九州大学

日本屈指の基幹総合大学として、国際レベルの教育・研究を先導する九州大学。国内最大級の規模を誇るキャンパスには世界の知と人材が集まっている。今回は半世紀ぶりの新設学部「共創学部」と「オンライン留学」に挑んだ学生を紹介。さらに新しい研究成果レポートと教育DXの実体験コメントにより、同学の傑出したイノベーション創出牽引力を例証する。

世界の知と人材が集まる、
イノベーション創出を
牽引する大学へ。

文理の壁を越えて世界の
課題解決に挑む共創学部

ローレンス・ヨハン先生(副理事、基幹教育院・教授、共創学部・副学部長)

 ──九州大学は2018年4月に50年ぶりの新学部「共創学部」を開設されました。
 ローレンス・ヨハン(以下ローレンス) 共創学部のテーマを一言で表すと「ISSUE BASED(課題解決型)」。たとえば、気候変動ひとつとってみても、環境工学だけでなく経済学や社会学、法学など俯瞰してみないと解決に至りません。そのため、文系・理系で学問を分けるのではなく、社会問題の解決のために文理融合でさまざまな視点から問題解決のアプローチをします。
 ──九州大学はグローバル人材の育成に力を入れていらっしゃいます。
 ローレンス はい。共創学部では1年次は英語を集中的に学び、2年次以降の専門科目は英語を用いて学びます。さらに卒業条件の一つに留学が含まれています。
 ──海外渡航が難しいコロナ禍では留学はどうされているのでしょうか。
 ローレンス 共創学部では「I-COIL(Issue-based Collaborative Online International Learning)」という、オンラインを活用して海外の大学と九州大学とで英語学習を行うシステムを推進しています。例えば、台湾の大学と一緒にオンラインでワークショップをしたり、タイの大学と生物×工学をテーマにディスカッション等をしたり。オンライン上で留学の経験もできますよ。

学内には農場など研究施設も充実(写真は環境制御型温室における植物栽培試験)

 ──最後に受験生へメッセージを
 ローレンス 高校生の頃、ラテン語の先生に教えてもらった言葉があります。『mens sana in corpore sano』(健全なる精神は健全な身体に宿る)。受験生はきちんと食べてきちんと寝て、きちんと動くことが大切です。そして、健全な精神のためにちょっとくらい遊ぶ時間も必要だと思います。

その一歩が扉を開く
勇気を出したオンライン留学

橋本英里香さん(農学部2年生)

 ──農学部を志望した理由は。
 橋本英里香(以下、橋本)入学時にコース選択をするのではなく、1年次に1年間授業を受けて自分の興味ややりたいことをじっくり考えてから、2年次にコース選択が出来るところが安心だなと思い、九州大学の農学部を志望しました。キャンパスからフィールドが離れている大学もある中、身近に農場などがあることも魅力的でした。
 ──高校との違いは。
 橋本 高校までは座学中心の授業でしたが、九州大学に入学して受けている基幹教育授業では、同級生との協同学習や議論、発表を通じ、同級生からも刺激をたくさん受けています。
 ──コロナ禍で苦労したことは。
 橋本 昨年はなかなか大学に通えず友人作りが難しかったです。活動に制限はありましたが、サークル活動が友人作りに役立ちました。
 ──オンライン留学を受けられましたか。
 橋本 はい。私が参加したのは、留学生センター主催の『アジア太平洋カレッジプログラム(CAP in Hawaii)』です。オンラインでハワイ大学マノア校講師によるライブ講義を受ける留学プログラムです。すべて英語で講義が行われ、ハワイの歴史や文化、日本との関係性など、今年2月下旬から約10日間、毎日1、2つの講義を受けました。人前で英語を話すことは私にとってハードルが高く、講義初日はほとんど話すことができずに終わりました。講義後、「このままじゃ参加した意味がない」と思って翌日は勇気を出してみんなの前で質問をしてみました。すると、自分の中で一気にハードルが下がってディスカッションでも発言できるようになりました。このプログラムとは別に大学が留学準備や英語力向上のために、英会話プログラムの受講についてサポートしていただきました。コロナ禍が終息したら、交換留学制度を活用して長期留学をしたいと思っています。

CLOSE UPバイオメディカルの領域を越えた幅広い学際領域研究

昨年1月に、日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞を受賞した九州大学大学院工学研究院の山西陽子教授の研究を紹介。

山西教授は本賞創設以来、
初の女性受賞者です。
山西陽子教授(写真:左)

 九州大学大学院工学研究院機械工学部門の流体医工学(山西)研究室では、マイクロ・ナノ領域での高速・高精度な操作・解析技術を駆使し、細胞が有する未知なる機能の解明やその応用を目指した研究を行っています。研究室の特徴として、工学的なアプローチを基盤とした工学・理学・医学・バイオなどの複数の学問分野にまたがる学際の異分野融合研究を推進していることが挙げられます。
 例えば微細な閉空間内に爆発的な放電を発生させることで、気泡をライフルのように狙った場所に高速で発射して細胞に穴を開ける方法を見いだし、「針の無い注射器」を開発しました。高速で発射された気泡が割れる破壊力によって細胞に穴を開けたり、加工することが可能になります。気泡はやがて収縮するため試薬や遺伝子だけが患部に輸送されることより穿孔技術と試薬を入れる技術の二つを合わせた注射器(インジェクター)の研究が生まれました。その後、気泡の収縮性から分子の凝集技術へ応用した結晶生成技術や、気泡内にプラズマを発生させ加工能力を増強させることによってCFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの非常に固い金属やポリマー等の非金属の精密加工へ応用した技術も生まれ、バイオメディカルの領域を越えた幅広い学際領域研究を行っています。

VOICE[在学生から]

在学生
大学院システム情報科学府1年生
德永 大空さん
九大学務LINEプロジェクトで得た
多くの経験 〜新入生をサポート!〜

 私は大学4年の終わり頃から教育DXの一環として学務LINEプロジェクトに携わり、主にBotの実装とフロー設計を行っています。このLINEBotは学生にとって最初の学務窓口として機能し、なにか不安なことや困ったことがあったらとりあえずBotに聞く事ができます。普段よく使っているLINEなので、新入生も負担なく使えることも利点です。
 このプロジェクトを通して、学生には任せないような上流から下流までの全工程に関わらせて頂き多くの経験をさせていただけたことは、私にとって貴重な財産になりました。今後も全力で学生をサポートする体制を整え、「誰も置いていかない教育」を目指していくので、ぜひ九州大学への進学を考えてみてください。

●九州大学(国)

【創 立】 1911年
【学 部】 共創学部、文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、芸術工学部、農学部
【高校からの評価 生徒に勧めたい(国公立)】九州・山口・沖縄1位
【教育環境(校地、校舎面積) 校舎面積】全国2位
【外国人留学生 大学院総数】全国4位
【学位授与 総数(課程博士+論文博士)】 全国5位
(いずれも『大学ランキング2022版』より)
〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡744
☎092-802-2130(広報室)
https://www.kyushu-u.ac.jp/

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