
未来を支える人材を立教から世界へ
ツタの絡まる赤レンガ造りの校舎が、長い歴史と伝統を感じさせる立教大学池袋キャンパス。1874(明治7)年にアメリカ聖公会のウィリアムズ主教が東京・築地に開いた私塾は、いまでは20万人以上の卒業生を擁する名門大学へと成長した。今年100周年を迎える池袋キャンパスには、先人たちによって醸成された自由な校風が今も息づいている。
この大きな節目となる年に第21代総長に就任した郭洋春教授は、改めて建学の精神に立ち返るとともに、「三つのC」に取り組みたいと意欲をみせる。
「一つ目は〝Creative(創造)〟。創造力豊かなアイデアを生み出し、かたちにしていきます。そのために必要なのが〝Challenge(挑戦)〟です。そして、絶えず挑戦を続けることで、より良い方向に〝Change(変化)〟していく。創立者であるウィリアムズ主教は、当時の日本が物質的な繁栄を目指す考え方に傾斜していくことに危機感を持ち、個性を重視した人間教育であるリベラルアーツを教育の柱に掲げました。対立よりも協調を、画一化された価値観よりも多様性を重んじるこの精神は、現代のグローバル社会にも驚くほどぴったりと当てはまります。このような時代を切り拓(ひら)くグローバルリーダーには、異なる価値観を受け入れるとともに、自分の意見を伝え、人を動かしていく力が求められます。リーダーというと先頭に立つ人のように思われがちですが、リーダーを支える存在にもまた、リーダーシップが必要です。立教大学では、権限やカリスマ性があることだけでなく、チームをまとめ、活性化させ、仲間の力を引き出すことも『リーダーシップ』であると考えています。それを発揮するためには、自分の頭で考える力を磨かなければなりません」
140年を超えるリベラルアーツ教育や先進的なリーダーシップ教育といったオンリーワンの取り組みが評価され、文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業に採択された立教大学には、そのために必要なスキルを身につけるプログラムがそろっている。その一つが「グローバル・リーダーシップ・プログラム(立教GLP)」だ。これは、議論やグループワークを通して、どこでも、誰に対しても発揮できるリーダーシップを養うもの。さまざまな学部から集まった学生がチームを組み、実践的な課題にアプローチしていく。
また、複数学部で専門科目を英語で学ぶコースがスタート。キャンパス内には外国人留学生との国際交流プログラムも数多く用意されており、日常的に世界を意識して大学生活を送ることができる。さらに、日本人学生のほか、交換留学生も暮らすインターナショナルな寮を設置。交流を深めるなかで、多様なものの見方や考え方が養える環境になっている。
「世の中は得てして、自分の理想通りにはいかないものです。明確な答えがあるわけでもありません。そこで軸となるのは、自分が本当に正しいと思えること、いわゆる納得解を見つけ出すことです。立教大学の学生には自分なりの納得解を持ち、世界を改革する、よりよい社会を作るという意識とともに、社会の一隅に光をあてる人になってほしいと思います」
グローバル教育と並び力を入れているのが、キャリア教育だ。立教大学では、4年間の学生生活を学年単位で考えるのではなく、「導入期」「形成期」「完成期」の三つの期間に分け、それぞれに必要な学びを選択できるようになっている。
1年次から参加できるキャリア支援プログラムにも意欲的で、キャリアセンターや各学部が多数展開している。企業訪問やインターンシップなどを通して社会への理解を深めることで、その後の学びや就職活動に生かすことができる。
「キャリアとは、どのようなビジョンを持って生きていきたいのか、それに向けてどう歩んでいくのかを考え、実践することです。それは狭い教室の中だけではなく、4年間のすべての経験を通して身につけていくものです。いまの自分に自信がなくても不安に思う必要はありません。立教大学には、一人の学生を『オール立教』で支える体制が整っています」
就職率ランキング
『大学ランキング』杉澤編集長が見た「立教大学」
世の中には明確な答えなど存在しない、だから「自分が本当に正しいと思えること=納得解」を見つけるしかないのだと郭洋春学長は説きます。グローバルリーダーに求められるものは自分の頭で考える力。そのためには自分自身の中に判断の基準となる「軸」を持つことが重要です。そのことを忘れないために、「納得解」という言葉を覚えておくのはいいかもしれません。
4年間の学生時代を学年単位ではなく「導入期」「形成期」「完成期」と捉え、1年次から参加できるキャリア支援プログラムも豊富に用意されている点も注目に値します。「キャリアとは、どのようなビジョンを持って生きていきたいのか、それに向けてどう歩んでいくのかを考え、実践すること」。郭学長の言葉は、いま自分の進路について真剣に考え、あるいは悩んでいる多くの人の胸に響くのではないでしょうか。