東海大学

海底から宇宙まで幅広い学びの領域

トップが語る

世界標準の人材育成に向けて
~Think Ahead, Act for Humanity~

全学をあげて挑む
暮らしと社会の課題

山田清志学長

──東海大学は全学的な挑戦として「人々のQOL※1の向上」を掲げています。どのような研究と教育でアプローチしているのでしょうか。

 ライフスタイルが多様化し、かつてない複合的な社会課題が山積する現代において、QOLは様々な領域で考慮される世界共通の価値観になっています。東海大学は19学部75学科の規模を誇る総合大学の力を結集し、横断的な研究体制と文理融合による教育の整備拡大を軸として、この大きなテーマに取り組んでいます。
 今年度は医学部を除く18学部でカリキュラム改定を実施しましたが、その柱として1年次からの必修科目に「パブリック・アチーブメント型教育」を導入しました。これは、学生一人ひとりが早い段階で地域課題と接し、市民性と社会性を高めることを目的としています。QOLの向上に取り組むための出発点は、ニーズの抽出です。キャンパス外に飛び出して得た経験は、4年間の学びの根幹を支える貴重な気づきをもたらしてくれるはずです。

留学生が多く在籍し国際色豊かな湘南キャンパス。学内のいたるところで学生同士が交流している

──学生自身の気づきを大切にしているのですね。

 多くの学生が社会や地域と協働・連携することによって「何が足りないか」「何をすべきか」という視点を持つことができ、より積極的に携わるようになります。課題に向き合う上で、こうした変化はとても重要です。2年次以降も社会的実践力副専攻科目として「プロジェクト実践」「パブリック・スキル」などを中心に、アクティブラーニングを取り入れていきます。
 このほかにも、学生が自由な発想で立ち上げた企画を通じて課題解決力を身につける「チャレンジセンター」では、学部・学科の枠を超えて集まった学生たちが様々なプロジェクトに奮闘しています。活動分野は、災害復興支援、動植物の保護、ソーラーカーや電気自動車の設計・製作、ロボットの開発、病院ボランティア、スポーツでの社会貢献など多彩で、50人以上のチームで1年間にわたってじっくりと取り組みます。学生主導でありながら、教職員がコーディネーターやアドバイザーとしてサポートし、プロジェクトの質を高める体制を整えていることも特徴です。

※1 Quality of Life(人生の質)の意

チャレンジセンター「ライトパワープロジェクト」のソーラーカーチーム は世界大会への出場経験も

世界に存在感を示す
「研究力」の高さ

──近年の東海大学は異分野連携による先進的な研究が注目を集めています。

 最新の研究としては、先端のコンピューター科学を駆使してヒトの自然な再生能力に働きかける「薬による再生医療法」の実現に取り組んでいます。再生医療は、健康寿命の延伸やQOLの向上と深く関わるものです。重要な使命として、総合医学研究所と先進生命科学研究所を中心に、本学の強みを発揮する体制で取り組んでいます。基礎、創薬、臨床までの研究を一貫して行うトランスレーショナルリサーチを実現し、有用な研究をスピーディーに進めていることも特徴です。
 また医・理・工学が連携する学内組織「マイクロ・ナノ研究開発センター」では、外科手術を想定した非常に薄い多層絆創膏(ばんそうこう)や顕微鏡観察用薄膜の開発に成功しました。これらは本学の研究における大きな成果の一つです。針と糸を必要としない医用技術などが応用を目指す段階に入っています。

──文理を問わず、全国のキャンパスから幅広い分野の研究者が参画するプロジェクトも進んでいるそうですね。

 多角的な連携を実現した事例には、衛星観測によるグローバル情報と地域住民などからソーシャルメディアを介して発信されるローカル情報を結びつけて災害や環境変動を監視する「グローカルモニタリングプロジェクト」があります。
 学内はもちろん、アメリカ・ドイツ・中国といった海外の研究機関や日本の地方自治体も携わっており、2年後の運用体制構築に向けてシステムの改良を続けています。社会の安全と安心に貢献することも、東海大学の使命の一つです。

「グローカルモニタリングプロジェクト」は2016年度の私立大学研究ブランディング事業に選定

グローバルな視点で取り組む
新たな研究プロジェクト

──グローバルな社会問題についても新たな研究プロジェクトに注力されています。

 文理融合による新たなプロジェクトとして、「サイバーセキュリティー」分野に重点を置いています。これまでにも、研究理念の一つである「人間の安全保障」の下、本学の平和戦略国際研究所が主導するかたちでサイバーセキュリティー研究に取り組んできましたが、昨今はIoT機器を使った犯罪やサイバーテロの多様化によって、その影響が大きくなりつつあります。東海大学は、この問題に緊密な国際連携を生かして取り組むべく、昨年12月に国内外の有識者を招いて「サイバーセキュリティーシンポジウム」を開催しました。当日はわが国のサイバーセキュリティーの最高責任者である菅義偉官房長官にもお越しいただき、本学とモスクワ国立大学との連携が生み出す成果に政府として期待したいと激励を受けました。
 学内のサイバー空間への規制を高めつつ、経済成長やQOLの向上にセキュリティー技術をどう活用すべきかを検討し、今後も多角的な視点で研究を進めます。
 また、意見交換から抽出した課題は、教育面においても重要なテーマです。学生たちが実学に接するモチベーションにしていきたいと考えています。

──昨年は地道な解析作業が大きな発見につながったというニュースもありました。

 昨秋、JAXA※2で技術研修生として月の研究に取り組んでいる本学の大学院生が、探査衛星「かぐや」のデータを解析して月の地下に巨大な空洞が存在することを示す証拠を発見しました。幅100㍍、長さ50㌔にもなるといい、将来的な月面基地の建造などにも大いに関係するだろうと考えられるものです。これまで目をとめる人がいなかった既存のデータを丹念に調べ上げた努力の成果ですが、本学の研究姿勢を表す出来事だと考えています。

──研究成果と教育の質に、ますます期待が高まっています。

 昨年の建学75周年を機に、学園の姿勢として「先駆けであること~Think Ahead, Act for Humanity~」を掲げました。東海大学は海底から宇宙まで幅広い学問領域を有し、その研究知見を建学時から世に還元してきました。今後も「自主性を持って社会を支える創造的な人材」を国内外に送り出し、社会の期待に応えます。

※2 宇宙航空研究開発機構

NEWS[最新ニュース]

NEWS 1日露ブリッジ人材の育成プログラムが始動
夏期実施の研修航海でウラジオストクを訪問
 国際的な教育連携を支援する文部科学省の「大学の世界展開力強化事業(ロシア)」に採択された「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成」プログラムが今年度から始動している。東海大学は旧ソビエト連邦時代から50年以上にわたって学生を相互に派遣し、学術研究と交流を深化させてきた。その知見とネットワークを生かし、極東地域で文理の枠を超えたライフケア人材を育成する。
 2017年度「大学の世界展開力強化事業」―ロシア、インド等との大学間交流形成支援―のタイプA〈ロシア〉には東海大学を含めた私立2大学と国立5大学の全7大学が採択された。ロシアからのプログラム連携大学として5大学の参画も決定しており、将来的なプラットフォーム構築に向けた密なコミュニケーションが期待されている。事業の中核を担う東海大学は、海洋調査研修船「望星丸」での研修航海を実施。東海大学の学生はもちろん、同事業で協働する他大学の日本人学生や教員が同船する。ウラジオストク出港後はロシアの学生と教員も加わる予定で、洋上講座や学生会議などのプログラムが実施される。
海外研修「ウラジオストク航海」は、日露で100人以上の学生と教員が乗船し、共同生活の中で学び合う特別プログラム。期間は2018年8月7日(火)から15日(水)までの9日間
NEWS 2「QOLの向上」に資する大学を牽引(けんいん)する
健康学部の特徴的な学び
 今年開設した健康学部は、健康社会の創造に向けて健康を多角的に捉えるための多様な知識と高度技能を備える人材を育成。人やサービスを柔軟にコーディネートする「健康マネジメント力」を身につけることを目指し、社会制度、データ解析、心理学、栄養、エクササイズといった多岐にわたるカリキュラムを構築している。学生自身の健康管理をサポートする工夫が取り入れられていることも特徴だ。学部拠点の湘南キャンパス5号館には、心拍数や体組成などの健康データを蓄積し健康状態を把握・分析する仕組みや、日々の生活でストレッチを推奨したり消費カロリーを意識したりする仕掛けが施されている。また大学として日本初のマンツーマンでのトレーニング指導ができる専用施設など設備も充実。ソフトとハードの両面で新たな学びを構築している。 ※2018年4月東海大学調べ

『大学ランキング』杉澤編集長が見た「東海大学」

ニーズの抽出

 全学をあげて挑戦するテーマとして、「人々のQOLの向上」を掲げる東海大学。その出発点となるのは「ニーズの抽出」だと山田清志学長は語ります。1年次から必修のパブリック・アチーブメント型教育は、早い段階で学生たちの市民性と社会性を養うことが目的です。そのように社会が求めるものを自発的に探す体験は、卒業後も必ず役立つでしょう。

海底から宇宙まで幅広い学問領域

 19学部75学科を擁する総合大学の規模をイメージしすいキーワードとして、この言葉を選びました。「自主性を持って社会を変える創造的な人材」を世に送り出すことを使命とする東海大学にとって、学問領域が多分野に広がっていることは必然であり、受験生にとってはその多彩さが魅力と言えそうです。2018年春に新設された健康学部も、「QOLの向上」のけん引役として今後の展開に期待しています。

杉澤誠記編集長
朝日新聞出版『大学ランキング』編集長

掲載大学一覧[関 東]

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