下関市立大学

1956年の大学開学以来、地域に根ざした公立大学として数多くの人材を輩出してきた下関市立大学。学生が地域課題に取り組む、産官学と地域が連携した「認知症カフェ」支援などで大きな注目を集めている。地元下関での地域活動や海外留学・国際交流などの世界に目を向けたグローバルな地域活動の教育を積極的に推進。豊かな教養を身につけた人材が、地域社会や世界へと羽ばたいている。

海峡都市下関で、
地域と国際社会の発展に貢献する

経済学をベースに
多彩な地域教育を学ぶ

大学院経済学研究科長 難波利光教授

 下関市立大学は、経済学部の単科大学であるが、経済に関連づけながら、政治・地理・福祉・スポーツ・歴史・語学などの自由度の高い学問の研究を行える多彩なカリキュラムを提供している。結果的に経済学をベースに広く教養が身につくことが特長である。
 特に、経済学を学ぶ上で地域社会の充実や経済の活性化につながる地域教育に重点をおいている。実際に地域を学ぶために、地元下関市などの地域課題だけではなく、山口県内や九州各県での地域づくりや企業への見学も多く実施し、地域や企業から学ぶ機会も充実している。
 また、前述した山口・九州エリアの地域課題から、アジア圏や欧米圏などグローバルな地域課題についても取り組んでいる。グローバルな地域課題を解決できる人材の育成に向け、同大学が力を入れているのが外国語学習や国際交流の分野である。
 外国語学習については、英語だけではなく中国語と朝鮮語も第一外国語として選択可能。海外留学・研修にも積極的に取り組んでおり、派遣留学が可能な協定校はアジアや欧米の12大学にのぼるほか、夏季休業を利用した外国研修も実施。中国や韓国、シンガポールで実施される国際インターンシップに参加するチャンスもある。さまざまな国から訪れた外国人留学生との国際交流イベントも豊富だ。「日本にいながら世界を知ろう!」「日本文化の神髄を知ろう!」など、相互の文化を学ぶイベントを通して交流を深めている。
 こうした国際教育や下関での地域活動をはじめとする教育により、広い視野を持った人材が育ち、全国で活躍している。

産官学連携の地域教育で
SDGsを深く学ぶ

下関市職員による講義

 下関市立大学が掲げる理念の一つが、「地域社会の知的センターとして地域に根差した教育と研究」。公立大学として豊かな地域社会の創成に貢献することを目的に、地域に根差した教育と研究に力を注ぎ、地域社会で活躍できる人材を育成している。
 大学院経済学研究科長を務める難波利光教授は地域福祉をテーマとする研究を進めている。難波教授は、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)のうちの『すべての人に健康と福祉を』を、さまざまな側面から重層的に授業で説明している。授業では、経済学的な面から、ユニバーサル・ヘルス・カレッジ(UHC)について医療福祉経済論を通じて取り組んでいる。また、下関市役所の企画課長を招き、行政としてSDGsをどのように捉え、地域福祉を行っているかの授業を実施している。
 このように下関市役所との協力のほか、地元の武久病院による健康教育、そして、大学近隣の自治会活動との連携により、産官学と地域が一体となり、地域社会や地域の活性化への取り組みが実現している。

地域との交流を通じ
学生たちが成長する

学生と地域の交流(「認知症カフェ」)

 下関市立大学の学生たちは、地域自治会が高齢者のために実施している「認知症カフェ」の地域活動に参加しており、理論を学ぶだけではなく実践も行っている。「認知症カフェ」は高齢者の認知症予防を目的とした福祉活動で、全国各地の自治会が開催している。現在、難波教授のゼミを受講する学生の内9人が自主的に参加しており、高齢者たちに交じってゲームや体操、クイズなどをし、会場の雰囲気を和ませている。認知症カフェ「いきいきサロン山の田」を運営する山の田東町自治会長の山尾研治さんは、「孫が遊びに来るような感覚で、世代を超えて話ができることにみんなで喜んでいます」と話す。
 難波教授は、「理論と実践の双方を学ぶことでSDGsへの理解が深まり、学生が就職活動をする際にも大いに役立つと考えています。学生は地域の潤滑油となり、高齢者の方は若い学生の話には素直に耳を傾けることが多くなり地域活性化の一員となっています。また、学生たちは、高齢者と接する機会が自身の成長につながります。地域活動を通して高齢者でも子どもでも、誰とでも円滑にコミュニケーションできる力が養われるからです」と話す。こうした取り組みを通じて、地域に必要とされる人材が同大学から巣立っていくことは間違いない。

CLOSE UP[注目情報]

高い就職率を実現する
きめ細かいキャリア支援

 卒業生の2018年度就職率は99%(就職者503人/就職希望者508人)。同年度の「国公立大学・学部系統別実就職率ランキング」(週刊東洋経済)では全国第2位にランクインするなど、毎年高レベルな実績を誇っている。キャリア支援班長の上野惠美氏は、その強さの一端をこう解説する。「大学として小規模な本学では、学生一人ひとりの顔を分かったうえで就職支援できるのが特色です。キャリア支援班のスタッフは、学生の背景や環境を理解し、彼らが主体的に設計したキャリアに向けてきめ細かい支援を行っています」
 同大学のキャリアセンターは、「訪れた企業の人に驚かれるほど、いつも学生で賑わっている」と上野氏。センターではコーヒーや紅茶を無料で提供するなど、学生が集まるための仕掛け作りにより、学生とスタッフとの密接なコミュニケーションを図っている。就活イベントの申し込み手続きなどもあえてデジタル化せず、窓口で顔を合わせて会話することを大切にしている。また、イベント当日は学生全員がスーツを着用する決まり。早くからスーツの着こなしを学べるほか、後輩たちに就活シーズンの到来を告げ、就職意識を高める狙いもある。
 1年次から始まる「キャリアデザインⅠ~Ⅳ」や、産業界と連携した課題解決型のプログラム「PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)」、各種インターンシップなど、キャリア教育が充実している点も特色の一つだ。同大学卒業生を招いて開催する「就活直前セミナー」や懇談会形式の「市大キャリアスタディ」も学生たちに好評。これらの手厚いサポートを受け、今後も学生たちはさまざまな業界へ飛び立っていくだろう。

キャリアセンターに集う学生

VOICE[在学生より]

在学生
経済学部 経済学科 4年
森園 大地さん
(鹿児島南高等学校卒業)
地域の人と親交を深めた
地域イベントボランティア

 本学は規模こそ小さいですが、そのため他学科や他学年の学生とも密接に交流できるところが大きな魅力です。先生方とも学内や地域でお会いすることが多く、さまざまな会話を通じて交流できる環境です。授業の一環として海外へ行くこともでき、大きな刺激を受けることができました。ゼミの授業で身につけたディベートやディスカッションのスキルは、質問の質を上げる効果があり、就活の面接の際にも非常に役立ちました。
 大学生活で打ち込んだのは、部活のサッカーと大学祭実行委員。実行委員としては、大学祭の運営だけではなく、「関門海峡花火大会」や「馬関まつり」など地域のイベントにボランティアとして参加。子ども用の遊び場の見守りや、祭りの神輿の担ぎ手として活動するなど、貴重な体験をすることができました。地域の人たちとの親交を深められたことも、自分にとっての大きな財産になりました。

在学生
経済学部 国際商学科 3年
中野 なつ美さん
(尼崎市立尼崎高等学校卒業)
カナダの大学への留学で
積極性や計画性を獲得

 高校時代から英語圏の大学で学びたいという強い意志があり、それを実現させるために下関市立大学に入学しました。2年次にカナダの大学へ約8カ月間留学し、積極性、行動力、自己解決能力、計画性を得ることができ、物事を見る視野が広がりました。留学先では、ビジネスや地域経済発展の授業を受講しました。海外の学生達とグループで課題やプレゼンテーションを行い、チームビルディングの難しさを経験することもできました。現在もこれから留学に行く学生のサポートや本学に来る留学生の生活サポートを行っています。
 本学は比較的規模が小さいので、留学や部活動、勉学など何かに挑戦したいと強く思い、行動に移せば自分次第でなんでもできますし、皆さんの挑戦をサポートする体制も整っています。大学で何か新しいことに挑戦したいと考えている高校生の皆さんに最適な大学であると考えます。

●下関市立大学(公)

【創 立】 1956年
【学 部】 経済学部 経済学科、国際商学科、公共マネジメント学科
【教育 高校からの評価(公立大学)】 九州・山口2位
【進路 都道府県・市区町村職員採用(公立大学)】 九州・山口4位
【国際化 留学生派遣(公立大学)】 九州・山口3位
【国公立大学の志願倍率 経済学部系(一般入試)】 全国1位
【入試 一般入試志願者(公立大学)】 九州・山口2位
(いずれも『大学ランキング2020版』より)
〒751-8510 山口県下関市大学町2-1-1 
☎083-252-0288(代表)
https://www.shimonoseki-cu.ac.jp/

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