
多国籍キャンパスで実践力を磨く
高度経済成長期さなかの1965年に、「真の国際人」の輩出をめざして創学された東京国際大学。商学部のみの国際商科大学※1として産声を上げ、50年あまりで5学部9学科の文科系総合大学へと発展してきた。近年は特に、独自の教育プログラムや国際性に富んだキャンパスづくりが支持され、志願者数を伸ばしているという。海外からの注目度も高まっており、留学生も年を追うごとに増加、68カ国・地域の約1300人が学んでいる。実際、緑豊かなキャンパスを歩いていると卒業生の「8人に1人が留学」というデータに象徴される海外志向の高い日本人学生と留学生たちが語らう姿を、さまざまな場所で目にすることができる。
垣根のない学びの場で養成される「真の国際人」とは、どのような人材なのか。倉田信靖理事長・総長は、一つの立場にとらわれずに世界を俯瞰(ふかん)し、人類普遍の「公(おおやけ)」の概念を体現する人物だと説く。「大前提として、本学では単なる英語の使い手は育成しません。昨今の世界情勢は実に不安定で、民族・宗教・文化などに起因する対立や支配が不均衡をもたらしています。今後グローバルに活躍する人材は間違いなく、人としてのあり方が問われるでしょう。そこで本学では、確かな語学スキルと専門性を高めるなかで、日本が誇る精神的財産である『公徳心』を根付かせるカリキュラムを整えています」
たとえば、母語レベルに究めていく語学では、丁寧な対話を念頭に置いた少人数制授業を展開。学びの柱の一つに据えて強化しているスポーツでは、和を重んじながら研鑽(けんさん)し、弱者に配慮するメンタリティーを培っていく。4年間の学びのすべてが、公徳心に帰結する。「日本人と外国人の区別なく、『公徳』の気づきを得てほしいと考えています。この普遍の哲学は、必ず世界と人類に寄与します。和を尊ぶ日本の中心である『東京』、そして『国際』と称する本学がこれを発信し続けていくことは、いわば使命です」。
だが、東京国際大学は海外志向に偏重もしない。日本文化に触れる機会を増やすために、講演会の実施、学内にしつらえた茶室の活用、美術館や博物館を利用しやすくするキャンパスメンバーズへの加盟など幅広い施策を取り入れている。世界の青年が学び合う場としてのバランス感覚も大きな特徴だろう。
※1 1986年改名
東京国際大学の英語教育は、企業の語学研修にも活用されている。その背景には、ビジネスシーンで通用する「品格ある英語」へのこだわりがあるという。質の高い授業が成果を生み、英語に堪能な学生が議論で外交スキルを披露する「模擬国連会議全日本大会」において2年連続で優秀賞を受賞している。学修の出発点は、アメリカの語学教育の手法を取り入れた約50人のネイティブ教員による英語教育組織GTI(Global Teaching Institute)のレベル別少人数授業だ。アメリカの姉妹校ウィラメット大学で1年間学ぶASP(American Studies Program)、留学生とともに専門科目を英語で学ぶE‒Track(English Track Program)、約360大学との国際交流協定に基づく留学など特徴的なプログラムもそろう。2017年からは、GTI・ASP・E‒Trackまたは長期留学で、年次ごとに英語力を高めながら専門分野を学ぶ学部横断プログラム「グローバルコース」※2が始動した。さらに2020年度は言語コミュニケーション学部で、ビジネス系科目を学び、留学と海外インターンシップを取り入れた「グローバルビジネスコース」※3が開講。世界へはばたく即戦力の育成プログラムをますます充実させる。
またスポーツの分野では、坂戸キャンパスに整えられた国内大学トップクラスの設備を活用し、一流の指導者の下で学生が研鑽を積んでいる。「世界を舞台に戦う人材を育成していますが、今後は健康づくりやスポーツ文化の発展に寄与する人材育成にも注力します」と倉田理事長・総長。2021年、人間社会学部に理学療法学科※4の開設を計画しているという。
50年、100年先の社会を見据えて。東京国際大学は、日本と世界の双方で活躍できる人材育成に取り組む。「私たちは確かなスキルを身につけ、興味の幅を広げる手がかりを提供します。意欲に満ちた皆さんとの出会いを楽しみにしています」
※2・3 出願時に一定基準の英語スコアが必要
※4 設置構想中