中央大学

行動する知性。-Knowledge into Action-

東京メトロ「市ケ谷」駅6番出口からすぐの市ケ谷田町キャンパス入り口。建物全体が、国際情報学部の コンセプトに基づいたカラーやデザインで統一されている

時代が求めた新学部
法律×ITで開ける未来

伝統と革新性を備え
新学部「iTL」が始動

平野晋国際情報学部長

 今年4月、中央大学に26年ぶりの新学部が誕生した。そのひとつが、国際情報学部だ。情報通信技術が日々発展する現代では、法律が追いつかないこともしばしば。そんな社会の課題解決のために、工学系と法学系の学びが合体。「情報の仕組み」と「情報の法学」を融合した専門力、さらに「グローバル教養」を体系的に学び、社会に受容されるサービスや政策を実現できる人材育成をめざす。
 中央大学は「法科の中央」といわれるように、法律は最も自信のあるところだ。国際情報学部の平野晋学部長は「今の時代、法律も新しい情報分野に踏み出さなければならない」と話す。
 「法律学は積み重ねの学問分野です。国際情報学部では法学概論から憲法、民事法、刑事法などの基本を習得してもらい、そのうえで情報に関する法律を学んでもらうことが1本の柱です。もう1本の柱が国際社会で通用する『情報の仕組み』の学習。例えば、プログラミングの基礎、ネットワークの構造などの基礎的なITの仕組みです。高度な数学を使って情報技術を掘り下げるのではなく、文系の学生に必要なことを学びます」
 国際情報学部の通称は「iTL」。ロゴはInforma-tion Technology&Lawの頭文字ITとLを組み合わせてデザインされたが、学部でロゴを取り入れたのは中央大学では珍しいという。
 「iTLというロゴを作ることで、中央大学と言わなくても『ITと法律を学べる、都心のあの学部だよね』と多くの人に認知してもらえるロゴをめざしました」
 学部のイメージカラーも珍しい黒色を採用。「スティーブ・ジョブズのTシャツの色です」と平野学部長は笑うが、いずれも「世の中をトランスフォームさせるようなイメージを浸透させたい」との思いが根幹にある。
 いい意味で中央大学らしくない、ブレイクスルーした最先端の学部を作ってほしい──。iTLの新設にあたってそんな命を受けた、と平野学部長は振り返る。「iTLは中央大学を革新させるような学部であると同時に、中央大学のDNAである『實地應用ノ素ヲ養フ』、つまり、実学というところは伝統にのっとり学んでいきましょう、そして『法科の中央』も生かしましょうと立ち上げました。私の知る限り、ITと法律を組み合わせた学部は日本には他にありません。ここでは文系でもITの基礎が学べる。さらに法律も学べる。これが私たちの強みです」
 いまや誰もがITとかかわらずに生きていくことは難しい。日本の小学校では2020年度からプログラミング教育が実施され、文系の学生の中には「今の小学生に淘汰(とうた)されるかも」と危惧する者もいるという。数学が苦手な文系の学生だってITを学びたい。「文理融合」こそが時代の鍵。IT系と法学系の学びが融合するiTLは、時代の要請にかなった学部といえる。

文理融合の時代こそ
「教養」が重要に

 日本政府も「文系学部においてもAI等の基礎的な知識を教えるように提言している」という。現在政府はIT分野で、情報社会(Society4.0)の次に来る社会「Society 5.0」の実現を政策に掲げる。インターネット上の仮想空間(cyberspace)と物理的な現実世界(real world)とがつながる「サイバー・フィジカルな社会」=Society 5.0で人間中心の社会をめざすという政策だ。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を用いて経済発展と社会的課題の解決を両立するには、ITと法律の知識と実践力を身につけた人材が必要なのだ。
 一方、いまは理工系の学生にも、社会規範や国際的な価値観を学ぶために文系分野である倫理や哲学、異文化の理解などの教養が求められる時代だ。米マサチューセッツ工科大学やコーネル大学など海外の有力大学でも、文理融合の流れは必定。iTLではこうした教養があってこそ、「法律が追いつかないAIなどの新しい情報技術への対策も、倫理学や国際社会規範の視点から検討する思考力を養うことができる」と考え、「グローバル教養」の学びにも力を入れる。
 英語の充実した授業もその一環だ。1年生で学ぶのは統合英語。読む・聞く・書く・話す、の4技能を一気に教える。
 「社会に出れば英語は絶対不可欠なツール。この4技能を伸ばす必要があると考えました。2年生は情報英語。コンテンツは法学と情報学で、iTLの授業内容を英語教材として学んでもらいます。学びたい内容であればどんどん吸収するはず。単に英語の能力を高めるだけでなく、専門科目の独特の単語もアクティブに使えば一石二鳥の学びになるはずです」

企業、行政と連携し
最先端の情報で学ぶ

二つの意味が込められた「iTL」のロゴ

 また、全学的に提供している留学制度に加えて、2年次は選択科目で学部独自の「ICT留学」もある。「学生のやる気スイッチを入れる」ための仕掛けで、1カ月程度の短期留学制度だ。こうした学びで、卒業時には社会で使える英語レベル、TOEICでいえば700点程度になっていることをめざす。
 iTLにはIT&Lの意味の他にもう一つ、市ケ谷田町キャンパスが人、社会、情報をつなぐという「Ichigaya Tamachi Link」の意味も込められている。新宿区の市谷田町という地の利を生かして産業界と学術界と行政が連携するリンクをめざす。これもiTLならではの強みだ。
 課題解決策を「社会実装」するまでがiTLの学びというだけに、各界から実務家教員を招聘(しょうへい)。まずは今年度から3年間、総務省から、内閣府のセキュリティー担当をしていた人材を特任教授として迎え入れた。
 企業では昨年、スクウェア・エニックスと連携協定を締結した。「特殊講義(ゲームプランニング)」の協力講座を展開する。「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といった人気ゲームの世界戦略やCSR(企業の社会的責任)を扱う予定であり、学生たちの注目が集まる。
 企業との連携は就職においてもプラスだ。ITと法律を身につけた人材は幅広い業種で求められるのは間違いない。
 「すでにiTLで学ぶ学生を望む企業は多いですし、私たちも連携をきっかけにインターンをお願いしたい。学生が経験できれば自分に合っているかマッチングもできます。企業との連携は一挙両得です」
 卒業後の進路についてはOECD(経済協力開発機構)や国連といった国際機関、国際NGOや国際NPOといった社会に貢献する組織をめざすほか、情報政策を扱う公務員系も狙ってほしいと平野学部長は話す。もちろんIT企業を始め、電気通信事業や関連メーカー、マスメディア、コンテンツ系の企業、広告会社や広報パーソンなども有望だ。
 自動運転機能で起きた自動車事故は誰の責任か──。AIやIoTの革新で、法律が追いつかない社会で起こるそんな問題を、テクノロジーで解決すべきか、社会の考え方やルールで解決すべきなのか。iTLでの4年間で両方を見極める視点を養い、相乗効果で両方をつなぐ知識と手腕を身につける。そんな学生たちの未来は、無限の可能性を秘めている。

入り口を入ってすぐの1階エントランスホール。壁面のモニターにiTLのロゴが映し出されている。ガラス張りで明るい空間だ
上階へのエレベーター前に設置された、顔認証システム

CAMPUS TOPICS

新しい学部で、新しい学びに挑む。
国際情報学部1期生が語る、
市谷田町のキャンパスライフとは
希望を抱いて入学した学生たちは日々、
まっさらなキャンパスで何を感じているのか。
集まった1期生3人の率直な話から見えてきたのは、
「自分たちで作り上げる」楽しさだ。


 スタートしたばかりの国際情報学部での学びや学内の様子は、どのようなものなのだろうか。「高校生の頃から情報と法律の両方に興味があった」というスヘイル翔輝流(ときる)さん(神奈川県立希望ケ丘高等学校出身)にとって「どちらも学べるiTLは理想の学部」。初心者ながら授業で積極的にパソコンを活用したり、バスケットボールサークルを立ち上げたり、大学生活を楽しむ。
 田村優奈さん(筑波大学附属高等学校出身)は情報技術系に興味があり入学した。だが、「授業を受ける中で法律の面白さを感じ始めました。将来につながりそうな、情報に関する国際標準の法学理論や政策の『情報法』の授業など、幅広く学べます」と満足げだ。伊藤花さん(静岡県立浜松北高等学校出身)は逆に、法律を学びたくて入学したが、ほとんどパソコンを使ってこなかった。「不安もある中で飛び込みましたが、『基本情報技術者試験』などの資格につながる授業もあり、学びの体制は盤石。真面目に勉強していれば情報系の授業にもついていけます」と話す。
 3人が「iTLに入学して驚いた」と声をそろえるのが、1期生の積極性だ。1期生しかいない市ケ谷田町キャンパスで、入学してすぐに学園祭の話が持ち上がり、実行委員には1期生150人のうち3分の1の約50人が手を上げた。自身も立候補した伊藤さんは、「『自分たちがイチからこの学部を作り、よくしていくのだ』というエネルギーがすごく強い。ぼやぼやしていたら置いていかれそうです」と笑う。
 また、「サークルも自分たちで作り始めています」と田村さん。4月の時点ですでに10のサークルが活動を始めている。デジタルコンテンツに関わるiTLならではのサークルも誕生したという。
 授業での不明点はもちろん、パソコン操作やトラブル解決、さらに課外活動に至るまで、大学側のサポートも整い「安心できる環境」と3人。それぞれの目標は「法律をメインにして情報と法律の橋渡しをできる人になる」(伊藤さん)、「自分の視野を広げるために、手当たり次第に挑戦していく」(田村さん)、「留学して、ルールを作る側の人間をめざす」(スヘイルさん)だという。iTLを「自分たちで作り上げる」彼らが、これからの情報社会を作り上げていくだろう。可能性に満ちた彼らの未来に期待は高まるばかりだ。
田村優奈さん、伊藤花さん、スヘイル翔輝流さん(写真左から)。すぐに共通の話題を見つけ、会話がはずむ3人。コミュニケーション力の高さが、活気のある学部を作っている

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