佐賀大学

 予測困難なコロナ禍に苛まれた現代において、学生にとって一番大切な「学びの機会」を停滞させずに、さらなる学びの質を向上させている佐賀大学。地域とともに発展し続けることを志し、これからの10年間を見据え、佐賀大学の役割や方向性を位置づけるため、「佐賀大学のこれから〜ビジョン2030〜」を2020年に策定した。自律的な取り組みにより、今後さらに〝強い佐賀大学〟を目指していく。

コロナ禍における
新しい大学教育の実践

ニューノーマルな時代 
求められる大学授業の多様性

正門付近の風景

 佐賀大学では、コロナ禍にあっても教育効果を高めるため教育改善の活性化に資する取り組みを支援し、学部横断的な普及を図っている。
 医学部看護学科では、河野史教授が、本年度より解剖生理学講義副教材としてARによる『Holoeyes Edu』を導入している。非対面非接触での利用が可能で、反復学習効果も上がることが期待される。より高い教育効果があり、先進的な取り組みとして、国立看護大学校と共同で教育方法の検討を行っている。さらに、鈴木智惠子教授は、医療実習用バーチャルトレーニング「ナップ:診察」によるバーチャルなシミュレーション教育を行い、今後筋肉注射の手順を感覚的に学べるVR教育も開始予定である。
 理工学部 掛下哲郎准教授は、学生等の多様な要望に応えられるようにオンライン授業を改良した。「個別の学生は対面・オンラインの受講方式を自由に選択できます。授業運営も簡素化し、授業担当教員だけで実現できるよう工夫しました。授業動画を活用することで、学生は繰り返し視聴が可能になり、通信障害などの問題も解決できます。さらに、画面共有機能を活用した指導等も実現できました」と語る。「自分のペースで動画を視聴でき、かつ、先生にリアルタイムで気軽に質問できるため、しっかり理解しながら受講できました」と学生にも好評である。

ハイブリッド授業の様子(イメージ)

 また、附属図書館では、新たな電子書籍サービスを開始した。新刊小説や英語学習図書など、全部で669冊のコンテンツがあり、書籍の一部には音声読み上げ機能もついている。「いつでも、どこからでも、もっと図書に親しんで」と、その利用を呼び掛けている。

オンラインで学生の不安を解消 
大学の最新情報をこまめに配信

 2018年から国内の大学として初めて、人工知能(AI)がオンラインで質問に答える「AIチャットボット」を稼働させ、受験生向け、在学生向けに2千以上の質問に対応している。AIチャットボットは24時間いつでもWebサイトから利用でき、また、使い慣れたユーザーインターフェースで気軽に問い合わせできることから毎年利用者が増えるとともに、AI自身が学習することにより、より賢くなり、正確な回答につながっている。
 また、7月から開催している「オンライン個別進学相談会」は、大学職員が入試、教育内容、学生生活、経済支援など高校生や保護者からの質問に直接回答する個別相談スタイルとなっている。
 本年1月よりスタートした「佐賀大Press」は、学生や教員のホットな活動や活躍を記事にまとめて毎日配信している。「YouTubeチャンネル佐賀大学」でも、新しい動画の掲載に積極的だ。様々なメディアを通じて、学生が安心して勉強や課外活動に取り組んでいる様子や研究者の活躍を発信することで、「コロナ禍でも佐賀大学は元気です」というメッセージを受験生や市民に伝えている。

大学一丸となり手法を凝らした 
キャリア支援で学生をサポート

キャリアセンター教員と学生が新入生の悩みに答えた際の収録の様子

 コロナ禍でも学生が積極的なキャリア選択ができるよう、新しいキャリア支援を幅広く展開している。そのひとつである「Career+Radio=!?(通称:キャリラジ)」は、キャリアセンター(以下センターという)の教員・スタッフが動画配信型ラジオ番組として、毎月1回、遊び心満載で、キャリア(=人生)について社会人ゲストとトークしたり学生からの質問に答えたりする取り組みである。また、「バーチャルオフィスでの就職相談」にも取り組んでいる。オンライン会議システムでは、人の気配を感じることが難しく“就活仲間づくり”に課題があったが、学生、社会人が自身のアバターを操作し会話することができるシステムにより“仲間づくり”や“企業との偶然の出会い”を可能にした。その他、佐賀県内企業等と学生がプロジェクトや交流を行う「キャリア・アクセラレーションプログラム」は6企業7コースを開設し、さらに拡大予定。センター教員が企業の採用活動等を支援する「企業向けオフィスアワー」にも取り組むなど、コロナ禍だからこそできる新たなキャリア支援策を積極的に展開し、一層の充実を図っている。

CLOSE UP

自由な発想と環境で有為な人材を輩出
~理工学部 中山功一研究室~
学生起業家たち(左から浅川さん、森山さん、梶原さん)

 中山研究室では、ドローンを使った防災研究、ディープラーニングやブロックチェーンなどを中心に研究を行っており、自由な発想と環境が学生起業家を輩出している。
 学生べンチャー起業のひとつ、株式会社SA-GAで代表取締役を務める森山裕鷹さん(博士課程1年)は、 2018年、 理工学部4年次に起業した。 森山さんは、佐賀大学の研究シーズであるブロックチェーンの特許技術の発明者であり、キャッシュレス決済や画像処理技術など様々な技術研究開発に取り組み、現在は学校決済サービス「学校 PAY」を佐賀県内の小中学校に向けて提供している。
 また、 理工学部4年次にビジネスプランコンテスト「さがラポチャレンジカ ップ2020」で最優秀賞を獲得し、「佐賀大学発ベンチャー」称号の第2号を授与された浅川泰輝さんは大学院進学後も株式会社ASで代表取締役社長として活躍中。現在は佐賀県による「ふるさと起業家支援プロジェクト」の寄付金を活用し、同社が開発したモバイルオーダーシステムを使い、地元飲食店と配達代行業者、及び合同会社ロケモAIと協力し、佐賀大学生のためのモバイルオーダー&デリバリサービスの実証実験「佐大ToGo」を実施している(7月31日まで)。
 地域に根差した会社づくりを行う合同会社ロケモAI代表兼システム開発担当の梶原薪さん(博士課程2年)は、 2017年、理工学部4年次に起業。位置情報サービスを中心に幅広く手掛け、学生ならではの思考やひらめきを生かし、利用する人の想いに寄り添ったサービスづくりに取り組んでおり、そのひとつ「ROUTE385 smart スタンプラリー」では、佐賀県吉野ヶ里町との「三者連携に関する協定」に基づき、理工学部とともに技術協力を行った。
 理工学部は現在、佐賀県多久市との連携事業を準備しており、今後、学生ベンチャーと連携した新たな市民サービスの提案や観光活性化施策、業務のDX化、そして研究成果のフィールド実証試験などを行う予定である。

産地とつながり、海外と連携する
~有田キャンパス~
交換留学プログラム『SPACE-ARITA』の成果発表会

 有田キャンパスは2017年度に開設され、芸術地域デザイン学部及び肥前セラミック研究センターの教育、研究の場として活用されている。また、陶磁器文化で伝統をもつ有田町をフィールドに、学生は地域と密接に交わり有機的な学びを経験している。
 有田セラミック分野では、人間国宝や絵付・ろくろの伝統工芸士などを講師に迎え、学生は、やきもの産業の町ならではの伝統と技術を日々学ぶと共に、現代のデザインや芸術表現にも取り組んでいる。2020年度に整備した「エントランスギャラリー」は、授業成果や学生たちの制作発表の場として活用され、地域住民も訪れる開放された空間となっている。さらに、キャンパス前の道路に面するガラスケースにも成果作品を展示し、陶磁器の町の景観演出に寄与している。また、協定を締結している海外の芸術・デザイン大学との交換留学プログラム(受入れ)「SPACE–ARITA」では、留学生が陶磁器によるデザイン・表現を佐賀大学生と共に研究し、最終成果を地域にも公開している。母国に帰国後は有田で制作した作品をダッチデザインウィーク、アンビエンテ、ミラノデザインウィーク等欧州デザイン界が注目する展示会に出展するなど大きな成果を残している。
 大学院の建築環境デザインコースの演習授業では、有田内山地区にある人的・観光的・建築的資源を活用する拠点として、工芸、美術、建築、地域資料等を中⼼に所蔵する特化型の図書館のデザイン提案を行った。その成果として、2021年3月「ARITA Scenario2040 有田の未来を考える展」を有田町の築100年のギャラリー手塚の蔵にて開催した。
 肥前セラミック研究センターは、地域の陶磁器・セラミック産業界と協働し、芸術・科学・マネジメントが融合した国際的学術研究拠点として地域の活性化に貢献している。昨年10月には一ノ瀬弘道特任教授らが(株)香蘭社との共同開発により、陶磁器の自硬成形技術を発明した。

●佐賀大学(国)

【創 立】 1949年(2003年に旧佐賀大学と佐賀医科大学が統合)
【学 部】 教育学部、芸術地域デザイン学部、経済学部、医学部、理工学部、農学部
【高校からの評価 改革力が高い】 全国17位
【就職率 学部別 農、水産、生物系】 全国1位
【就職率 学部別 工、理工学部系】 全国1位
【女子学生 学部別比率 医学部医学科】 全国1位
(いずれも『大学ランキング2022版』より)
〒840-8502 佐賀県佐賀市本庄町1
☎0952-28-8113
https://www.saga-u.ac.jp/

掲載大学一覧[九州・山口・沖縄]

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