駒澤大学

「しなやかな、意思。」

「住宅・建築物省CO2先導事業」にも採択された「種月館」

禅の教えを活(い)かし
社会に貢献する駒澤人

伝統を受け継ぎつつ
刷新を重ねる

学生ファーストの取り組みを続ける長谷部八朗学長

 駒澤大学の起源は1592年、江戸駿河台吉祥寺境内において禅の実践や仏教の研究などを目的に創設された「学林」とされる。現在の駒沢オリンピック公園の隣接地に、駒澤大学の前身「曹洞宗大学」が移転してきたのは1913年のことだ。
 今では総合大学として7学部17学科9大学院研究科をもつ駒澤大学。2017年に長期ビジョン「駒澤2030」を策定し、昨年から「駒澤大学ブランディング計画」を始動した。旗振り役を務めるのが長谷部八朗学長だ。
 「本学は、建学の理念にある仏教の教えと禅の精神が、陰に陽に脈々と息づいてきた自負があります。それをあえて可視化し、自らのアイデンティティを再確認したうえで教育に反映させることがこの計画の原点。大切な伝統を受け継ぎつつ、刷新を重ねていくことが重要と考えています」
 計画の拠りどころとして掲げるスローガン「しなやかな、意思。」に込めた思いを語る。
 「5年先が読めない不安定な今の時代は、状況が悪化してもただ撤退するのではなく、同時に次へのアプローチを考えられる複眼的で臨機応変な思考回路が必要です。そういう〝しなやかさ〟を、私は仏教の言葉で『柔軟心(にゅうなんしん)』と表現しています。これは建学以来一貫してめざしてきた、『智慧(ちえ)』(物事の本質を洞察すること)と『慈悲』(あらゆるものを大切に扱う心)によって自己形成していく学びの姿ともつながります。学生には、身につけた専門性を実際の物事に応用させて柔軟に対応しながら、いかに他者や社会へ還元できるかを考えられる人間になってほしいと思います」

学びを支える
「学生ファースト」

 長谷部学長は、ブランディング計画は常に「学生ファースト」と共にあるとも強調する。
 「学生一人ひとりが主体性をもって学べる環境や機会を、教職員一体となって提供していけるよう取り組んでいます」
 すでに具体的な事業も始まっている。18年度にスタートした「駒澤人育成基礎プログラム」は、卒業までに身につけるべき幅広い教養・実用英語・日本語リテラシー・ICT(情報通信技術)・キャリア支援など4年計画の教育プログラムを設定。初年次には「坐禅」の授業もあり学生に人気だ。「禅ブランディング」と銘打った全学的事業も展開し、学際的拠点をめざして国内外に情報発信している。
 今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で授業をオンライン化するなど対策を講じているが、ここでも「学生ファースト」が貫かれた。受講環境整備のために総額8億円を計上し、学生への一律5万円の緊急修学支援金給付を決定。5月12日から申請受付、20日から給付を開始した。
 ハード面の刷新も進む。目玉は18年に落成した開校130周年記念棟「種月館」と、22年オープン予定の新図書館だ。
 禅語の「耕雲種月(労苦を厭(いと)わず耕作して種を播(ま)く)」から命名された「種月館」は、東京都選定歴史的建造物の「耕雲館」(禅文化歴史博物館)と並びキャンパス中央に建つ。400人収容の大教室や最新情報機器を備えた情報グループ学習室を設置。プレゼンテーションエリアや駒沢公園を一望できるカウンター席など多様な学習空間となっている。
 新図書館は、智を蓄え、智をつかい、智をつなげる「智(ち)の蔵(くら)」を主要コンセプトとした。
 「大学の大切な財産である約125万冊の蔵書は、従来は閉架して保全することに重きを置いていましたが、新図書館では、誰もが自由にアクセスできるように、可能な限り開架をめざします。学問的な議論が自由に行える場やグループ学習空間も必要です。ハードとソフトの両面で充実した『大学の知』の拠点として、学生たちの学びをインスパイアできる場にしていきます」
 「駒澤2030」で最初に掲げている『自他協創』の場も、学内外で着実に広がっている。18年に設置した「経済学部現代応用経済学科ラボラトリ(地域協働研究拠点)」は、地域の産業や行政が連携した自由な交流・研究と実践活動の場だ。さらに「アントレプレナー(起業家)育成プログラム」も展開し、学内外の研究・教育・地域貢献を融合させる地域プラットフォームの原動力となっている。
 地域貢献事業の一環として、地域団体が参加する「みんなの発表会」や小学生の自由研究をサポートする「こども大学」、玉川キャンパスでの「スポーツフェスティバル」など多彩な交流活動を実施。20年3月には、地元の世田谷区と連携・協力に関する包括協定を締結した。
 「共に学びつつ互いに智慧を出し合い、力を合わせて創造していく『共学・共創』の格好の機会にもなっています」と手応えを語る長谷部学長は、これからの学生たちに期待を込める。
 「良い意味で駒澤の伝統や文化に染まり、駒澤カラーを身につけてほしい。彼ら彼女らは社会に出てからも、『しなやかな、意思。』が背骨のように一本通った良き人材として、多様な領域で活躍していくはずです」

CAMPUS TOPICS ①

新たなブランドコンセプトを策定
「しなやかな、意思。
~Learn Actively. Live Wisely.~」
 2017年に策定した長期ビジョン「駒澤2030」に基づき始動した「駒澤大学ブランディング計画」は、同大の強みや特色を生かし、将来に向けたあるべき姿を構築することを目的としている。これまで培われてきた歴史と伝統という土台の上に未来を築く「伝統と刷新」が基盤だ。ブランドスローガンに「しなやかな、意思。~Learn Actively. Live Wisely.~」を掲げ、将来に向けた駒澤大学のあるべき姿をめざす。この計画の根本をなすブランドコンセプトは3つの概念で構成。①「自分の道を見つけ出すための〝よりどころ〟として<こころ・まなび・つながり>」を提供し(提供価値)、②「ともに、よりよい明日を築く」ことを使命とする(ミッション)、③「寛大で堂々とした しなやかで芯のある 前向きでいきいきとした」ブランド(パーソナリティ)を定義し、さまざまな事業や取り組みを計画・実行していく。ブランドコンセプトの策定に伴い、特設サイト「WHAT IS OUR BRAND?」も開設した。
英文ロゴでは、人の形に見立てたiが駒澤大学で生き生きと活動する多様な個性を表している

CAMPUS TOPICS ②

開校140周年に新図書館
多様なニーズにこたえる「智(ち)の蔵(くら)」
自他協創の新たな拠点へ
 駒澤大学では、開校140周年を迎える2022年の完成をめざし、新図書館の建設計画を進めている。地上6階・地下3階、延べ床面積約 1万1000㎡の新図書館は、多様なニーズに応えるため、①建物中央に書架を集中配置し、開架率を飛躍的に向上させる「智の蔵」、②階層ごとに「収蔵・交流・学修・調査・研究」という概念を設けて、上層階に行くほどに学びの専門性を高め、入館者が求める滞在場所を自由に選択できる「フロアゾーニング」、③多様な学修スタイルに応じ、時代に即した学修・研究を行うことができる「多様な閲覧スペース・学修空間」の3つを主軸コンセプトに据える。約125万冊の蔵書を含む紙媒体と電子媒体をシームレスに利用できるハイブリッド・アーカイブズ機能の充実、開かれた書架やオープンな空間づくりをめざす。対話型の学修空間、豊富なコンテンツにアクセスしやすい設備、充実した支援体制などにより、人と情報が集まり新たな智を生む「自他協創」の新たな拠点として期待されている。
現図書館の東隣(大学会館跡地)に建設予定の新図書館(外観イメージ)

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