
未来を支える人材を立教から世界へ
1874年創立の立教大学。池袋キャンパス(東京都豊島区)と新座キャンパス(埼玉県新座市)で、学生は知的好奇心旺盛に学ぶとともに、自らのキャリアを主体的に切り開く。
郭洋春総長はこう話す。
「大学生活で感性や知性を育むこと。そして、社会の変化に応じて、自分ができることや好きなことで世の中に新しい価値を生み出せる人材を送り出すこと。それが私たちの使命です」
立教大学では、学部とキャリアセンターの双方で1年次から参加できるプログラムを多数展開し、「学ぶ力」や「考える力」が身につくキャリア支援を行っている。経営学部の教授でもある佐々木宏キャリアセンター部長は言う。
「本学では『キャリアの立教』というキーワードを使って学生たちに就職やキャリアについての考えを伝えています。入学直後から、自分がいずれ世の中にどんな価値を与えられるのかを考える場を設けています。全学年対象の『社会を知る講座』というプログラムも展開しており、そこには最新の社会情勢を反映しています。昨年は『AI 人工知能と働き方改革』というテーマで、人生設計のヒントを得てもらいました」
2016年には卒業生で構成される「立教グローバル/ローカルキャリア支援ネットワーク」という組織を発足。幅広い業界で活躍する卒業生たちが後輩の成長を手助けする。
「約20万人の卒業生が惜しみなく学生のキャリア形成に協力してくださっています。『社会を知る講座』では卒業生が講師を務め、学生たちも社会や働き方の変化について真剣に考えています」と郭総長は胸を張る。
さらに、就業体験のインターンシップも充実している。特に力を入れているのは「立教型インターンシップ」だ。これまで企業や行政と築き上げてきた深い信頼関係を土台にして、学生ニーズにマッチしたプログラムを展開している。2018年度は96もの実習先が用意された。
2017年度の立教大生のインターンシップ参加率は83.4%で、全国平均より28.2%も高い。リベラルアーツ教育とキャリア支援が充実する環境だからこそ、論理的思考力や課題発見・解決能力、未来社会の構想・設計力を着実に育み、未来へと踏み出していける。授業やキャリアセンターのプログラムを公開することで、個性豊かな学生の普段の様子を企業に知ってもらう企画も検討中だ。
立教大学には、創立時から約150年続く「リベラルアーツ教育」がある。「教養教育」と日本語訳される学びだが、単に幅広い知識の蓄積にとどまらず「社会や未来を豊かにできる物事の見方や生き方を磨く学び」を提供している。
革新的な取り組みにも積極的な立教大学のリベラルアーツ教育は進化を続けている。2020年4月に、国内初となるAIに特化した「人工知能科学研究科」を開設。大学院の修士課程だが、学部教育とも連動させる予定だ。郭総長は言う。
「AIは新たな知識創造型社会に不可欠なもの。リベラルアーツに付加する形で、文理融合型でAIの技能や情報リテラシーを学ぶことが、真のグローバルリーダーの育成につながるはずです」
長い歴史で培った充実した学修環境と、時代の最先端を見据えた視点。伝統と革新が調和する立教大学で、新たな価値を生み出す人材が育まれている。
2019年4月、日本経済団体連合会と国公私立大学の代表者によって構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が「中間とりまとめと共同提言」という文書を発表した。インターネットやAI(人工知能)がさらに発展する近未来において重要になる知識・能力に続けて、時代が求めるさまざまな力を涵養(かんよう)するためには「リベラルアーツ教育が重要である」と記されている。それは、立教大学の教育方針に重なる。
時代に先駆けて展開されてきたリベラルアーツ教育の魅力を実感しているのは、金澤まりあさんだ。2019年3月に社会学部社会学科を卒業し、東京急行電鉄に就職した。金澤さんは1年次の「英語ディスカッション」が特に印象に残っている。
「あるテーマについて英語で議論する経験が1年次のうちにできたことで成長できました。英語力はもちろん、論理的に話す力やプレゼンテーション力も身につきました」
社会学部では特に都市社会学や地域社会学が充実していたという。金澤さんは「地域社会について学んだゼミも『街づくり』をテーマにした卒業論文の執筆も、今後の自分に役立ちます。政治学や経済学など、自分の専攻とは別分野の関心事について学べる点もリベラルアーツの大学ならではの魅力です」と話す。
社会人生活を始めた東京急行電鉄は鉄道だけでなく、都市開発や生活サービス、ホテル・リゾートなど、幅広く事業を手掛ける。金澤さんは立教大学で身につけた論理的思考力や課題解決力を人々の営みに反映させる毎日に、胸を躍らせている。
宮田恭宏さんは、立教大学のキャリア教育を通して「自分がどう生きていくべきか」を発見することができた。2019年3月に経営学研究科を修了し、現在はセンサや測定器などの製作販売を行う大手機器メーカーに勤務する。
学部2年次、中国・上海での海外インターンシップを経験した。立教大学出身の先輩が経営する会社に出社した初日、開口一番「君ができることは?」「私たちが君を雇う価値はどこにあるの?」と問われて、言葉に詰まった。
「そもそも、『インターンで何が学べるのだろう?』という姿勢が受け身だったかもしれません。それ以来、自分が組織に与えられることは何か? を考えるようになりました」
宮田さんは「これができます!」と言えることを増やそうと努力。経営学部と経営学研究科の授業で、自分はどうすれば効果的にリーダーシップを発揮できるのかを学んだ。上海でのインターンから帰国した後の学部3年次には、大学の制度を使ってカナダのビジネススクールに留学した。
「苦手だった英語も必死に勉強しました。トップエリートといえる仲間たちと英語でビジネスについて議論しながら、自分の世界がどんどん広がっていった感覚を忘れられません。立教大学には自分を磨ける環境が整っています。意識と行動次第で、成長の度合いはどこまでも伸ばせます」