下関市立大学

本州の最西端に位置し、古くから陸海の交通の要衝として栄えた下関市。この地で1956年に開学した下関市立大学は、地域に根ざした公立大学として数多くの人材を輩出してきた。地元下関での地域活動や、海外留学・国際交流などのグローバル教育が高く評価されている。「リカレント教育センター」の開設や大学院改革など、新たな挑戦も始まっている。

地域社会で学ぶ。世界を知る。未来を創る。

下関の歴史的財産を活用し
アジア中心の国際交流を推進

川波洋一学長

 外国語学習や国際交流イベントを充実させ、グローバル社会で活躍できる人材を育成している下関市立大学。世界13大学と交流協定を結び、留学生の受け入れや派遣を積極的に行っている。第一外国語として英語のほかに中国語と韓国語を学べるのも特徴の一つだ(第二外国語としてフランス語とドイツ語の履修も可能)。
 「海外で活躍することはもちろん、国内にいてもグローバルな視点が必要な時代です。海外のことを知ると同時に日本の歴史や文化を深く学ぶなど、厚みのある知識を身に付ける教育を実施していきたい」と川波洋一学長は語る。
 留学生が自国の文化や習慣を講演する「日本にいながら世界を知ろう!」、中国文化を体験する「食・見・交・群~餃子パーティ」、外国語学習の成果を発表する「スピーチコンテスト」、留学経験者が体験発表し、学生の留学意欲を向上させる「留学体験発表会」など、国際交流イベントも多彩だ。
 今年からは「国際交流センター」が独立したセンター機能を持つようになり、国際交流の取り組みはさらに充実していきそうだ。川波学長は、「下関の持つ歴史的財産を活用し、アジアを中心とした国際交流を推進したい」と語っている。

高い就職率を実現する
きめ細かい就職サポート

国際食品商談会に参加した学生の様子(PBL)

 キャリア教育や就職サポートにも力を入れている。1年次から4年次までの体系的なキャリア教育プログラムをはじめ、2・3年次のインターンシップ、卒業生を招いての「市大キャリアスタディ」、合同業界研究会など、多彩なプログラムを設置。中国・青島、韓国・釜山、シンガポールへの海外インターンシップも実施している。
 課題解決型学習(PBL)では、国際食品商談会「沖縄大交易会2019」で、同大学の学生チームが下関ブースの運営・サポートを実施した。
 今年5月現在の就職決定率は99.1%(就職者532人/就職希望者537人)。川波学長は「高い年では99.8%、低い年でも99%以上と、高い就職率を保っているのが本学の特徴です。企業からは『素直な学生が多い』と高い評価をいただいています」と話している。
 学生一人ひとりの状況に合わせた就職サポートも特色だ。キャリア支援班のスタッフは学生の背景や環境を理解し、学生が主体的に設計したキャリアに向けてきめ細かい支援を実施する。
 「本学は経済学部のみの学部構成ですが、リベラルアーツ的な多様な学びができる大学でもあります。多様な学びにより、状況の変化に対応できる人材を育成している点も、就職率の高さの要因だと思います」と川波学長。同大学は全国から多様なバックグラウンドを持った学生が集まっており、こうした環境の多様性が学生たちを成長させている。

教育成果を経済学的に分析する
新たな領域を大学院に開設

教育改革を進める下関市立大学(本館Ⅰ棟前)

 教育改革においても多様な取り組みが進んでいる。特に注目されるのが、リカレント教育センターの設置(クローズアップ参照)、そして大学院の大幅なリニューアルとして、既存の2コースを統合した「経済コミュニティシステム・国際ビジネス領域」、新たに設けられた「教育経済学領域」という二つの領域の開設だ。
 教育経済学とは耳慣れない言葉だが、どのような学問なのか。「教育経済学はこれまでの日本になかった研究領域ですが、アメリカでは研究が進み、学問分野として確立しつつあります。教育の成果や効果が将来、どの様にあらわれてくるかを理論的・計量的に分析・研究する学問です」と、川波学長は解説する。
 アメリカの研究では、質の高い教育を与えた一群の子供を追跡調査した結果、高校卒業・大学進学の可能性が高くなり、高い収入を得る可能性も高くなる一方、犯罪をおかす可能性は低くなったという。
 「日本では教育が経験則で語られることが多く、その効果を計量的に検証する作業が遅れていた」と川波学長は指摘する。教育現場でデータに基づく組織マネジメントができる人材を育成することで、日本の教育のあり方が変わる可能性がある。“下関発の新たな経済学領域”に大きな期待が寄せられている。

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社会人の学び直しを支援する
「リカレント教育センター」

 「リカレント教育センター」の開設も大きなトピックスだ。センター長を務める韓昌完副学長は、リカレント(学び直し)教育の必要性について、こう語る。「大学までの学びで一生暮らせる時代は終わりました。急速に変化する現代社会では、大学で学んだ知識はすぐに古くなる。また、人生100年時代といわれる今、定年後の長い時間をいかに生きるかも問われています」
 教育を受けて仕事をして引退、という人生モデルは崩れ、就業後にも新たに教育を受ける必要性が生じる。それがリカレント教育だ。「30~50代の社会人は学びへの欲求が高まり、問題意識も持っている。彼らに学びの機会を提供することが公立大学の使命だと考えています」と韓副学長は話す。
 同センターでは「地域創生マネジメント専門家養成プログラム」が今年6月から開講されている。「Ⅰインクルーシブ教育専門家養成コース」「Ⅱパーソナルマネジメント専門家養成コース」「Ⅲ子ども才能マネジメント専門家養成コース」という、三つの専門家養成コースを設置している。授業は社会人のニーズに合わせて土日に開講され、修了者に対しては履修証明書が交付される。
 「従来の公開講座とは違い、専門性を持った人材を育成するための高レベルな教育を実施しています」と韓副学長。当初は60人の定員を想定していたが、広報活動はしていないにもかかわらず、北海道から沖縄までの全国に住む延べ79人の受講生を迎えた。年代も20代から60代までと幅広い。リカレント教育センターは、今後の時代を見据えた公立大学の取り組みとして、大きな注目を集めている。

リカレント教育センター開講式の様子(韓昌完副学長)

VOICE[在学生から]

在学生
経済学部国際商学科 4年
湊 映梨子さん
山口県立下松高等学校卒
他大学との合同ゼミでの経験から
論理性や客観性を学びました

 大学では他大学との合同ゼミに一生懸命取り組みました。「日本の再生可能エネルギーが最大限普及しない原因は何か」というテーマでチーム論文を作成し、プレゼンテーションや議論を行いました。チームで活動する上でお互いの意見を尊重し合う姿勢を学べましたし、この経験で培った「論理的に伝える力」や「物事を客観視する力」は、社会人として働く上でも活かせる強みだと思います。
 卒業後は航空業界で活躍したいと考えています。語学力が求められる仕事のため、外国語分野の講義は私にとって役立つものだったと実感しています。中でも英語実習やForeign Studiesなどの講義は「話す力」を向上させることにつながりました。本学は第一外国語として英語だけでなく中国語や韓国語も学べ、また海外留学制度や外国研修が設けられているなど、外国語教育も充実している点が大きな魅力です。

在学生
経済学部経済学科 4年
辻田 陸さん
福岡県立嘉穂高等学校卒
より多くの人と密接な関係を
築ける環境が魅力です

 下関市立大学の魅力の一つは規模感にあります。比較的小さい規模のため、学生同士や教員と学生との距離が近く、より多くの人と密接な関係を築くことができる環境です。さまざまな人の考え方に触れることで、自分の成長につながると思います。学内インターンシップでは、社会人として働く上での心構えやマナー、目上の人との接し方を身に付けることができ、自信につながりました。
 大学ではフットサル部の活動に打ち込みました。当初は結果が出ませんでしたが、自分たちのプレーを録画し、それを見ながら課題を話し合い、改善に向け試行錯誤をしながら練習を行うことで、チームの実力が向上。1部リーグに昇格できました。しっかりと課題を見つけ、その解決策を考えることで成長することができたと実感します。授業でも課外活動でも、自分の成長につながる環境が揃っている大学です。

●下関市立大学(公)

【創 立】 1956年
【学 部】 経済学部(経済学科、国際商学科、公共マネジメント学科)、大学院経済学研究科経済・経営専攻〈修士課程〉(経済コミュニティシステム・国際ビジネス領域、教育経済学領域)
【国公立大学の志願倍率(一般入試)経済学部系】全国2位
【公立大学の進路 警察官採用】全国2位
【海外 留学生派遣(公立大学)】九州・山口2位
【就職率(学部別)経済、経営、商学部】 九州・山口5位
(いずれも『大学ランキング2021版』より)
〒751-8510 山口県下関市大学町2-1-1 
☎083-252-0288(代表)
https://www.shimonoseki-cu.ac.jp

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