芝浦工業大学

世界を見据えて、自分に挑む。

真のグローバル人材の育成へ
研究と教育の両輪で加速

アジア工科系大学の
トップ10入りめざす

山田純学長(担当教員を務める機械工学科の研究室で)

 2014年、私立理工系大学として唯一、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)」に採択された芝浦工業大学。その後、大学のグローバル化は急速に進展している。コロナ禍で渡航制限された2020年度においても、語学研修やグローバルPBL(Project Based Learning)、交換留学などオンラインで実施された国際プログラムの参加者数は845人に上る。さらに、2027年の創立100周年に向けて、あるべき大学の姿を掲げた大学構想「Centennial SIT Action」に基づき、「世界に学び、世界に貢献するグローバル理工学人材の育成」を進め、アジア工科系大学としてトップ10入りをめざしている。

 2021年4月に就任した山田純学長は、これまでのグローバル化の流れをさらに進めるための三つのキーワードを挙げる。それが「研究」「教育」「社会貢献」だ。

 「2代前の学長の柘植綾夫先生が大学のミッションとして明言された言葉です。当時、私は学長補佐でしたが、『大学の教育や社会貢献は研究を通じたものでなければならない』という意味だととらえています」

 大学では、「知と地の創造拠点」の構築を掲げ、国際共同研究を通じた世界レベルの研究拠点形成と、自治体や企業との共同研究による社会貢献を進めている。産官学連携による受託・共同研究の件数は年間222件(2020年度)に上る。

 「先端的な共同研究を進めることで大学には『知』が蓄積されていきますし、学生に対しては実践的な研究の場を提供することができます」(山田学長)

 研究力の強化のため、若手教員への支援体制を整える。外部の研究資金を獲得した教員や大きな研究プロジェクトを進める教員に対しては、スタッフの充実などを図る。その一環として、事務補佐員やサポート教員を採用し、サポート教員のキャリア形成にもつなげる「プロジェクト研究教員」制度を始めた。若手教員が芝浦工業大学で研究の場を得やすくし、年齢の近い学生に対する刺激につなげたい考えだ。

 学生の国外での研究活動(長期留学)もさらに推進する。4年生が海外で卒業研究を行い、そのまま大学を卒業できる仕組みや、修士課程の大学院生が海外の留学先で修士論文の執筆を行える制度などを整えていく。

大学院進学率を
60%まで向上させる

研究室の学生を指導する山田純学長

 こうした研究力の強化を教育力の強化につなげたいとするが、山田学長が特に重視しているのが大学院への進学率だ。現在、学部卒業生の大学院進学率は38%だが、これを60%程度にまで引き上げたいと話す。

 「大学院進学率を増やすには、4年生で研究室に入ったときにすぐ実践的な研究を行えるだけの技術的な能力を、それまでに身につけておくことが必要になります。3年生に対する3、4週間程度の短期カリキュラムを多数設けるなど、実践的なエンジニア教育を実施したいと考えています」(山田学長)

 大学院進学率が60%になると、豊洲キャンパス(東京都江東区)の学生数は500人ほど増えると試算する。2022年開設予定の豊洲第二校舎(仮称)を増加する大学院生の受け皿とする考えだ。

 芝浦工業大学ではこうした取り組みを含め、2024年をめどに教育プログラムの改革を進める。学科に代わる「課程制」の導入がいわれるなか、芝浦工業大学でもそれに向けた検討を進めている。

 山田学長が話す。

 「これまでの学科縦割り的な学問体系では、今後の産業の多様な変化に対応できる工学系人材の育成は難しいと考えています。学生が自ら学ぶ科目を選べる分野融合的な教育プログラムの開発を進めていきます」

 大学院進学率の向上とともに山田学長が強調するのが、女子学生の比率のアップだ。現在、女子学生の比率は約18%。これを当面30%にすることを目標とする。

 「本学では外国人教員や女性教員の増加など、ダイバーシティや男女共同参画を推進しています。ただ、女性教員を増やすにはまず女子学生の比率を向上させる必要があります」

 工学部では2018年度入試から「公募制推薦入学者選抜(女子)」制度を新設し、女子学生枠を設けたが、今後は全学部に広げていく。企業からの女性エンジニアを採用したいとする声が高まっていることにも対応したものだ。多様なバックグラウンドをもつ学生や教員が集まり、研究や教育が活性化される。それが社会にイノベーションをもたらす──。真のグローバル理工学人材の育成に向けたさまざまな取り組みが続く。

CAMPUS TOPICS ①

豊洲第二校舎(仮称)を2022年開設
「オープンラボ」を設置し
専門分野を越えた研究を推進していく

 芝浦工業大学は2027年の創立100周年プロジェクトの一環として、豊洲キャンパスの敷地内に豊洲第二校舎(仮称)を建設している。2022年4月開設の予定だ。地上14階、地下1階建ての新校舎は、研究室の垣根をなくし、研究に関する意見交換が自由にできる「オープンラボ」を設置するのが大きな特徴だ。「AI(人工知能)の進展など、産業の変化に柔軟に対応する研究や人材育成をしていくには、一つの研究室だけでは限りがあります。専門分野を越えて教員と学生が研究できる環境を整える必要があると考えました」(山田純学長)。2020年10月に工学部に開設した、1年次からすべての学部教育を英語で行う「先進国際課程(IGP=Innovative Global Program)」の研究室を置くほか、今後の大学院進学率の向上に伴う学生数増加の受け皿としての機能も担っていく。グローバル教育や大学院教育の充実を図るための新しい拠点となる。

豊洲第二校舎(仮称)のオープンラボイメージ図

CAMPUS TOPICS ②

THE 世界大学ランキング 日本版2021で
35位から30位へと大幅にランクアップ
私立大学では6位に

 英国の高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が2021年3月に発表した「THE 世界大学ランキング 日本版2021」において芝浦工業大学が30位にランクインした。第1回のランクインから毎年ランクアップし、前年の35位からも大きく順位を上げ、過去最高順位となった。私立大学では6位に位置している。このランキングは「世界大学ランキング」で知られるTHEがベネッセグループの協力のもと、日本の大学の「教育力」に焦点をあてて2017年から発表しているもの。芝浦工業大学は各指標で高い評価を得ているが、特に「Engagement(教育充実度)」の順位が前年の47位から34位と大きく伸び、「Environment(国際性)」の順位も前年の46位から35位とランクアップしている。大学が進めるグローバル化の実績が着実に評価されているものと大学では受け止めている。

CAMPUS TOPICS ③

企業との共同研究やグローバルPBLで
実践的なエンジニアを育成し
有名企業への就職に高い実績を持つ

 企業との共同研究の推進やグローバルPBLなど実践的なエンジニアの育成を行っている芝浦工業大学は有名企業への就職で実績を上げている。2020年度の学部卒業者と大学院修了者の就職内定先のベスト10は下の表のとおり。鉄道会社、自動車メーカー、電機メーカー、建設会社などが上位に来る。語学研修や留学などを通じて海外経験のある学生も多く、海外売上比率の高い企業への就職実績も特徴の一つだ。日経平均株価指数の採用銘柄や会社規模、知名度などを参考に選定される「有名企業400社の実就職率」(2019年度)をみると、芝浦工業大学は33%(就職希望者1650人に対し400社への就職者は544人。大学通信調べ)。私立大学では4位に位置している。

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