立正大学

「モラリスト×エキスパート」を育む。

開校150年。新しい価値を
創造する未来志向の教育を

節目の2022年
改めて問う教育の質

就任3年目を迎えた吉川洋学長。専門はマクロ経済学

 立正大学の淵源(えんげん)は1580年に開かれた日蓮宗の教育機関「飯高檀林」にさかのぼり、2022年には、大学の起点としている「小教院」の設立から150年を迎える。

 日蓮が説いた仏教の教えを理念に、高等教育機関として社会に資することを使命にしてきた立正大学は戦後、仏教学部、文学部に加えて経済学部を開設。「日本のケインズ」と呼ばれた経済学者でジャーナリストの石橋湛山(たんざん)は、学長就任に伴いこの経済学部を強化して、戦後復興のエンジンとなる人材育成に努めた。その後、経営学部、法学部、社会福祉学部を開設。さらに1998年には環境問題解決を見据えた地球環境科学部を、2002年には心の理解と問題の解決を目的とした首都圏で最初の心理学部を開設し、立正大学は8学部を擁する総合大学となった。そして時代は大きく変わり、21年4月、新たに9番目の学部となるデータサイエンス学部を熊谷キャンパス(埼玉県熊谷市)に開設した。

 吉川洋学長はこう話す。

「データサイエンス学部は本学の歴史に新しいページを加えました。立正大学の道のりを振り返ると、開校以来変わらず、時代の風に応え、学生たちが新しい世界で活躍できるための教育をしてきたのだと思います」

時代の要請に応える
新学部が始動

 データサイエンスとは社会に存在するさまざまなデータを集め、統計学などを用いて数値化し、分析する学問だ。近年、世界中でビッグデータと呼ばれる膨大なデジタルデータを活用し、新しい事業に結びつける試みが活発になっている。立正大学ではそんなデータを扱える「データサイエンティスト」を一刻も早く養成する必要があると考え、今回の新設に至った。

 この4月に入学した1期生は214人。その背景は多様で、北海道から沖縄まで出身地は日本全国にわたる。授業が始まって2カ月経ち、学部の教員たちからはこのような声が聞かれるという。

「データサイエンスに対する期待が大きく感じられる」

「データサイエンスを用いての、将来への明確な意志をもった学生が多い」

 データサイエンス学部の創設に尽力した吉川学長は、そんな学生たちの様子に目を細める。

 データサイエンスは統計数学や情報科学を扱うため、理工系のイメージが強いが、立正大学では文理融合を掲げる。

「データサイエンスの根幹は机上の学問で終わらず、それを社会に応用し、『データの世紀』にふさわしい新しい価値を創造することにあると考えています。そのため、データサイエンスを用いて社会で何かを成し遂げたいという夢をもつ多くの学生に門戸を広げたいのです。この学部で学んだことを将来に生かしてほしい。『キャリアにつながるデータサイエンス』を標榜(ひょうぼう)する意味はここにあります」

専門性の追求と
価値創造の両輪で

 理系科目があまり得意でない学生が入学することも織り込み済みだ。全員に共通のノートパソコンを配付し、1年生のうちにコンピューターの仕組みから統計学、プログラミングまで、データサイエンスに必要な基礎を学ぶ科目を用意している。その上で、2年生以上では実際にデータサイエンスをどう用いるか、現場の知見を広めるカリキュラムを組んでいる。

 例えばスポーツデータサイエンスでは、練習中や試合中の選手のデータから新たな戦略を導き出すことを試みる。サッカー、野球、ラグビーなど多くの強豪チームを抱える立正大学の強みを生かせる分野だ。強化クラブの学生たちもデータサイエンス学部に所属する。

「競技の成績向上や、将来のスポーツキャリアに生かすためにデータサイエンスを学ぶことは大きな動機になります。データサイエンスをどこでどう使いたいか、卒業後の目標があると、大学での学びは大きく広がるはずです」

 学部だけにとどまらず、大学全体でデータサイエンス研究や教育を進める計画も進行中だ。その取り組みの一つとして、品川キャンパス(東京都品川区)にデータサイエンスセンターが設置された。これは学部横断型の機関で、データサイエンスに関わる研究活動を行う複数の学部の教員が集まり、各専門領域の研究に取り組む。企業や官公庁など外部とも連携し、さまざまな応用に生かしていくことも考えている。

コロナ禍でも
質の高い教育を

 新型コロナウイルスの影響により、大学教育は大きな変化を遂げた。予断を許さない状況が続くなか、立正大学は感染状況の変化にも対応できるよう、入念に準備を進めてきた。教室や通信設備、教育システムの拡充はもちろん、学生を対象としてコロナ禍における生活の悩みやオンライン授業の評価などを調査し、それに基づいてさまざまな施策を進めている。

「教育面では、オンライン授業の手法について教員を対象とした全学研修を行うなど、授業の質を高める取り組みを行っています。もともと、オンライン授業とも相性のよい少人数教育の導入割合やその満足度が他大学の平均的な度合いに比較して高いこともあって、学生の授業満足度はコロナ以前と比べても遜色ない水準を保つことができています。また授業だけでなく課外活動という点でも、21年4月からボランティア活動推進センターを立ち上げ、学生のボランティア活動への参加を通じて学生生活の活性化を図るとともに、地域社会の福祉の向上に貢献することをめざしています」

 立正大学は、専門性の向上だけでなく、予測が困難な現代においても真摯(しんし)に考え、歩みを進める「モラリスト」の精神をもった学生の育成をめざしている。

「そんな学生の成長を支え、キャリア形成に役立つ大学でありたいと思っています。4年間、ここで学んでよかったと思える付加価値を与えることが大学の使命だと心に留めています」

CAMPUS TOPICS ①

品川キャンパスに「150周年記念館」が完成
街とキャンパスをつなぐ「ゲートウェイ」に

 開校150周年記念事業の一環として2018年10月から建設が進められてきた150周年記念館が20年12月に完成した。地上11階地下2階建ての13号館、地上4階地下2階建ての6号館からなり、それぞれ目的に合わせた機能をもつ三つのエリアで構成されている。

 地域に開かれた情報拠点となる「地域連携エリア」では、まず入り口からキャンパスへと誘う開放的な大階段が特徴的だ。地階には立正大学の歴史や大学が蓄積してきた貴重な史料を公開する展示室「ロータスギャラリー」がある。

 「スタディエリア」には、最新のAV機器などが備えられた教室のほか、各種ミーティング、課外活動の成果発表会をはじめとしたイベントやセミナーなど、学生、教員が自由に交流できる場所を多く確保。食堂・カフェも備える。

 研究活動の場となる「先端研究エリア」では、研究発表、ディスカッション、ミーティングなどに利用できるラウンジ、学内外における共同研究の場として使うシェアオフィスを有する。

 学生だけでなく、地域にも開かれた文化と教育の拠点をめざす。

東京都品川区の山手通りに面する150周年記念館
©︎Shigeo Ogawa

CAMPUS TOPICS ②

社会で通用するデータサイエンティストを
育成するデータサイエンス学部

 「キャリアにつながるデータサイエンス」をコンセプトに、データサイエンスに関する専門知識・技術、実践力を磨き、卒業後、データサイエンティストとして即戦力となることを目標にしたカリキュラムが整う。企業、スポーツ、観光など、各分野での実績をもつ25人の専任教員が指導にあたる。特にデータサイエンスを活用し、新しい価値を生み出す「価値創造」に主眼を置き、4年間でその力を養う。1年次に基礎科目でデータサイエンティストとしての土台を築き、どのような価値創造の舞台があるかを学ぶ。統計学などの理数系科目は基礎から学べるカリキュラムが組まれ、数学の授業は少人数クラスで行い、フォローアップも充実させている。2年次以降になると、おもに「社会」「ビジネス」「観光」「スポーツ」の4分野でデータサイエンスの応用を実体験する。企業や官公庁などでのフィールドワークやインターンシップが正規の授業となっており、卒業後のキャリアを想定した学びが用意されている。また「スポーツ」分野ではプロ野球独立リーグの埼玉武蔵ヒートベアーズと共同で走塁に特化した研究をすることが決まっているなど、外部との連携も盛んに行っていく。

データサイエンス学部での学びのイメージ。応用と実践を重視したカリキュラムが編成されている

掲載大学一覧[関 東]

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