来、30年にわたりマスコミ業界への学生の就職支援という実践的な目標達成のために、自由な発想で講座内容を充実させてきた。例年多数の学生をアナウンサーをはじめ、マスコミ業界等へ送り出している。卒業後は、マスコミの第一線で活躍しているOB・OGが、後輩のために講師として実践的教育を行う。「先輩から後輩への恩送り」という良き伝統のもと、適材適所で現役生を次々とサポートする体制になっている。
【参考】自主マスコミ講座WEBサイト http://www.jishumasu.com/
アナウンサー出身ランキング
出典:『大学ランキング2019』朝日新聞出版発行

NEWS[ニュース]

江戸東京研究センターを設立しました
 法政大学は2018年1月「江戸東京研究センター」(英語名 Hosei University Research Center for Edo-Tokyo Studies 略してEToS[エトス])を設立した。
 EToSは、法政大学エコ地域デザイン研究センターと法政大学国際日本学研究所の連携による組織で、文理融合の江戸東京研究を目指す。双方の研究の融合により、江戸東京の根源を古代にまでさかのぼって探りつつ、現代東京についても考究することを目的としている。そして、持続可能な近未来都市の姿を提案し、江戸東京研究の世界に向けた発信を行う。現在四つのプロジェクト「水都−基層構造」「江戸東京のユニークさ」「テクノロジーとアート」「都市東京の近未来」が活動中であるが、それぞれが単独に研究を進めるのではなく、すべてのプロジェクトが関連するような工夫をしている。
 長い間、世界の都市モデルとされてきた西洋の都市が文明の限界を感じ、新たな生き方を求めている時代。自然と都市を対立するものととらえる志向性をもった西洋とは異なり、水や緑を都市空間のなかにしなやかにとりこみ、自然と共生する生活文化と美意識を育んできた江戸東京の都市の独特の姿、仕組みが再評価されている。都市東京のユニークな特質を生み出す基層構造をハードとソフトの両面から解き明かし、西洋型の都市モデルとは異なる21世紀にふさわしい都市のあり方を研究していく。
 センター設立後、「江戸東京の基層」(1月20日)、「新・江戸東京研究」(2月25日)と銘打った大規模なシンポジウムを開催したほか、ギャラリーで「続・Tokyo Metabolizing」展を他大学との協力を得て行った。さらに、4月21日には、江戸東京研究センター特別対談企画「日本問答・江戸問答」(出演:田中優子総長・松岡正剛編集工学研究所所長)が開催され、会場は満員となる大盛況となった。今後も研究会やシンポジウム、学内外での地域活動などが予定されている。
詳しくは江戸東京研究センターのHPで https://edotokyo.hosei.ac.jp

『大学ランキング』杉澤編集長が見た「法政大学」

自由を生き抜く実践知

2014年から取り組む「ブランディング推進」プロジェクトから生まれた「法政大学憲章」では、同大学に学んだ人は「社会の課題解決につながる『実践知』を創出しつづけ、世界のどこでも生き抜く力を有する」とうたっています。法学校をルーツとする法政大学は、法の知識を求める市井の人々のために設立された学校。今あらためて社会への約束として「自由を生き抜く実践知」という強力なメッセージを打ち出したことは、自らのルーツと使命を再確認し、前へ進もうという意志の表れでしょう。

自主マスコミ講座

「自由を生き抜く実践知大賞」の第1回大賞に選ばれたのは、「自主マスコミ講座」。教職員有志により30年にわたって続けられてきたボランタリーな活動で、毎年多くの学生をマスコミ業界へと送り出しています。先輩から後輩への「恩送り」という良き伝統は今後も続いて欲しいと思います。

杉澤誠記編集長
朝日新聞出版『大学ランキング』編集長

掲載大学一覧[関 東]

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