長崎大学

1857年に創立されて以来、実学的な教育によって多彩な分野の人材を輩出してきた長崎大学。医療分野での実績を基盤に、グローバルヘルスの世界的な研究拠点としても注目されている。地域課題を解決する起業家育成に力を注ぐ一方、来年4月には新学部「情報データ科学部」を開設し(設置申請中)、IT人材の育成を開始。新時代へ向けた人材育成が高い評価を受けている。

国際的な視野で地域課題を解決する人材を育成

伝統的な実学主義に基づき
高度専門職業人を多数輩出

河野茂学長

 長崎県という地域に基盤を置く総合大学として、地方創生の原動力となり続けてきた長崎大学。9学部7研究科を擁し、学部と大学院を併せて約9000人の学生と、年間500人以上の留学生が同大学で学ぶ。伝統的な実学主義・現場主義に基づいて実習や実験を多く取り入れた教育・研究の中で、社会に貢献する高度専門職業人を数多く輩出してきた。
 同大学が掲げる教育のテーマは「Think globally, Act locally」。国際的な視野を持ちながら、自分たちの足元にある地域の課題にも対処できる人材の育成を進めている。
 「長崎という今いる場所の課題を見つめ、それを世界という広い舞台で生かせるように、本学を〝課題解決をじっくり学べる場所〟にしていく。そうした教育を通じて、社会に貢献する志の高い学生を育んでいきたいと思います」と、河野茂学長は語っている。人口減少、高齢化の急速な進展、社会資本の老朽化など、地方都市には喫緊の課題が山積している。「そうした中で、地方にある国立大学としては、地域に貢献する人材の育成だけでなく、地域の課題解決にも積極的に関わっていくべきだと考えている」とも話す。
 後述する新学部の設置や、グローバルヘルス領域の研究など、常に時代をリードする新しい取り組みを実施している同大学。世界と地域を同時に見据えた人材教育のあり方は、産業界からも高い評価を得ている。

グローバルヘルス領域の
世界的な研究拠点

ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)との調印式

 健康・医療分野の取り組みで大きな注目を集めているのが、同大学の「世界を動かすグローバルヘルス人材育成プログラム」だ。2019年度に九州で唯一、文部科学省の事業である「卓越大学院プログラム」に採択された。地球規模の健康課題の解決に貢献できる人材を育成するという、スケールの大きいプログラムだ。
 熱帯医学・グローバルヘルス研究科とグローバルヘルス分野の研究で世界トップに位置するロンドン大学衛生・熱帯医学大学院とのジョイント・ディグリー(国際共同学位)に象徴される、強固な連携を中核として構築されている。
 「自国主義が台頭する中、グローバルな視点で人々の健康を考え、世界をより良い方向へ動かしていく人材が必要性を増しています。本学では、『誰一人として取り残されることのない健康な世界』を本気で実現するため、国境や国籍、組織や専門領域といった旧来のボーダーを越えてつなげることができる人材を育成します。『健康』を『科学』として捉え、人類の持続的な発展に貢献します」と、河野学長は高らかに宣言する。
 地球規模で生じている健康問題を現場レベルで深く理解し、その解決に向けて技術や理論を構築できる教育・研究能力を有するとともに、学術的知見をグローバルな政策立案に結び付ける能力を兼ね備えた実践的・社会的リーダーの育成が期待されている。

地域課題の解決に貢献する
アントレプレナーを育成

文教キャンパス

 地方創生の推進拠点として、地域から大きな期待を寄せられている同大学。しかし、日本の西端にある長崎は決してアクセスのいい場所とはいえず、若者の人口も年々減少している。「卒業後の就職を大学選びの検討材料にする学生も増えていますが、長崎県には本社を持つ企業が少ないという現状があります。本学に入学しても就職を機に県外へ出る学生が少なくありません」と、河野学長は危機感を示す。
 そこで同大学では、長崎における新産業創出や地域活性化に寄与することを目的に、(株)ふくおかフィナンシャルグループの寄附をもとにした寄附講座「アントレプレナーシップセンター」を20年4月から正式に開設する予定だ。
 同大学の多くの学生が先進的なイノベーション教育の機会を得て、地域の課題を考え解決策を探るような起業家精神を養成。県内を中心に新しい価値創造にチャレンジする課題解決型アントレプレナー人材を育成する方針だ。
 また、同大学独自の取り組みとして、19年度から「長崎大学地方創生活動支援金」制度が設置された。卒業後に長崎県内の企業へ就職するなど、地方創生に貢献することを誓約できる学生に対して、就職やインターンシップ等の活動を支援するという内容だ。受給資格は「地方人材育成学士プログラム」を受講し、学業成績が優秀な学生としており、3・4年次に年間24万円、1学年40人を限度に支給する。地域課題を解決する同大学の人材育成の取り組みが、大きな注目を集めている。

CLOSE UP[注目情報]

2020年に情報データ科学部を開設!

 長崎大学は2020年4月、新学部「情報データ科学部」を開設する。AI、ビッグデータ、IoTなどの情報技術が急速に発展している現状を踏まえ、高度なデータ・AI人材の育成が急務と判断。情報科学を学び、IoTやSE分野で活躍する「インフォメーションサイエンティスト」、ビッグデータの応用分野で活躍する「データサイエンティスト」の養成を目指す。
 定員は110名。プログラミング、ソフトウェアシステム構築など情報科学に重点を置いた「インフォメーションサイエンス」と、数学(統計学)に基づくデータ分析・利用など、データ科学に重点を置いた「データサイエンス」の2つのコースで構成される。1年次はコンピューター科学や数学の基礎を学び、2年次からコースに分かれて専門的な学びを深める。
 また、PBL(課題解決型学習)を1・2年次の必修とし、自治体や企業から与えられた課題に学生たちが取り組み、課題解決力やコミュニケーション能力を養成していく。
 「感染症学や放射線医学、観光ビッグデータや知能ロボットといった本学の強みを生かして、医療・生命情報学と社会・観光情報学という応用系専門科目も用意します。システム開発や産業用ロボットなど工業界で活躍する人材、AIやビッグデータを経営や観光、医療といった分野で活用できる人材を育成したい」と河野茂学長は期待を寄せる。医療や観光など、長崎ならではの地域性を生かした教育が特色になりそうだ。
 今後に向けては大学院の設置も検討されている。世界に通用する情報データ技術を習得し、新たな産業を創出することで長崎や世界の経済の活性化に貢献する人材が、この新学部から数多く輩出されていくに違いない。
(設置申請中。記載の名称、内容は予定であり、変更する場合があります。)

プログラミング演習の様子

VOICE[在学生・卒業生より]

在学生
経済学部 総合経済学科 経済と政策コース 4年
小浦 悠さん
 
企業や地域の課題をテーマに
学生が成長できる大学です

 県内企業や地域の課題をテーマとした講義やサークル活動が豊富なところが、本学の魅力です。1・2年次のゼミ活動では、長崎県の人口減少をテーマに市役所の方々に政策を提言するという体験をしました。サークル活動では「ながさき100㎞徒歩の旅」という青少年育成事業に参加しています。地域課題をテーマに、学生が成長できる機会が豊富にあり、その環境がしっかりと整備されている大学です。
 専門ゼミ活動では「イノベーション実践研究」のテーマのもと、県内企業の課題解決を手段として、経済学・経営学の実践的な学習を行っています。五島列島にある洋上風車を使い、売電事業を試みる企業が私のゼミの担当です。長崎大学は、学習と実践のサイクルを高速で回すことができる学問の場だと思います。大学時代から社会にインパクトを与える活動がしたい人には、本学をぜひおすすめします。

卒業生
多文化社会学研究科 1年
小形 幸平さん
2019年 環境科学部卒
自分のやりたいことを探し
それに挑戦できる場所

 長崎大学の大学院で、長崎を対象とした文学の研究を行っています。日本や世界の作家が「長崎をどう描くのか」に興味があり、小説の背景に隠された「長崎」を解き明かしていけるのか、自分自身とても楽しみです。大学生活では3年次のインド留学が印象に残っています。「長崎ブレークスループロジェクト」という、学生と企業が共同で一つのビジネスを立ち上げる講義に参加し、インドへ留学。英語が苦手でもコミュニケーションをとることができた経験が、自信につながりました。
 長崎大学で学んだことは今の研究の土台になっています。特に英語に特化した「長崎グローバルプラスコース」を1年次に受講したことは大きな転換点となり、そこで出会った先生や学生に大きく影響を受けました。歴史ある町で学ぶことができる長崎大学は、自分のやりたいことを探し、それに挑戦できる場所でした。

●長崎大学(国)

【創 立】 1857年(医学伝習所として創基)
【学 部】 多文化社会学部、教育学部、経済学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、環境科学部、水産学部
【就職率(学部別)農、水産系学部】 全国1位
【小学校教員採用 九州・沖縄(地方大学)】 2位
【国家試験合格 理学療法士(率)】 全国1位
(いずれも『大学ランキング2020版』より)
〒852-8521 長崎県長崎市文教町1-14 
☎095-819-2007(広報戦略本部)
http://www.nagasaki-u.ac.jp/

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