早稲田大学

時代を切り開く伝統と校風

正解のない問題に挑戦し、
世界が満足する解決策を導く力

解決策を考え出す
「たくましい知性」

「世界でかがやくWASEDAをめざす」と田中愛治総長

 伝統と革新を積み上げてきた早稲田大学は、2032年に迎える創立150周年を見据えて、12年に中長期計画「Waseda Vision 150」を策定し、現在はその第2ステージの取り組みを進めている。このビジョンは、大学経営陣や在学生だけでなく、研究者や校友(卒業生)全体で共有するもので、早稲田大学を「世界でかがやく大学」にすることが目標とされている。

 この目標を実現するために、田中愛治総長が学生たちに身につけてほしいと望むのが「たくましい知性」と「しなやかな感性」である。その背景にあるのが、いわゆる「失われた20年」と言われる行き詰まりの時代からの脱却だ。

 「〝失われた20年〟を生み出したのは、敗戦以来、米国に追いつくことを目標に、答えのある問題を解ける人材を優秀とみなしてきた教育の問題でもあります。今日、人類が直面する問題の多くは、答えのないものばかりです。例えば、世界的には地球の温暖化、国民の分断と亀裂の危機、日本では少子高齢化などがそうです。これらの正解のない問題に対して、自分の頭で考えて、自分なりの解決策を出せる知性のことを私は『たくましい知性』と呼んでいます」

多様性を認める
「しなやかな感性」

キャンパスでは多様な学生が交流している

 一方の「しなやかな感性」とはダイバーシティー、つまり多様性を認めること。自分とは異なる人々の考え方や感じ方を理解できる感性を意味する。

 「『たくましい知性』を身につけても、『しなやかな感性』がなくては、未知の問題に対して自分の頭で考え出した解決策も視野が狭く、地球上の人類の誰にでも納得いくものにはならない可能性が高くなります。この二つがそろった人材こそが、真のグローバルリーダーになると考えています」

 昨年来の新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、まさに「たくましい知性」が試される、誰一人正解がわからない問題の典型ともいえる。しかも世界中の弱い立場の人ほど辛い状況に置かれ、「しなやかな感性」が求められる課題でもあった。早稲田大学では新型コロナのパンデミックに、答えのない問題に立ち向かう姿勢をもって、即座に対策に取り組んできた。

 「昨年2月25日に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置したのですが、これはWHO(世界保健機関)がパンデミックを認定する2週間前のことでした。これは危機管理だという認識のもと、経済学でいう『最大の後悔を最小にとどめる』という危機管理の際の意思決定の基本原則を掲げ、『誰一人取り残さない』という理念のもと、多くの対策を実施してきました。そして研究大学としての早稲田大学が果たすべき使命は何か、最低限守らなくてはならない目標は何かを三つ確認したのです」

 それは、①学生と教職員の健康と生命を守ること、②どのような環境でも学生に教育を提供すること、③どんなに厳しい条件下でも研究を継続することだった。この目標を実現するために、諦めたこともあったと、田中総長は振り返る。

 「平時なら実施するほうがいい、例えば卒業式、入学式、運動部の春合宿、サークル活動などでも、最低限守るべきものを守れなくなる危険性があるならば諦めるという方針を定めたのです。学内でもしもクラスターが発生すれば、春学期の授業ができなくなってしまいます。また、移動制限で首都圏のキャンパスに来ることができない学生を置き去りにしないため、3月半ばには全授業をオンラインで行うことを決めました」

 このほかにも、図書館資料の郵送サービスを展開し、8月からは換気が十分可能な空調機の入れ替えを全教室で実施し、学生のキャンパスライフをできる限り復活させていくために、一歩先の対策を打ち続けてきた。21年は、十分な感染対策と感染状況の注視を行いつつ、対面による卒業式・入学式の開催や対面授業7割をめざした授業運営を行っている。もちろん、「たくましい知性」を鍛える教育環境は以前から提供されている。例えば、全学共通科目を提供するグローバルエデュケーションセンター(GEC)の基盤教育だ。①学術的文章の作成力、②論理的な英語を発信する力、③数学的思考力、④データに基づき論証する力、⑤実践的なICTの能力の五つの力を身につける。

 「基盤教育とは大学で学問を修めるために必要となる学びの方法論で、社会に出てからも必要になるツールです。『たくましい知性』を発揮するためには、この基盤教育と学部等で学ぶ専門教育が必要です」

国際的にもユニークな
教育環境を整備

 もう一つの柱「しなやかな感性」を発揮するための土壌も用意されている。その一つがICC(異文化交流センター)だ。早稲田大学には現在100を超える国・地域から来た約5500人の留学生が在籍し、4500人以上の学生が海外に留学している。そのグローバルな環境を生かし、学生たちがキャンパスにおいて国籍や文化の枠を越えて相互交流することで異文化理解を深め、新たな価値観や文化を生み出すことをめざし設立された。これらの活動と並んで、平山郁夫記念ボランティアセンターは社会貢献活動の推進役として、「しなやかな感性」の涵養(かんよう)に貢献している。

 「こうした環境を用意している総合大学は日本では早稲田大学だけであり、国際的に見ても極めてユニークな教育環境を整備していると自負しています」と田中総長は語った。

CAMPUS TOPICS ①

米国イェール大学に続き
英国オックスフォード大学とも協定締結
海外大学との連携をさらに強化

 2018年より米国のイェール大学のフランシス・ローゼンブルース教授を学外理事として迎え入れ、世界最先端の視野を獲得。さらに、20年秋からイェール大学大学院での1年間の授業料、滞在費、渡航費など留学費用のすべてを支給する奨学金制度を開始した。

 一方、英国オックスフォード大学とは、20年4月に大学間協定を締結し、相互に研究者や大学院生の交換を促進し、研究プロジェクトを推進することになった。当初は「コンピューターサイエンス」「数学」「物理学」の分野での組織的な研究・教育交流でスタートするが、今後は多方面での研究交流に広げるべく協議は続けられる。早稲田大学は今回の連携によって、ヨーロッパにおける研究交流をさらに加速させていく。

 これまでも海外の数多くの大学と連携を築いてきたが、さらに提携校を増やすとともに、強いつながりをつくり連携を強化していく。



2021年5月30日掲載の朝日新聞広告記事「大学力 2021」の早稲田大学のページにおいて、Campus Topics1の写真のキャプションに誤りがございました。
オックスフォード大学では、Vice-Chancellorを総長と称している点について、適切な反映が出来ておらず、関係者の皆さまに大変ご迷惑をお掛けいたしましたことを謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。

誤植内容は下記の通りとなります。

【誤】オックスフォード大学副学長 ルイーズ リチャードソン教授
 ↓
【正】オックスフォード大学総長 ルイーズ リチャードソン教授

早稲田大学

CAMPUS TOPICS ②

文化の現在と世界の文学を
学び、体験、創出する
国際文学館、2021年10月オープン

 2021年10月1日、国際文学館(通称「村上春樹ライブラリー」、館長・十重田裕一教授)が開館する。

 同文学館は、卒業生でもある作家の村上春樹氏が、小説作品の直筆原稿や海外で翻訳された書籍、収集した数万枚のレコード等を大学に寄託・寄贈することが契機となって誕生した。世界中で多くの人々に愛される村上文学の研究拠点をめざすがゆえに、国際文学・翻訳文学も主要な対象とし、多彩で活発な受容と発信を通して、一歩進んだ国際交流を図る計画が進行中である。

 同文学館顧問には東京大学名誉教授で国文学研究資料館長だった日本文学者のロバート・キャンベル氏(今年4月から早稲田大学特命教授)が就任した。

 日本文学における女性作家を長年研究し、20年に早稲田大学図書館長に就任したゲイ・ローリー教授と、国際性豊かな古典文学を中心とする日本文学研究者でもあるロバート・キャンベル特命教授、両教授ならではの文学館への期待と豊富なアイデアから、ダイバーシティーの包含を得意とする早稲田大学にもたらされる新たな息吹が期待される。

CAMPUS TOPICS ③

コロナ禍でも留学のチャンスを創出
豊富な国際交流プログラムを
大学が全面的にバックアップ

 創立間もない頃から国際交流が盛んな早稲田大学は、その知見とネットワークを生かし独自の国際交流プログラムを展開している。その一つがAPRU(環太平洋大学協会=19カ国・地域の57大学が加盟する大学間コンソーシアム)で正課の授業を相互にオンラインで開放し合う「Virtual Student Exchange Program」である。「今年から政治経済学部、社会科学部、国際教養学部の3学部が参加し、今後、対象学部を拡大する予定で、さまざまな可能性を広げていきます」と留学センター所長のケイト・エルウッド教授は話す。

 また、国際大学コンソーシアムU21(Universitas 21)が主催した今春の短期オンラインプログラム「U21 Global Citizenship」には、日本からは国内唯一の加盟校である早稲田大学のみが参加。91人の学生がオンラインで討論を行った。「国際交流では教科書では得られない知識が学べ、問題解決能力が身につくはずです」と国際部長リー・マージ・クリスティン教授は期待を寄せる。

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