
高い教育・研究力で未来を切り開く
創価大学は1971年、「人間教育の最高学府たれ」「新しき大文化建設の揺籃(ようらん)たれ」「人類の平和を守るフォートレス(要塞)たれ」を建学の精神に掲げて開学。以来、多様性を尊重し、グローバルなステージで新しい価値を創造する「創造的な世界市民」の育成に取り組んでいる。その取り組みは、2015年に国連サミットで人類共通の課題として採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念との共通点も多い。
SDGsとは、地球を守り、よりよい方向へと世界を変えていくための17項目からなる目標。貧困や飢餓の撲滅、気候変動や環境問題への対応、そして質の高い教育や健康と福祉など、人類が抱える幅広い問題に及ぶ。2030年までに「誰も置き去りにしない」地球社会の実現をめざしている。
2019年4月、英国の高等教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が発表したSDGsの取り組み状況を評価する「THE University Impact Rankings 2019」では、創価大学が世界101~200位(日本の大学では4位に相当)にランクインし、創価大学の多岐にわたる教育・研究が高く評価された。
たとえば、途上国に「持続可能な循環型社会」の形成をめざすプランクトン工学の研究事業では、エチオピアの3大学との共同研究で、エチオピアの環境改善や栄養改善、雇用創出への貢献に取り組んでいる。
また、女性教員・女性研究者の支援や育成を行うことを目的に、ライフイベントと教育・研究活動を両立できる環境整備に努めている。2016年、東京都八王子市内の高等教育機関としては初の事業所内保育所「つばさ保育所」を開所した。
2014年には国連アカデミック・インパクトへ参画し、それを機に発足した学生団体「ASPIRE SOKA」が「難民映画祭」や「Global Citizenship Week」というSDGsに関する展示・講演会を開催するなど、学生や教職員の意識向上に努めている。また、2016年には国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と「難民高等教育プログラム」の協定を締結。現在、ミャンマーやシリアからの難民を含め、世界55カ国・地域から約690人の留学生を受け入れており、学生たちは多様性あふれるキャンパスで学んでいる。
さらに、2019年度には、「SDGs推進センター」を開設。2021年に迎える創立50周年、そして、2030年をめざし、SDGsの達成と「誰も置き去りにしない」地球社会の実現に貢献する教育・研究を加速させる。
「創造的な世界市民」の育成に取り組むなかで、学生は「知力」と「人間力」を磨き、日本をはじめ世界を舞台に活躍している。「Girls20サミット 国際女性会議」には、2018年まで4年連続で創価大学の女子学生が日本代表として参加。ICU(国際チア連合)チアリーディング世界選手権では、4年連続金メダル(世界一)を獲得。「第66回全日本吹奏楽コンクール(大学の部)」では、4度目の金賞を受賞した。
そのほか、国際会議やコンテスト、地域貢献など、多くの分野で日頃の活動成果を発揮している。また、卒業生には外交官や弁護士、公認会計士も多く、教育界、経済界など各地域のあらゆる分野で「自分力」を発揮し、国際社会の発展に努めている。
一方、研究面では、最先端の「糖鎖(とうさ)」の研究が進められている。糖鎖は炭水化物の仲間で、糖類の最小単位の単糖が鎖状に連なったもの。単糖や多糖はエネルギー源などとしての役割を持つが、糖鎖は体中の細胞の表面にヒゲのようにくっついて細胞の相互認識などの役割を担う。生物が生きていくうえで欠かせない物質だ。
理工学部共生創造理工学科の西原祥子教授はこう話す。
「糖鎖は、私たちの体の生命反応に深く関わっています。糖鎖の働きを解明することで、さまざまな病気や不調の原因解明、治療法の確立につながることが期待されているのです」
西原教授の研究テーマの一つが、ヒトをはじめとする哺乳類のES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)を、糖鎖を使って未分化な状態に保つことだ。これらの細胞はあらゆる組織や臓器になる能力を持つが、分化が進むほどなることのできる細胞の種類が限定されてしまう。再生医療などへの活用の幅を広げるためには、細胞を未分化な状態のまま維持することが重要になる。
「細胞の表面にある糖鎖の力で未分化状態を維持できれば、再生医療の研究が大きく進展する可能性があります」(西原教授)
SDGsの目標の一つ、「すべての人の健康と福祉の実現」に向け、創価大学の研究者たちは日々、努力を重ねている。