
グローバル人材の養成
──東京国際大学の国際性は高い評価を得ています。目指すべき人材として掲げる「真の国際人」はどのような人物でしょうか。
国内外で不安定な情勢が続いていますが、この要因の一つに挙げられるのが「コミュニケーション」です。誰もが自身の思いを発信してつながり合うことができる一方、簡単に傷つけ合ってしまうこともあります。私たちは、個人・組織・国家と様々なレベルにおいて、それを目にする機会がありますが、これからは人としてのあり方が問われる時代です。多様性を尊重しながらも、私利の先にある人類に寄与する正義をより強く求めていく必要があるでしょう。
「真の国際人」とは、単なる英語の使い手ではなく、人類の普遍的な価値観としての「公(おおやけ)」の概念を理解し、体現する人物と位置付けています。
──学修カリキュラムも特徴的です。
こうした人材を育成するため、本学では英語教育、スポーツ教育を柱に、「大志」「勇気」「知性」を涵養(かんよう)する独自の教育カリキュラムを展開しています。また、社会人に必要とされる応用力・実践力を身につけるため、他者との相互理解を促すことや、社会における立ち位置を把握することを重視し、アクティブラーニング、JTB総合研究所との協働をはじめとする産学連携プログラムにも注力しています。
2年次以降は実践型の科目が増え、学生たちはインターンシップや英語を活用した国際会議場などの研修の場で「公徳心」の大切さを改めて実感します。普遍の概念とひもづく学びは、社会に出た時に大きな自信になるのです。
──英語教育では「品格ある英語」を掲げていますね。
50人のネイティブ教員で構成する本学独自の英語教育組織GTI※1では、アメリカの語学教育の手法を取り入れた少人数制のレベル別英語授業を展開しています。実社会で生かせる英語力を身につけるプログラムは海外事業を展開する企業からも注目を集めており、社会人向けの語学研修などを実施して高い評価を得ています。
世界の留学生とともに英語で専門科目を学ぶE-Track※2も、特徴的なプログラムです。加えて、62カ国(地域)から1200人の留学生が集うグローバルで多様性に富んだキャンパスを持つ本学の強みが、国際会議をシミュレーションする「模擬国連」などでも生かされています。本学の模擬国連クラブは相手の立場を尊重する討論によって全国大会で上位の成績を収めています。
──海外留学を目指す学生は多いのでしょうか。
日本人学生の8人に1人が留学を経験します。アメリカの姉妹校ウィラメット大学で学ぶ独自の留学プログラムASP※3や、競技の本場の地で英語や技術を学ぶスポーツ留学プログラム(サッカー/イギリス・ドイツ、テニス/アメリカ)など、様々な制度をそろえています。
さらには、日本から8大学が参画する世界的な交換留学推進組織ISEPに加盟しており、世界約320大学を対象とする交換留学プログラムに参加することも可能です。
※1 Global Teaching Institute
※2 English Track Program
※3 American Studies Program
──海外留学を手厚くサポートする体制を整えつつ、日本の文化や伝統が体感できる仕組みづくりも進めています。
本学は日本をきちんと学べる大学でありたいと考え、海外からの留学生が日本の文化や政治経済などを学ぶJSP※4を開講しています。加えて、日本の文化や伝統、精神を発信する「日本文化研究所」を設置し、第一線で活躍する方々と協働しています。「礼に始まり礼に終わる」などの日本が世界に誇る礼節に、留学生と日本人学生の双方が触れられるようにしていますが、日本人学生の反響も大きいですね。母国を学んで、海外の言葉や風に触れることで均整が取れるようになります。4年という限られた時間でこれを同時にできるのが、東京国際大学です。
──活躍の場を世界に求める上では、どのようなことが必要でしょうか。
自分のルーツや日本での学びを生かして、世界に向かっていくことだと思います。「日本はどんな国か」と尋ねられた時、心からの実感を伝えられる人になりましょう。世界を舞台に活躍したいと考えるのであれば、本学で学ぶことに意義をきっと見いだせるはずです。意欲あふれる皆さんをお待ちしています。
※4 Japan Studies Program
『大学ランキング』杉澤編集長が見た「東京国際大学」
真の国際人とは何かという問いに対して、語学力より優先するものとして「人類普遍の価値である『公』の概念を理解し体現する人」を挙げるところに東京国際大学の個性があります。倉田信靖理事長・総長は、そうした人材を育てるために「大志」「勇気」「知性」をじっくり育てる独自のカリキュラムがあると語っています。スポーツ教育に注力する同大学ならではの、「フェアプレイ精神」に通じるものを感じます。
留学生が日本の文化や政治経済について学ぶ「JSP」や日本文化研究所の取り組みには日本人学生からも大きな反響があるそうです。こうした場を学内に用意している意図を、学長は「母国を学び海外を知ることで均整が取れるようになる」と説明します。62カ国(地域)から1,200人の留学生が集う学びの環境は、まさに「国際大学」の看板に偽りなし、という印象です。