創価大学

価値創造を実践する「世界市民」を育む大学

多様性あふれるグローバルキャンパスで
学生一人ひとりの持つ可能性を開く

知恵、勇気、慈悲を持つ
世界市民を育成

鈴木将史学長

 世界の秩序と人命の尊さが改めて問い直されるなか、「人類の平和を守るフォートレス(要塞〈ようさい〉)たれ」を建学の精神のひとつに掲げる創価大学の取り組みが注目を集めている。中長期計画「Soka University Grand Design 2021-2030」で、最大の目標として掲げるのが「価値創造を実践する世界市民」の育成だ。今年4月、新学長に就任した鈴木将史氏は、目標の意義について解説する。

 「本学が育成する『世界市民』は、あらゆる生命がつながり支え合っていることを認識する知恵、多様性を受け入れる勇気、そして世界の人々と痛みを分かち合い共感できる慈悲の心を持ち合わせ、社会が求める価値を世界に向けて創造できる人材です。そのための知識基盤と実践的能力、そして創造的思考力の養成に取り組んでいます」

 2022年度からは世界市民養成のカリキュラムを刷新。柱となる共通科目群を「平和・人権・環境・開発」と「サービスラーニング・リーダーシップ科目」に分けて、全学生に対して世界が求める価値創造をけん引できる力を養っていく。

 世界でさまざまな分断が生じるなか、世界市民を養成する教育に世界の研究機関が着目していると鈴木学長は話す。

 「世界で研究が進む『世界市民教育』の学問的価値を確立するとともに、世界的拠点として同じビジョンを掲げる教育機関をネットワーク化し、研究者が交流できるハブの役割を果たしていきたいと考えています」

数値だけで測れない
真のグローバル大学へ

 世界市民教育の根幹をなすグローバル教育とダイバーシティは、創価大学の特長だ。開学当初から言語教育に力を入れ、最大22言語の授業を開講し、留学が一般的でなかった1980年代から学部生の交換留学を推進してきた。現在は世界63カ国・地域、228大学と学術交流協定を締結。キャンパスに通う学生の約1割を留学生が占め、コロナ禍で留学の機会を持てずにいる学生にも多様性のある環境が提供されている。また、これまでに中国、タイ、韓国、フィリピン、ケニアに海外事務所を設置し、留学生の派遣や受け入れ、交流校との教育研究交流の推進にあたっている。

 創価大学は文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援の採択を受け、2018年と2021年に公表された中間評価で2回連続の最高評価を受けるなど、数々の目標値を達成してきた。ただ、本当に必要なのは数値だけでは測れないグローバル化だと鈴木学長は話す。

 「本学がめざすのは、多様な価値観や背景を持つ人々が共存し、共生するキャンパスです。現在も、授業は全て英語で行う国際教養学部のほか、複数学部に英語だけで卒業できるコースを用意しており、外国人学生も学べる環境が整っています。これからさらに研究力の充実も図り、国際水準の教育力を実現していきたいと考えています」

 科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が、国際社会で取り組むべき環境課題を支援する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」に二つのプロジェクトが採択され、エチオピアなど海外大学との国際共同研究を通してSDGsへの貢献に取り組んでいる。

 社会のニーズが高まるデータサイエンス領域での人材育成にも積極的だ。2019年度に開始した副専攻制度が評価され、2021年に文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」の認定を受けた。今年度からは、全学部で「データサイエンス入門」を必修化。入門レベルから演習レベルまで段階的に学べる仕組みを構築した。また、DX化も推進し、学生のデータを活用した個別最適な学びの提供と指導も進める。

 身近なロールモデルとの交流も盛んで、就職活動を終えた4年生や大学院2年生による1、2年生のキャリアデザインの支援や、希望企業の内定を得た学生が3年生をバックアップする活動も活発だ。さらに、社会で活躍する卒業生も参加するキャリアイベントなど、1年次から具体的なキャリアを描いてもらうためのサポート体制が充実している。

 受験生と在学生に向け、鈴木学長はこうエールを送る。

 「本学で世界市民教育に触れ、将来の目標を見つける学生は多くいます。そして、本学には学生一人ひとりの夢や志を実現するための行動を明確化し、支援する環境が整っています。実際に、入学時には考えられなかった進路を開いた先輩たちを見てきました。学ぼうとするすべての人に将来の可能性は無限に広がっています。ぜひ本学のリソースを活用して持てる力を最大限に発揮し、高い志を社会に届ける人材になっていただきたいですね」

外国人学生も徐々に入国し、キャンパスでは日本人学生と留学生の交流が活発に行われている

CAMPUS TOPIC ①

トロイ遺跡の「シュリーマン」で
地元・八王子市の街おこし
文学部生が企画立案する

 「トロイ遺跡」の発見で知られるドイツの考古学者ハインリッヒ・シュリーマンが、創価大学の地元・八王子市を訪れていたことが著作『シュリーマン旅行記 清国・日本』に記されている。この縁を街おこしにつなげようと、「文学部インターゼミ桑都プロジェクト」の学生たちが独自の取り組みを展開している。地元のつるや製菓とコラボし、学生がデザインしたシュリーマンのイラストの焼き印が入った特製まんじゅう「シュリーまん」を発売したほか、くまざわ書店八王子店では関連書籍や地元の歴史本をまとめた学生による選書コーナーが設置された。シュリーマン・コレクションを所蔵するベルリン国立博物館群が東京富士美術館でオンライン講演会を開催した際は、動画編集やSNSでの広報支援を担うなど、学生のアイデアと活動が地域活性化に一役買い、好評を得ている。

学生考案の特製「シュリーまん」は大好評を博した

CAMPUS TOPIC ②

「第3の生命鎖」糖鎖研究を
データベース化
国内外の研究機関に提供へ

 創価大学が世界をリードしている研究のひとつが、DNA、タンパク質に次ぐ「第3の生命鎖」とされる「糖鎖」だ。糖鎖は体中の細胞の表面を覆い、生物が生きていくうえで欠かせない物質で、その研究はさまざまな病気や不調の原因解明、治療法の確立につながることが期待される。創価大学は国内でも数少ない専門研究センターである糖鎖生命システム融合研究所を学内に有する糖鎖研究の中核拠点のひとつ。2021年11月には、人の網羅的糖鎖情報をデータベース化し、国内外の研究者・研究機関に公開する「ヒューマングライコームプロジェクト」が発足。東海国立大学機構、自然科学研究機構と連携・協力の覚書を締結した。同プロジェクトを通し、未解明な領域が多い糖鎖研究の拠点としての機能を拡充し、次世代生命科学の発展と医療・ヘルスケア革新の実現をめざす。

2021年11月、「ヒューマングライコームプロジェクト」における連携・協力に関する覚書を締結

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