


1884年設立の名古屋薬学校、1943年設立の名古屋市立女子高等医学専門学校が1950年に統合され発足。医学・薬学・看護学の医療系3学部を擁する唯一の公立大学で、2018年に総合生命理学部が新設され、7学部7研究科を有する全国有数の総合大学に成長。「全ての市民が誇りに思う、愛着の持てる大学」を目指して、教育、研究、社会貢献を通じた積極的な地域連携を推進。知性、教養、想像力に富んだ有為な人材を養成する。
2018年4月、7つ目の学部として新設された総合生命理学部。東海三県では76年ぶり、さらに東海地区の公立大学では初となる理学部の誕生は、これまでに他地域の大学への進学や進路変更を迫られていた、地元の理学部志望者から大きな注目を集めている。
多彩な教員が、分野横断型の実践的な教育を、手厚く少人数制で展開する。具体的に目標とするのは、理学全体を幅広く学び、柔軟な思考ができる理科系人材の育成。生命科学を中心に自然科学及び数理情報科学の基礎を学びながら、医薬系学部との連携授業など学際的なカリキュラムを実施。持続的な社会の構築に貢献できる「イノベーション創出人材の育成」を目指す。
スクールカウンセラーなど臨床心理士を養成する大学院人間文化研究科「臨床心理コース」も2期目を迎え、今年度からは公認心理師養成のカリキュラムも整えた。同コースでは、医療系の教育資源に強みを持つ教育体制と、名古屋市教育委員会との連携を生かし、援助チームの一員として他職種と協働して支援ができる臨床心理士・公認心理師養成に取り組んでいる。
また、教育改革を全学的に推進するため、新たに高等教育院を設置した。教養教育や全学語学教育の企画・運営をはじめ、教育方法等を改善するための組織的な研究・研修等に取り組み、全ての学生の成長を支える、より魅力ある教育を提供していく。
このほか、医療関係者に経済学・経営学の専門教育を行う経済学研究科「医療経済マネジメントコース」、企業と共に医療機器開発に取り組む医学研究科「臨床医療デザイン学分野」など学際的な教育にも力を注ぐ。
今後も7学部7研究科を有機的に連携させることで、次代の科学を担い、地域の発展に貢献する人材を育成する。
医学部・薬学部・看護学部を持つ東海地区唯一の公立大学として、名古屋市立大学では地域や社会のニーズに即した多職種連携教育が活発だ。その一例が、医療系3学部の初年次教育として実施される「医療系学部連携チームによる地域参加型学習」。
同プログラムは、基礎学習を終えた1年生がグループに分かれ、地域の一般病院、山間地、離島など地域医療の現場でチーム医療を実体験。課題解決型の学習に取り組み、多様な人との関わりを通して連帯感や責任感を養い、医療人としてのプロフェッショナリズムの基盤の形成を目指す。
2018年に20周年を迎えた看護学部でも、地域の看護水準向上を目的とする「看護実践スキルアップコース」、精神看護学の観点に基づいた「こころの看護相談」など新たな試みが続々とスタート。大学・行政・保健医療福祉機関との連携を強化する地域密着型の「なごや看護学会」も設立された。
医学部附属病院では2018年に蒲郡市民病院との間で「地域医療教育研究センター」が立ち上がった。名古屋市立の医療センターとの間で2017年に設立した「高度医療教育研究センター」と合わせて人事交流や共同研究など連携強化が進む。
高度医療の提供も大学に求められる役割だ。手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を最新機種に更新したほか、「喜谷記念内視鏡医療センター」を開設し、最新のX線透視装置と超音波内視鏡システムを導入するなど、先進的医療機器の導入を進める。
また、南海トラフ巨大地震の津波被害に対応する最前線の災害拠点病院になると予測され、救急・災害・医療部門を強化する動きが加速している。救急医療の増加や災害拠点病院としての機能向上に向けて2018年に設置された「災害医療センター」では、災害時医療の教育研修を推進していく。
公立大学として、地域貢献を教育・研究と並ぶ重要な使命と位置付け、積極的な地域連携活動を展開している名古屋市立大学。中でも名古屋市とはあらゆる部局と緊密な連携を図っており、多くの学生が地域に溶け込みながら個性を輝かせている。「大学の地域貢献度に関する全国調査2017」において、東海地域第1位の評価を得ていることからも、その充実ぶりがうかがえる。
芸術工学部では映像製作サークル「映像によるまちづくり」の長編映画「無古屋(なごや)」が、名古屋市観光文化交流局の「平成29年度 名古屋なんて、だいすき事業」に選出された。企画・シナリオ・撮影・編集をはじめ、俳優との出演交渉や上映会の企画・運営などを通じ、映画制作のプロセスを実践的に学んだ。人文社会学部では、キャンパスのある瑞穂区の高校を訪問して模擬演説や模擬投票を行う「選挙出前トーク」を実施。地域住民と世代を超えて語り合う区民講座を選挙管理委員会と共催するなど、独自の活動が「明るい選挙推進協会」から優良活動として表彰された。
名古屋市科学館とサイエンスパートナーシップを締結し、総合生命理学部の新設を記念して、生命科学をキーワードとする中学生・高校生を対象とした連携講演会も共催。医学研究科・薬学研究科・システム自然科学研究科の教員が最新の研究成果を報告するなどした。3月には名古屋観光コンベンションビューローとの間で、観光による地域活性化やMICE※の推進などを目的とする新たな連携協力協定が締結された。
また、瑞穂区役所と連携して行われた薬学部の「なつやすみ親子薬学教室」、学生の発想力で旅行プランを提案する「旅行商品開発プロジェクト」など、各学部の個性を活かし、キャンパス近隣の住民や地元企業との連携活動が活発に行われている。
※Meeting, Incentive Travel, Convention, Exhibition/Eventの頭文字で、大規模なビジネスイベントの総称。
【川澄キャンパス】
◎医学部 医学科 ◎看護学部 看護学科
【田辺通キャンパス】
◎薬学部 薬学科(6年制)/生命薬科学科
【滝子キャンパス】
◎経済学部 公共政策学科/マネジメントシステム学科/会計ファイナンス学科
◎人文社会学部 心理教育学科/現代社会学科/国際文化学科
◎総合生命理学部 総合生命理学科
【北千種キャンパス】
◎芸術工学部 情報環境デザイン学科/産業イノベーションデザイン学科/建築都市デザイン学科
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