熊本大学

SDGS

九州屈指の総合大学として地域における知の拠点を担い、12万人を超える人材を輩出してきた熊本大学。名門の象徴であったナンバースクール・第五高等学校などを母体とし、剛毅朴訥という伝統の精神を受け継ぎつつ今、豊かな人間性と知性、グローバルな視野で世界課題に熱く向き合う人材の育成に尽力している。

ごうぼくとつの精神で世界・未来を拓く

剛毅朴訥の精神を
基盤とした人材育成

原田信志 熊本大学 学長

 熊本大学のルーツは1887(明治20)年に創立された第五高等学校(五高)に遡る。かつては嘉納治五郎が校長を務め、夏目漱石やラフカディオ・ハーンが教鞭を取り、物理学者の寺田寅彦、詩人の萩原朔太郎、政治家の佐藤栄作など多彩な人材を輩出した。
 錚々たる人脈に共通するのは五髙以来の剛毅朴訥。一般的には心が強く、しっかりしていて飾り気のないさまを言うが「私流に言い換えれば、いかなる困難の中でもひるむことなくじっくりとものを考え、いざやるときはわっとやる、すなわち具体的に課題を解決していく気風です」と原田信志学長は語る。さらに「熊本大学はこの良き伝統を守り、多くの異文化に理解を示し、国内外のさまざまな問題に関心を持ち、それらの問題を解決する能力を備えた人材の育成を目指しています」と付け加えた。そのための教育目標として掲げているのが〝Global Thinking and Local Action〟である。

先達の志を継ぎ
世界へ飛翔する

グローバルリーダーコースの教員と学生たち

 「地域の問題をグローバルな視点で考え行動できる人材」を育成するために「グローバルリーダーコース」を設置。このコースは、文学部、法学部、理学部、工学部の4学部がジョイントしたユニークなコース。五高の精神を受け継ぐ独自の「GOKOH School Program」では、ネーティブスピーカーによるアクティブ・ラーニング方式の授業科目などを提供、多様な価値観を受け入れられる豊かな教養と国際感覚、確かな専門性と柔軟性のある創造的な思考力を身に付けることを目指す。
 このような学びの集大成として推奨しているのが海外短期留学。留学に参加する「グローバルリーダーコース」の学生には大学から奨学金を支給している。また、さまざまな留学生支援制度の紹介や授業料が免除になる協定校への留学制度などで全学生の留学をサポートし、大学全体の国際化を図っている。「実際に海外の国に身を置くことで、本当の世の中の広さがわかる。身をもって知ることはたくさんあります」と学長。先達の志を継ぐ熊大生が、世界へ飛翔していく。
 同大学では日本人学生と留学生がさまざまなイベントを通じて自由に交流する課外活動も盛ん。キャンパス内での国際交流が、海外留学への「気付きときっかけ」になっている。また、街ぐるみ、地域ぐるみのグローバル交流を推進しているのもユニークだ。

地域と未来を拓く
研究拠点大学へ

国際先端医学研究機構における研究の様子

 最先端の研究も多彩に行っている。自然科学分野の国際的な研究力の向上を図る「国際先端科学技術研究機構」、生命科学分野における国際的レベルの研究力強化と国際共同研究を推進する「国際先端医学研究機構」、来年度設置予定の「国際人文社会科学研究機構」などにより、地域における知の拠点としての存在感はいよいよ増してきた。例えば「ヒトレトロウイルス学共同研究センター」は熊本大学の「エイズ学研究センター」と鹿児島大学の「難治ウイルス病態制御研究センター」を統合・再編し今年4月に、新たに設置された。人的・物的資源を戦略的に再配置し、難治性ウイルス感染症の克服を目指す。地方の国立大学が培ってきた強みを失うことなく、これらからの少子化・経済情勢にも対応し、地方国立大学の新たな連携の在り方を構築することが期待されている。
 「クロスアポイントメントを実現した画期的なセンターです。大学の壁を超え、学問領域の壁を超えたこのような施設は全国でも例を見ないものだと思います」。若い研究者たちの活躍と交流の場としても貴重、と学長は胸を張った。
 剛毅朴訥の精神のもと、豊かな人間性と知性に加えグローバルな視点を有した人材を育成する熊本大学。そのエネルギーの源となるのは「好奇心です」と学長は明解に答えた。旺盛な「好奇心」のおもむくままに創造し熱く挑み、地域・世界、そして未来を拓いていく。

CLOSE UP[注目情報]

世界を視野に産業や事業を創出する新拠点

 2019年4月、熊本大学大江キャンパスに「産業イノベーションラボラトリー」が誕生した。この施設は、熊本県や県内企業と連携し高品質で安定的な原料生薬の生産・供給システムの開発などを行うほか、全学的に利用可能な産学官共同研究拠点として整備された。
 場所はキャンパス内の薬草園の一画。5階建て・延床面積約2050平方メートルの施設内には、熊本大学と共同研究を行っている再春館製薬所、大正製薬、さらに熊本大発ベンチャー企業などの研究室がある。また、1階には同大学が収集した世界各地の有用植物150種以上を展示したミュージアムが設けられている。ラボラトリーでは革新的な医薬品や漢方薬等の開発に加え、若い研究者や専門技術者の育成も行う。
 現在、10を超える共同プロジェクトが進行中。将来的にはエイズやがん、腎臓病、アルツハイマー病などの治療薬開発への期待も高まっている。5月21日の開所式で原田学長は「世界を視野に新産業や新事業を創出したい」と熱く抱負を語った。

「自然共生型産業」「地方創生活動」「産学連携活動」に取り組む拠点

VOICE[在学生・卒業生より]

在学生
 
法学部 法学科 3年
大瀬 果穂さん
 
入学前の漠然とした「興味」が
確かな「目標」に変わりました

 TVドラマで法律に興味を持ち法学部へ。体系的なカリキュラムでの学びを通して法律の真の面白さに気付き、法科大学院を目指して「特論」や少人数ゼミで仲間たちと切磋琢磨しています。
 法律と並んで興味があったのが英語。1年次にアメリカとオーストラリア、2年次にはカナダとイギリスへの短期研修に参加しました。世界各国の留学生や現地の人との交流の中で、英語スキルはもちろんグローバルな視野や異文化・多様性への理解力などを養えたと思います。
 入学時には漠然とした興味に過ぎなかった「法律と英語」が今、私という人間に欠かせないものになりました。熊大には、自分の「好き」を見つける機会があり、それを「目標」へと成長させる環境があります。

卒業生
熊本大学病院 看護師(ICU勤務)
寺本 実由さん
2019年 医学部
保健学科看護学専攻卒
高度な専門知識や技能を得た
熊本大学病院での看護実習

 ICUには重篤な患者さんが多く、毎日強い緊張感の中で看護ケアにあたっています。それだけに患者さんの回復過程を実感するのが一番うれしく、それがやりがいにもなっています。
 大学での学びは現在の仕事に役立つものばかり。中でも大学病院での実習は、高度で多様な専門知識や技能を習得できるかけがえのない機会でした。また、研究機関や多数の資料がある図書館など興味のある分野を十分に学ぶことができる環境も魅力。
 さらに就職・進学時には手厚いサポートが得られます。総合大学なので出会いや交流も幅広く大学生活を充実させることができました。熊大での4年間、それは看護師としての私の基盤を固め、人間としての成長も実感できた素晴らしい日々でした。

●熊本大学(国)

【創 立】 1949年
【学 部】 文学部、教育学部、法学部、理学部、医学部、薬学部、工学部
【高被引用論文ランキング(クラリベイト・アナリティクス)2008〜2018年10月】 薬理学、毒性学 全国8位
【論文引用度指数ランキング(クラリベイト・アナリティクス)2013〜2017年】
 臨床医学 全国9位
 生物学、生化学 全国12位
 生態、環境学 全国13位
(いずれも『大学ランキング2020版』より)
〒860-8555 熊本県熊本市中央区黒髪2-39-1 
☎096-344-2111
https://www.kumamoto-u.ac.jp/

掲載大学一覧[九州・山口・沖縄]

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