愛知医科大学

1972年に医学部の単科大学として開学。1980年に医学研究科、2000年に看護学部、04年に看護学研究科を開設し、2学部・2研究科体制の医科大学となった。キャンパスがあるのは住みよい街として人気の愛知県長久手市。実習の主な場となる愛知医科大学病院は特定機能病院で、愛知県唯一の高度救命救急センターとドクターヘリも有する。大規模なキャンパス再整備が2018年3月に完了し、より恵まれた環境が整った。

先端医療から
地域医療まで、
社会に求められる
医師・看護職を養成

多くの臨床医を育成する建学の精神

2014年により高機能な新病院が完成するなど、約10年をかけて再整備を終えたキャンパス。教育施設も一層充実した。
時代のニーズに応える医療人を輩出
新たな時代に向け、豊かな感性や
本質を見極める目を育む

 1972年の開学時に医学部、2000年に看護学部がスタートした愛知医科大学。卒業生は医学部が約4100名、看護学部が約1600名に及んでおり、先端医療から地域医療、医療人教育まで、幅広い分野で活躍している。
 創設当時、日本では医師が不足し、医師を育てる大学も足りておらず、多くの私立医科大が新設された。三宅養三理事長は「本学はその中でも、外科医の太田元次先生が臨床医ならではの理念を持って、資金を含めゼロから築いた独自の大学」と胸を張る。「よき臨床医を育てて地域に役立つこと、途上国の助けになることを柱にした建学の理念は、脈々と受け継がれています」
 医学部卒業生の多くが臨床医として活躍。大学病院の高度救命救急センターでは「断らない救急医療」をモットーに患者を受け入れ、導入16年目のドクターヘリの出動件数は約6700件に至るという。大規模災害に備えた災害医療研究や教育体制も整っており、地域貢献の例は数えきれない。海外の大学との連携・交流などでグローバルな感覚も磨いている。
 そして、社会に役立つために時代のニーズを敏感にとらえた人材教育を実践してきた。少子高齢化などを背景に医療教育が大きな転換期を迎える今、教育目標に掲げているのは、知識・技術や人間性に加え、情緒や品格を併せ持つ医療人の育成だ。
 「日本が医療・医学共に世界のトップクラスになれたのは、たゆまない努力に加え、豊かな感性と物事を深く感じ取る力があったからだと思います。これからの医療人には本質を見極める目が一層重要になります。私たちはそうした部分を大切に育てていきます。医療教育混沌(こんとん)の時代に全学が一丸となるため、2017年に学是も制定しました」
 それは「具眼考究」という骨太な印象の言葉だ。

進化する教育研究

医学部・看護学部共に活気あるアクティブ・ラーニングを取り入れることで、自ら学び、チームで協働する力を強化。
カリキュラムを改革し、臨床実習を拡充
独自の教育やサポート体制が
国家試験合格率にも反映

 教育研究体制の改革も進んでいる。
 医学部では、医学教育分野別評価※1の受審を2019年度に控え、それに対応した新カリキュラムを構築。2017年度には診療参加型を含めた臨床実習を、以前の48週から72週に増やした。ほかにも、入学後から医師のプロフェッショナリズムを身につける授業を実施。チーム医療に必要なコミュニケーション能力を看護学部との合同講義で磨くなど、教育内容の更なる充実を図っている。
 2017年度入試から国際バカロレア資格での入試も導入。現在5カ国6大学と学術交流し、グローバル化にも注力する。また、医師国家試験は、対策強化委員会発足の成果もあって2017年度は高い合格率となった。若槻明彦医学部長は「研究創出支援センターを中心に研究の質的向上もさらに進める計画。教育と研究の両面で独自のブランドを発信していく」と展望を語る。
 看護学部でも新カリキュラムを2017年度から導入。基礎から無理なくステップアップしていける内容で、強みである大学病院との連携を生かして臨床実習を充実させている。現場の看護師と教員が協働で指導する制度、教員が少人数をきめ細かにみるアドバイザー制度といった体制も功を奏し、看護師国家試験は2016年から3年連続で合格率100%だ。
 国際交流も活発で、提携校は昨年タイのマハサラカム大が加わり4大学になった。在留外国人を支援する構想もあるという。また、看護学研究科では、診療や検査、処置などの特定行為を行える診療看護師(NP)の養成コースを設けるなど、キャリアアップの道も開いている。坂本真理子看護学部長は「教育研究の成果を地域と社会にもっと広く発信していきたい。興味を持てる授業を意識しているが、さらにワクワクする教育環境を作っていく」と、意欲を見せる。

※1 米国・カナダ以外の医学部出身者が米国内で医師活動をするにはWFME(世界医学教育連盟)の認可が必要で、2010年、その受験資格を2023年以降は国際認証を受けた大学医学部の出身者に限るとの意向が示された。日本での国際認証は、WFME の認可機関、JACME(日本医学教育評価機構)の医学教育分野別評価で審査される。

変動する社会ニーズへの対応力

救急や高度医療で広範囲な地域に貢献し続ける。さらに地域に求められる人材育成で新時代を切り拓く。
在宅医療を担う人材の育成や
ICT環境の整備を推進
選ばれる大学となり、
これからの日本を支える

 医科大学が直面する、18歳人口減少による2018年問題と、団塊の世代が75歳になることで医療需要が拡大する2025年問題。佐藤啓二学長は「2つはリンクしている」と言う。キーは在宅医療だ。
 「2018年問題では選ばれる大学になることが必要。そのためにも社会が求める医療人を育てることが必要です。2025年問題を背景に、この先より求められるのは回復期や在宅(家庭)医療を担う人材。一方、今後は高齢者の医療費自己負担増により、病院受診を控える可能性が大きく、在宅において医療チェックを行うことにより重症化を予防することが重要です。国は一定の診療行為が行える診療看護師(NP)をベースにした医師との協働モデルを想定しています」
 そこで、豊田市の山間部をフィールドに、診療看護師コースの学生と医学部生の実践教育を行い、地域に医学・看護学のケアミクスモデルを築くプランを構想中。医学部・看護学部を併設し、診療看護師の育成機関であるアドバンテージを生かす。
 また、「教育・研究の効率が上がる大学であることも選ばれるために必要」と考え、生涯学習能力や情報活用能力を養えるICT※2教育環境を整備している。講義室のICT化はもちろん、ウェブを通して講義資料の利用や自己・教員評価などができるシステム「Aidle(アイドル)-K」を構築・導入。学習の履歴と成果を蓄積できるシステム「eポートフォリオ」の開発も進めている。2017年には、従来の医学情報センター(図書館)と情報処理センターを統合した総合学術情報センターを発足。同センターに新設したICT支援のセクションでは各システムの利用促進に加え、選択した推奨資料を著作権の確認後に紹介することでも学習・研究の効率を高めている。今後も私立医科大ならではの環境づくりで差別化を図っていく方針だ。

※2 Information and Communication Technologyの略語、情報通信技術

TOPICS[注目のトピック]

学是の「具眼考究」を核に
2022年の開学50周年へ向かう
 2017年に制定された学是「具眼考究」。なぜ今、なぜこの言葉なのか、そこに込められた意味とは。
 まず「具眼」とは、物事の本質を見抜き、是非や真偽などを判断する見識や能力を備えること。江戸時代の画家・伊藤若冲の言葉「具眼の士を千年待つ」が有名だ。三宅理事長はこう語る。
 「言い換えれば、確かな眼、見通す眼、眼力、慧眼(けいがん)。医療においては物事の奥に潜むものを正しくみるという意味になり、それはまさに医療の原点です。また、みるは診る・看る・見る・観る・視る、の全てを含み、病態に併せて生物学的・心理学的・経済的・社会的など、あらゆる視点から包括的に患者さんを理解することを意味します」
 そして「考究」とは、問題を掘り下げて考え、その意味や本質を明らかにすることだ。
 「ここでは『具眼』によってみたことを深く考え、よりよい対処を究めることを意味しています。医療の究極の目的は患者さんの希望を叶(かな)え、幸せにすることです。超高齢社会においては命に対する価値観も多様化することから、医療にも患者さん個々の背景を鑑みた判断が求められ、それに不可欠なのがこの『具眼考究』です」
 さらに、他の人にみえないものをみる際に「ひらめき」が欠かせない研究にも、大学の進む方向性を見極める経営においても、「具眼考究」が必要だという。
 4文字には実に奥深い意味があり、普遍的かつこの時代だからこその価値を含む。愛知医科大学ではこの学是のもとで全学が改めてひとつになり、4年後の開学50周年に向かっている。
医療と医療教育の真理を集約した古くて新しい、重厚な言葉。全学が一丸となる力強い学是だ。

EVENT INFO[イベント情報]

◉オープンキャンパス
7月28日(土)、8月11日(土・祝)
医学部[10:00~15:00]/看護学部[11:30~15:00]

◎医学部 医学科
◎看護学部 看護学科
〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1番地1
TEL 0561-62-3311 (代表)
http://www.aichi-med-u.ac.jp

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