早稲田大学

「世界で輝くWASEDA」へ

答えのない世界の問題に
果敢に挑む人材の育成を

社会実装力の早稲田
研究力の東大がタッグ

「コロナ禍での経験を今後の教育改革に生かしたい」と話す田中愛治総長

 「世界で輝くWASEDA」を掲げて大学改革に取り組む田中愛治総長。研究と教育の両面において、早稲田大学を名実ともに世界トップレベルに押し上げることをめざしている。
 今年3月、研究の面で大きな動きがあった。早稲田大学は東京大学との間に「連携・協力の推進に関する基本協定書」を締結。日本を代表する両大学は国立と私立の壁を超えて共同研究、人材養成、人材交流、研究施設の相互利用などで連携していく。
 「卓越した研究開発力をもった頭脳集団である東大。世の中のニーズを感知する力と、さまざまな分野で活躍する約65万人もの卒業生を通じ、研究成果を社会に普及させる実装力に秀でた早稲田。両大学はそれぞれの強みを生かして相互補完できる」と田中総長は話しながら、提携のねらいをこう説明する。
 「日本経済は国際競争力を失って久しく、デジタル化においては欧米に比べ周回遅れです。しかし、早稲田と東大がタッグを組み、最先端の研究を社会に還元することで日本を飛躍させられると考えています」
 具体的には「ロボットとAI(人工知能)の融合」「量子コンピューター」「中国思想史・文化史」「社会科学の実証的日本研究」の4分野における共同研究が始動している。たとえば、「ロボットとAIの融合」。早稲田大学では文系と理系の研究者が協力して人間のニーズを理解するロボットの研究開発を進めているが、ここに東京大学の情報科学や機械学習の研究者が加わる。早稲田大学のロボットを東京大学のAIでうまく制御できるようになれば、医療や介護をはじめ社会のあらゆる場面での活用が期待できる。
 「最高峰の研究が掛け合わされることで生まれるシナジー効果は大きい。大学という知の拠点から産業技術や社会のあり方を変革していきたいです」

協定書をもつ田中総長と東京大学の五神 真総長(右)

専門性×データ科学
新たな価値を創造

 教育の面で力を入れているのが、全学生を対象とした基盤教育(教養科目)の充実だ。早稲田では大学で学ぶうえで必須となり、社会に出てからも要求されるアカデミックツールを5つ定めている。日本語のアカデミックライティング(学術に必要な論理的文章の作成)、英語の発話とアカデミックライティング、数学の論理的思考、データ科学入門、情報科学の基礎だ。学部を問わず、すべての学生がこれらを基盤教育として初歩から無理なく学ぶことができる。
 なかでも注目されているのがデータ科学入門だ。履修者は理系よりも文系が多く、約3分の2以上を占める。文系で数学が苦手な学生であっても、「ビッグデータをAIで分析したくないか」と問うと、多くの学生が関心をもつという。
 「データ科学はそれだけを勉強しても意味がなく、専門性と組み合わせることで新しい価値を創造できます。一例ですが、クレジットカードのデータからマーケティング戦略を立てるためにはデータ科学だけではなく、ビジネスの理解が必要です。文学でも、政治学でも、スポーツ科学でもなんでもいい。学生たちには専門性を磨きつつ、データをツールとして使えるようになってほしい。早稲田がデータサイエンス学部をつくらず、データ科学入門を全学共通の基盤教育としているのはそのためです」

〝たくましい知性〟
〝しなやかな感性〟を今

 新型コロナウイルス感染症の拡大にあたり、早稲田大学は経済的に困窮する学生を対象に総額約7億円の緊急支援を行った。いち早くこの方針が決まった背景には、「一身一家、一国の為のみならず、進んで世界に貢献する抱負が無くてはならぬ」という創立者・大隈重信から続く建学の精神がある。
 「大隈が遺したこの言葉は、自分のことだけではなくて世の中のことを考えなさいという利他のメッセージ。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の理念『誰一人取り残さない』に通じます。こうした精神を実践すべく、経済的理由で学生が学業を断念することのないように、総額で7億円用意し、『緊急支援金(1人10万円)』の給付などの支援策を打ちました」
 今年度の春学期は全学で講義をオンライン化。準備には多大な時間と労力を要しているが、「『災い転じて福となす』ように、さらに教育改革を発展させるチャンスととらえて丁寧に取り組みたい」と前向きだ。
 「海外の一流大学では、多数の学生に向けたオンライン講義で予習してから少人数のクラスでディスカッションする『反転学習』の教育効果が高いとされています。本学の政治経済学部でも10年前から反転学習を取り入れましたが、これまでは対面のみ。今後はオンライン講義と対面でのディスカッションを組み合わせたハイブリッド型反転学習など、先進的な教育の導入を検討します」
 田中総長は長年にわたり、データの分析によって国内外の世論や投票行動を研究してきた実証政治学の第一人者だ。その経験をもとに、「人類が直面する答えのない問題に対して自分なりの解決策を仮説として提示し、その解決策が妥当であるかエビデンスを積み重ねて検証する。それが間違っていれば一から新しい解決策を仮説として提示し、検証し直す。こうした〝たくましい知性〟を身につけてほしい」と学生たちに説く。その思いを今、さらに強くしている。
 「コロナ危機はまさに答えのない問題であり、〝たくましい知性〟が試されています。また、多様性を受容する〝しなやかな感性〟の重要性も高まっています。たとえば、ニューヨークやリオデジャネイロの貧しい環境で生活する人たちがどれだけ密な状況で生活しているのか。発展途上国では今後どれくらい感染者が増えていくのか。これからの時代には異なる環境や文化のもとで暮らす人々への想像力が欠かせません。〝たくましい知性〟と〝しなやかな感性〟をあわせもった人物を育むこと。これが早稲田の使命です」

CAMPUS TOPICS ①

新型コロナウイルス
感染症拡大にあたり、
総額7億円にのぼる
独自の学生緊急支援を実施
 早稲田大学は、新型コロナウイルス感染症の拡大にあたり、経済的に困窮している学生を対象に、「緊急支援金」(10万円)を給付し、学生本人または保護者の家計が急変した場合の「早大緊急奨学金」(40万円給付)等の採用者数を増やすなどの支援を行っている。経済的困窮を訴える学生は速いスピードで増え、状況はより深刻になっているため、当初は約5億円の緊急支援であったが、総額約7億円規模に拡大した。
 このほか、すべての学生を対象に、オンライン講義での通信費負担を軽減させるため、通信事業者の協力のもと、スマートフォンを安価で購入でき、通信料が無料になるサービス等も用意している。
 さらなる支援拡大と継続のため、卒業生を中心に寄付を募っているが、異例のスピードで寄付が集まっており、後輩である学生たちの苦境を思いやった20代や30代の若い卒業生からの支援も多い。
 「いざという時の力、後輩たちを少しでも助けたいというお気持ちに感激しています」(田中総長)

CAMPUS TOPICS ②

NHK連続テレビ小説「エール」が
早稲田大学第一応援歌「紺碧の空」
誕生ストーリーを描く
 早大生であれば誰でも歌えるといわれる早稲田大学第一応援歌「紺碧(こんぺき)の空」。野球の早慶戦をはじめ、多くのイベントで学生たちが肩を組み「覇者 覇者 早稲田」と歌う、早稲田文化を象徴する一曲だ。
 「紺碧の空」は1931年に古関裕而が作曲。当時無名の作曲家だった古関はこの曲で一躍有名となり、のちに全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」(1948年)、東京オリンピックの行進曲「オリンピック・マーチ」(1964年)など数々の名曲を世に送り出した。
 そんな昭和の大作曲家・古関裕而をモデルにしたドラマがNHK連続テレビ小説「エール」。5月18日から放送された第8週「紺碧の空」では、ライバル慶應義塾大学が「若き血」を応援歌として以来、早慶戦で負け続きだった早稲田の応援部が新しい応援歌で劣勢を打開しようと主人公・古山裕一に作曲を依頼。葛藤を重ねながらも古山は「紺碧の空」を完成させ、早稲田が劇的な勝利を収めるというストーリーが描かれた。昨年行われた撮影には、早稲田大学応援部員や卒業生がエキストラとして参加した。
早稲田大学応援部

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