駒澤大学

しなやかな、意思。

デジタルと伝統を融合し
多様でしなやかな人材を育む

世界標準のデジタル力と
多様性マインドを装備する

各務洋子学長。禅文化歴史博物館前にて

 「駒澤大学ではデジタル化とダイバーシティ(多様性)推進に注力しています。この動きをより加速していきます」

 就任以来、大学のDXを推し進めてきた各務洋子学長はこう話す。その言葉からは日本がデジタル化に関して明らかに遅れていることに対する教育者としての強い使命が感じられる。

 「大学は学生を社会に送り出す直前の教育機関です。学生を無防備な状態で出すわけにはいかないのです。日本の立ち位置はこの40年で様変わりしました。ですから、デジタル力とダイバーシティを尊重するマインドを装備して、社会で、そして世界で活躍することを願います」

 デジタル技術は“読み書きそろばん”、つまり道具であると捉えれば、古い道具を置き換えて新しい道具を使いこなすことで生活の利便性は格段に高くなる。高等教育機関である大学にとって、デジタル化なしでの教育研究はもはやあり得ない。手段としてのデジタル化を進めることがなぜ重要なのか。それは社会の仕組みを変える原動力になるからである。コロナ禍は、それを教えてくれたとも話す。

 コロナ禍への対応の一つとして始めたオンライン授業は、想定外の気付きをもたらした。それは、一人ひとりのニーズに対応する可能性である。通学へのハードルが高かった障がいを持つ学生や、大人数の教室に入ることに抵抗のある学生などにも光を当てることができ、これまでの方法では卒業は難しい学生が学位を取得する道が開かれた。

 一人ひとりの個の生き方を尊重し、多様性を生む仕組みとしてデジタル化を捉えることこそが、日本のダイバーシティを推進する最短の道ではないかと各務学長は考えている。

 こうした考えをもとにして、大学の現場で進めていることの一つが、世界の潮流のひとつになっているBYOD(Bring Your Own Device)の考え方で、学生に自分のパソコンを持つことを勧めている。

 「スマートフォンの普及と同様に、自分のものであればオーナーとしての意識が高くなります。今後、地球市民の一人として生きていく中で、デジタル情報のやり取りは自分自身の責任として問われる場面がますます増加します。機器のトラブル対応を人任せにできない社会となることは明らかです」

 同大学では、デジタル化を進める教員に支援をしていく方針だが、その根底には、授業の進め方もさまざまであり、教員の多様性を生かしたいという考えがある。もちろんそれは、同大学が掲げる「学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、そして「入学者受け入れの方針」の3つのポリシーに即したものであることは言うまでもない。

 「世界の大学は、いま、デジタルとリアルの良さを活用した新たな手法を模索している途上にあります。しばらくは試行錯誤を続けることになるでしょう。個性をいかした授業を提供できればと考えています。授業のあり方もダイバーシティなのです」

大学開校140周年の2022年秋に開館予定の新図書館

430年の歴史を紡ぐ
仏教の教えと禅の精神

 「デジタル化という仕組みがダイバーシティをより推進していくと考えています」

 そもそも多様性を認める仏教の教えは、現代のダイバーシティ推進のまさに源泉であると考えている。駒澤大学の前身は、約430年前に設けられた曹洞宗の学林(学問所)である。「曹洞宗を日本に伝えた道元禅師は、鎌倉時代に命がけで宋(中国)にわたるというチャレンジ精神を持った、いわばグローバルとダイバーシティのパイオニアです。そういう方が日本人の先達であることは誇りなのです」

 ダイバーシティ尊重の考え方は430年間、駒澤大学に根付いているのである。

 各務学長は「デジタル化とダイバーシティの融合で新しい駒澤大学を創りたい」と語る。

 デジタルとの融合という点で今年開館20年を迎える禅文化歴史博物館ではサイバーミュージアムの構築も進めており、禅の文化と歴史を発信している。また、同大学が所蔵する膨大で貴重な禅籍のデジタルアーカイブ化も進めている。

 「禅に関する資料は、世界中から需要があります。資料のデジタル化を通して、遠隔地や国外に住む一人でも多くの学生や研究者に貢献できればと考えます。デジタルで観れば本物を観たくなり、いつか訪れたいと思うでしょう。こうして新たな交流が生まれるはずです」

 資料や禅籍などを所蔵する駒澤大学図書館は今年秋に「智の蔵」のコンセプトとともにリニューアルして開館する。紙と電子の媒体をシームレスに利用できるハイブリッド・アーカイブズやこれまで閉架図書とした蔵書も多くを開架図書として提供する。

 「多様な世界で本学の430年の歴史をシェアしたい。こうした取り組みもまた、デジタル化でダイバーシティを実現する一例になるでしょう」

駒澤スピリットを学び
貢献する地球市民に

 同大学で学ぶ学生には、オリジナリティーを深めることを望んでいる。

 「多様な社会に貢献するために、自分の得意分野を極めることは重要な考え方です。自分の独自な強みがあると、その力を求める人が必ず存在するからです」

 各務学長は学生に、「Be different, Be global」という言葉を紹介したことがある。特に「different」、人は違っていいということを強調したフレーズである。出る杭が打たれがちな日本の社会で、他人と違うことは当たり前のことで、違うことを認める姿勢を後押ししたい。多様であるというマインドが当たり前である社会であってほしいと学生を激励する。

 「智慧(ちえ)を磨き慈悲の心を育む本学で4年間を過ごせば、自然に仏教や禅の精神のある環境に馴染みます。仏教や禅の精神はこれからますます重要になるはずです。他にはない430年の歴史と伝統を経験し、社会に世界に貢献する地球市民として活躍してほしいですね」

CAMPUS TOPIC

初学者からエキスパートレベルまで養成
データサイエンス・AI教育プログラム 2022年度からスタート

 「データサイエンスはこれから必須のスキルになります。データサイエンスの考え方は世界標準のツールです。そのロジックを理解していないと、コミュニケーションが対等にできなくなる可能性もでてくるくらいでしょう」各務学長はこう断言する。

 駒澤大学では「データサイエンス・AI教育プログラム」を2022年度からスタートさせた。この教育プログラムでは、数理系の科目から遠ざかってしまっていた学生にも学びやすい教養として「データサイエンス・AI入門」、「確率・統計学入門&発展」、「プログラミング入門&初級」などの授業を用意する。

 今後訪れる仮想空間と現実空間を融合させつつ「人間中心のAI社会」を実現する「Society 5.0」。「データサイエンス・AI教育プログラム」を学ぶことで、その未来の社会で必要とされるデータやAIの特性を正しく理解し、そのリスクとベネフィットを評価し、課題解決に向けて適切なアプローチ方法を見出す能力を育む。また、人と人とのつながりを大切にした社会を実現するためにデータやAIをどう活用するか構想する能力を身につけることを目指す。

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