福岡女学院看護大学

SDGS

2008年に開学し、昨年10周年を迎えた福岡女学院看護大学。「ヒューマンケアリング教育」の理念に沿って、看護・保健の場で活躍する人材を育成してきた。「看護シミュレーション教育センター」の開設や「多言語医療支援コース」の設置など、先進的な取り組みが注目を集めている。開学以来8年連続で就職率100%を達成するなど、高い就職実績を誇る。

高度なシミュレーション教育で実践力を養成

看護師も患者も成長する
ヒューマンケアリング

片野 光男学長

 福岡女学院看護大学は2008年、福岡女学院と国立病院機構福岡東医療センターが連携して設立した。同大学が教育目標に掲げているのは、キリスト教精神に基づいた「ヒューマンケアリング教育」。看護を通して、看護される側も看護する側も共に人として成長するという考え方だ。
 「キリスト教に基づくプログラムとして大切にしているのが、毎日実施している『チャペルの時間』。教員や学生を含めてさまざまな人の講話を聴く時間です。学生時代にこれだけ人の話を聞き、自分と対話する機会がある大学はほかにないと考えています」と、片野光男学長は話している。
 「学習環境日本一」の目標に向かい、キャンパスの改善も進む。今年8月には、新たに同大学のシンボルとなる3号館(德永徹記念多目的ホール)が完成する見込み。イベントや大学祭、サークル活動など、多用途に使用可能な施設だ。シャワールームやパウダールームも完備されている。
 15年8月からは「オリーブの看護大学プロジェクト」がスタート。オリーブの森に佇む美しい看護大学を目指し、キャンパス内でのオリーブの植樹が進んでいる。「オリーブは聖書にしばしば登場する平和のシンボル。1種類のオリーブだけでは実を結ぶことができず、実を結ぶには近くに他の種類のオリーブが存在する必要があります。このプロジェクトには、学生が自立と協同のすばらしさを体感しながら、オリーブとともに成長してほしいという願いを込めています」と、片野学長は熱意を込めて語る。数年後には、成長したオリーブの木に囲まれた美しいキャンパスとなっているに違いない。

3号館の完成予想図

国際派の看護師を育てる
多言語医療支援コース

多言語医療支援コース授業の様子

 18年4月には、グローバル化する社会で活躍できる看護師の育成を目指す「多言語医療支援コース(選択制)」が開設された。看護大学では国内初となる取り組みで、海外で活躍できる看護師のほか、ビジネスや観光で訪日する外国人に質の高い医療を提供できる看護師を育成するコースだ。
 コース履修を希望する学生は、入学時点で英検2級またはTOEICスコア600以上の英語力が求められる。1年次後期のコース本申請の際には、1年次の成績や外部検定試験のスコアなどを考慮して10名以内に選抜される。
 1・2年次で医療英語などの基礎を学び、3・4年次には同じ法人の福岡女学院大学・国際キャリア学部でさらに高度な英語表現力やコミュニケーション能力を学ぶ。日本医学英語検定試験3級合格がコース修了案件となり、学生たちは多文化の人々とコミュニケーションできるスキルを持った看護師として巣立っていくことになる。
 「外国人旅行者が増えている今、最も大きな課題を抱えるのが医療の現場です。病気や保険制度の知識があり、かつ語学が堪能な人材を育てる必要があります。今後は中国語や韓国語でも同様の取り組みを始めたい」と、片野学長は話している。

開学以来8年連続で
就職率100%の実績

 同大学はまた、私立の看護大学が国立病院機構と連携した最初のケースとしても知られている。「附属病院を持たないことは通常はマイナスですが、それを逆手にとって国立病院機構や大学病院など、さまざまな病院と連携できた」と片野学長。同大学の学生たちは1年次から4年次まで、それぞれの学習段階に応じた臨地実習を高度な医療の現場で行うことができる。実習先は学生により10~20病院にものぼる。
 「臨地実習に行くのは学生や付き添いの教員にとって大変ですが、いわば4年間にわたってインターンシップをしているようなもの。多くの臨地実習の中で、学生は自分に合った病院に巡り合え、病院も求める人材に巡り合える」(片野学長)
 こうした取り組みの結果、同大学は開学以来8年連続で就職率が100%(19年度就職者101名/就職希望者101名)という驚異的な実績を達成している。さらに、9割以上の学生が、自らの第1・第2希望病院への就職を果たしている。
 「東京を中心に九州外の病院への就職も毎年多い。病院と学生のマッチングができているから、離職率が低いのも本学の特色です」と片野学長は言う。数多くの臨地実習でスキルを高めた学生たちが、今後も全国の病院で活躍していくだろう。

CLOSE UP[注目情報]

先進的なシミュレーション教育を実施

 同大学のシンボルともいえる教育施設が、附属病院を持たない大学として九州で初めて開設した「シミュレーション教育センター」。病棟、ICU、産室などの臨床現場がリアルに再現され、高性能コンピューター制御の患者人形が「入院」する模擬病院だ。看護学の全領域に対応した施設で、同大学は「看護シミュレーション領域」を国内で初めて設置した。
 シミュレーション教育では、事前学習やブリーフィングを受けた後に、代表の学生が看護シミュレーションを実施し、他の学生はその様子を観察して、グループディスカッションによる振り返りを行う。シミュレーションと振り返りを繰り返すことで、学生たちがよりよいケアのために必要な知識や技術に自ら気づくプロセスを促し、実践的な能力を養成していく。
 「同級生に観察されることで緊張感が生まれるだけでなく、同級生の実習を観察することで刺激を受ける効果もあります。自分の現在の技術レベルを確認でき、主体的な学習姿勢が育成できます」と片野学長は解説する。全国から関係者が視察に訪れるなど、注目度が高まっている施設だ。
 同大学が開発したオリジナルのIT教材「ミッションタウン」も高い評価を得ている。パソコンやスマホからアクセスできる自学型の教材サイトで、学生は誰でもアクセス可能。架空の町「ミッションタウン」を巡り、町の住民たちの生活や健康をチェックしながら、専門領域を超えて看護を学んでいく新しい教材だ。「全領域の患者が対象となっており、個々の学生の知識の程度に沿って自己学習が可能ですから、自分の成長を自身で評価しながら学ぶことができます。患者だけではなく、その家族や地域を対象として学べることもポイントです」と片野学長。学生の教育にとどまらず、国が掲げる地域包括医療に関わる人材育成のための教材としても大きな注目を集めている。

シミュレーション教育センター

VOICE[在学生より]

在学生
看護学部 1年
能住 歩乃佳さん
(福岡県立筑前高校卒業)
多言語医療支援コースの
英語による授業が楽しい!

 他大学にない高度なシミュレーション教育センターを体験でき、多言語医療支援コースで好きな英語を学べることと、就職率の高さに魅力を感じたことが志望理由です。高校時代に英検2級を取得していたので、多言語医療支援コースに入ることができました。先生方の授業はオールイングリッシュで、日常的な英会話や英語でのゲーム、医療で使う英語までを学ぶことができます。英語力が同じレベルの仲間と学ぶことができるので、いつも授業が楽しいです。
 大学の友人たちはとても真面目で、図書館で勉強する人も多く、いつも刺激を受けています。試験前には小テストをお互いに作って出題し合うこともあります。将来は子どもの看護に関わりたいので、小児看護学のプログラムを受講するのを楽しみにしています。また、大学でしか取得できない保健師の資格にも挑戦したいと思っています。

在学生
看護学部 4年
吉水 美波さん
(福岡県立鞍手高校卒業)
英語に対応できる
看護師として活躍したい

 母が看護師なので、私も幼い頃から看護師を目指していました。オープンキャンパスで大学を訪れたときは、キャンパスが明るくきれいだったことが印象に残っています。実際にとても温かい雰囲気の大学で、学生4~5人を担当するアドバイザーの先生が親身になって相談にのってくださいます。また、その他の先生方もとても親切なので、安心して勉強に専念できる環境が整っています。
 1年次にはオーストラリアへ海外研修に行き、彼我の看護への考え方の違いを実感するなど視野を広げることができました。大学ではシミュレーションサークルに所属し、緊急時対応などのテーマを決めて、シミュレーション教育センターを使った演習に取り組みました。自分が目指したい看護に向かって様々な経験ができるので、知識・技術の向上へ繋がっていることを日々実感しています。来年は多くの外国人が来日しますから、英語に対応できる看護師として活躍したいと思っています。

●福岡女学院看護大学(私)

【創 立】 1885年
【開 学】 2008年
【学 部】 看護学部
【女子大ランキング 研究 科研費(教員1人あたり)】全国4位
【資格、採用試験ランキング 国家試験合格 看護師(人)】九州4位
【地元出身比率ランキング 入学者の地元出身比率(高い) 私立大学】九州7位
(いずれも『大学ランキング2020版』より)
〒811-3113 福岡県古賀市千鳥1-1-7 
☎092-943-4174
https://ns.fukujo.ac.jp/

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