東京工科大学

考えることをやめない学びを

「学修者本位」の環境を整え
「実学主義教育」を徹底追求

理想的教育は、
理想的環境にあり

八王子キャンパスでは工学部、コンピュータサイエンス学部、メディア学部、応用生物学部、大学院の学生が学ぶ

「学部を越えた動きを起こしたい」と大山恭弘学長

 東京工科大学は「学修者本位」の環境を緻密に整えている。大山恭弘学長いわく「学生が面白いと思えるきっかけをつくることが大事」という考えからだ。八王子キャンパス(東京都八王子市)と蒲田キャンパス(東京都大田区)では学生たちがそれぞれ目標を明確に掲げ、主体的にいきいきと学んでいる。

 大学を運営する学校法人片柳学園の前身「創美学園」の設立が1947年。工学部の単科大学としての開学が86年。法人の80周年、大学の40周年のその先を見据え、2018年に中長期計画『アクションプラン 工科大 Evolution2030』を策定した。30年を区切りに、「豊かな教養と高度の学術を教授、研究し、もって社会の繁栄に貢献できる豊かな人間性と創造的知性を備えた実践的指導的技術者を育成する」という建学の理念に基づく「実学主義教育」をさらに強化するためだ。学生たちの経験や実践を重視し、サステイナブル、つまり持続可能な社会に貢献できる人材の育成により力を入れていく。

 中長期計画は「大学経営・運営」「教育力強化」「研究力強化」「グローカル化促進」「ブランド力向上」という五つの柱で構成される。大山学長が話す。

 「私たちは『理想的教育は、理想的環境にあり』と考え続けてきました。学生たちにとってはやはり教育と研究の両輪が重要なので、『教育力強化』と『研究力強化』には特に注力しています」

 教育と研究の両輪が花開いた一例が21年10月の「NHK学生ロボコン2021」だ。工学部中心のロボコン挑戦プロジェクト「プロジェクトR」が、ロボットが矢を壺(つぼ)に投げ入れ得点を競う競技で全16チーム中初めてベスト4に進出。デザイン賞と特別賞のダブル受賞も果たした。大山学長が説明する。

 「ロボコン挑戦プロジェクトは楽しみながら知見や技術を得る場。失敗しても良いから新しいことにチャレンジしてほしい。いずれは工学部だけでなく、学部の垣根を越えた『知の交流』が活発に行われるプロジェクトに発展させたいと考えています」

 中長期計画の「教育力強化」「研究力強化」「グローカル化促進」の3点を兼ね備えた取り組みが、15年に始まった「コーオプ教育(Cooperative Education)」だ。学内の授業と学外での就業経験型学修を組み合わせたプログラムで、工学部では必修科目となっている。長期間、企業で働き報酬を得る教育に、大山学長は手応えを感じている。

 「企業等で社会経験を積む意義はとても大きいと感じています。実際に企業で働いた学生たちは実践力や責任感、主体性が強まり、コーオプ教育の経験は就職活動の面接などにも生きているようです。コーオプ教育の受け入れ企業に就職する例もあります。21年には工学部に限らず、選択科目として他学部にも拡充しました」

ロボコン挑戦プロジェクトでは世界優勝をめざす

多くの研究がSDGs
に結びついている

 東京工科大学は工学部、コンピュータサイエンス学部、メディア学部、応用生物学部、デザイン学部、医療保健学部の6学部から成る。学部の枠を越えた活動を後押しする働きが期待されるのが、21年8月に設置された「実践研究連携センター」で、産官学連携を推進する目的で設立された。社会の課題を解決するために異なる学部の教員が連携するケースがあるが、コンピュータサイエンス学部と医療保健学部、デザイン学部と医療保健学部の協働などですでに実践されている。教員同士のつながりに学生たちが関わり、「知」を結合させることで、社会において必要な課題発見力や課題解決力の精度が上がっていく。

 学部の垣根を取り払った学びを支えるのが、「サステイナブル社会の実現」という全学部共通の目標だ。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)は「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「つくる責任 つかう責任」といった17の目標を設定しているが、東京工科大学では多くの教員の研究にいずれかの目標が関連づけられている。必然的にどの学部の学生もサステイナブル社会の実現を意識するようになり、めざす方向も同じになる。

 SDGsに関わる研究も進んでいる。石油の代わりに微生物細胞を素材とし、利用後は自然に分解され、二酸化炭素削減に貢献する循環型の「細胞プラスチックス」の開発や、セラミックスの一種を使用することで限りある資源の有効活用と二酸化炭素削減につながる「セラミックス複合材料」の実用研究が代表例だ。

 サステイナブル社会の実現をめざす学びも含め、大山学長は「考えることをやめないでほしい」と話す。

 「何事も答えは一つとは限りません。別の答えがないか、もっと適した方法がないかと考え抜く姿勢が新しい視点を生み出していきます。自分で吟味する習慣はやがて社会で活躍するうえで役立ちます」

CAMPUS TOPIC ①

1年次から始まる「コーオプ教育」
約2カ月の就業経験を通じ
学生たちは貴重な収穫を得る

 学生が就業を行う「コーオプ教育」はアメリカ、カナダ、ヨーロッパでは盛んに導入されている。東京工科大学は日本でいち早く導入し、2015年度から工学部で必修科目として実施してきた。コンピュータサイエンス学部、メディア学部、応用生物学部では選択科目となっている。

 1日~2週間程度で原則無給であるインターンシップに対し、例えば工学部のコーオプ教育は約2カ月間の就業経験に加え、労働賃金と大学の単位を得ることができる。就業経験を実りあるものにするため、事前・事後教育も丁寧に実施する。

 体験学生からの評価は高い。「普段は目にできない多彩な機材や技術に触れられました」「大学の授業で学んだ物理化学に関する知識の必要性を肌で実感できたのは、大きな収穫です」といった声が上がっている。

◎コーオプ教育の流れ

CAMPUS TOPIC ②

「実践研究連携センター」と
「戦略的教育プログラム」で
社会実装を見据える

 「実践研究連携センター」は2021年8月に設置された。産官学連携を推進するのが狙いだ。『アクションプラン 工科大 Evolution2030』の「研究力強化」にあたる。実践研究連携センターがとりまとめる連携の一例としては、企業や公的機関から支援を受けながら、その研究成果をフィードバックする形が挙げられる。

 ほかにも、社会実装を想定した取り組みとして「戦略的教育プログラム」に力を入れている。「実学教育の推進」「教育力の強化」「社会の要請に基づいた教育の推進」に重点を置いたもので、例えば工学部では「AIデジタル設計・新材料活用モノ作り教育プログラム」、コンピュータサイエンス学部では「産学連携クラウド学修を通じた新しい実学教育プログラム」が進められている。

◎実践研究連携センターの支援体制

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