
7学部・7研究科を擁する総合大学として、社会ニーズに対応する教育・研究に取り組む名古屋市立大学。2018年に新設された総合生命理学部は、東海地区では76年ぶりに誕生した理学部で、医学部・薬学部・看護学部の医療系3学部と連携した学際的なカリキュラムを展開。大学の特色である少人数制による分野横断型教育を実践し、高度な専門性からイノベーションを創出し、持続可能な社会の構築に貢献できる人材の育成を目指す。
名古屋市教育委員会をはじめ、さまざまな教育機関と連携して社会課題と向きあっていることも特徴だ。2019年には日本ソーシャルワーク教育学校連盟の認定を受け、人文社会学部現代社会学科に「スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程」を設置。いじめや貧困など教育現場の諸課題を、多職種と連携して解決するスクールソーシャルワーカーを養成する。
重要性が高まる高大接続への取り組みにも力を入れている。「名古屋市立大学高大連携授業」では、教養教育科目の一部で高校生を科目等履修生として受け入れ、単位認定する取り組みを始めた。
また、システム自然科学研究科と連携を続けてきた名古屋市立高校を対象に、総合生命理学部の指定推薦枠を設置。2021年には医学部でも「名古屋市高大接続推薦入試」が導入され、全学的に高大接続への対応を推進する。
このほか、医療関係者に経済学・経営学の専門教育を行う経済学研究科「医療経済マネジメントコース」、企業と共に医療機器開発に取り組む医学研究科「臨床医療デザイン学分野」など学際的な教育にも力を注ぐ。
今後も7学部・7研究科を有機的に連携させることで、多角的に社会に貢献できる人材を育成する。
THE大学インパクトランキング2019における、「持続可能な開発目標(SDGs)」別のランキング内のSDG3「すべての人に健康と福祉を」の分野で国内1位(世界15位)にランクインした名古屋市立大学。教育・研究・社会貢献が改めて評価されており、その実績と存在感はますます大きいものになっているといえる。
東海地区の公立大学では唯一、医学部・薬学部・看護学部を持つ強みを生かし、活発な多職種連携教育を実践している。その一例が、医療系3学部の初年次教育として実施される「医療系学部連携チームによる地域参加型学習」だ。同プログラムは、基礎学習を終えた3学部の1年生が混成グループを作り、一般病院や山間地域、離島など地域医療の現場でチーム医療を実体験。課題解決型の学習に取り組むことで連帯感や責任感を養い、多様な人との関わりを通して医療人としてのプロフェッショナリズムの基盤形成を目指す。
医学部では医学部附属病院や関連施設と協力して、医師として必要となる手技やスキルを学生のうちから実践レベルで身につける「BRJ(Beyond the Resident Project)活動」など、医療を担う人材の育成に力を入れている。2018年に学部設立20周年を迎えた看護学部は、地域社会を担う優れた看護師・保健師を育成するとともに、大学院における教育・研究体制を整備し、教育研究水準の向上に取り組んでいる。
また、医学部附属病院は南海トラフ地震発生時には津波の被害を受けない最前線の災害拠点病院として、救急災害医療の機能強化を進めるとともに、名古屋市病院局の東部・西部医療センターとの連携をより強化し、優れた医師の確保と育成を推進している。これからも、地域の中核医療機関として、高度かつ安全で開かれた医療を提供するとともに、優れた医療人材の育成拠点としての役割を果たしていく。
「大学の地域貢献度に関する全国調査2017」で、東海地域第1位の評価を受けた名古屋市立大学では、学生がさまざまな地域連携活動に参加し個性を輝かせている。
経済学部では2014年から名古屋市交通局との連携で「上前津駅の魅力づくり」に取り組み、2018年、学生が提案したベーカリー「ヴィドフランス上前津店」がオープン。商品開発や販売促進活動も体験し、一部の商品が全国販売された。
人文社会学部では、2016年以降、2019年の愛知県知事選挙に至るまで、滝子キャンパスに学生が運営をする期日前投票所を設置している。その他にも区民講座を開催するなど、地域社会との架け橋としての活動が評価され、2017年度に「明るい選挙推進優良活動賞」を受賞した。
薬学部では瑞穂区役所との連携事業の一環として「なつやすみ親子薬学教室」を開催。2018年には総合生命理学部も「おもしろ科学実験」を実施するなど、学部・研究科の垣根を越えて地域貢献活動の幅が広がっている。
また、2018年に連携協力協定を締結した名古屋観光コンベンションビューローとの間でも、さまざまな連携が進められている。名古屋観光コンベンションビューローから「NCU 名古屋国際PR特派員」の認定を受けた学生が、海外留学先で観光情報など名古屋の魅力を発信する取り組みがスタートした。
地域への貢献を教育・研究と並ぶ大学の重要な役割と位置付け、今後も幅広い連携活動を展開していく。
1884年設立の名古屋薬学校と、1943年設立の名古屋市立女子高等医学専門学校が統合され1950年に創設。教育・研究・社会貢献を通じて「すべての市民が誇りに思う、愛着の持てる大学を目指す」という基本理念のもと、積極的な地域連携を推進。知性、教養、想像力に富んだ人材の養成に努める。2020年に開学70周年を迎え、「明るい未来へ、七色の架け橋~名市大の果てしなき挑戦~」をテーマにさまざまな記念事業が計画されている。
https://www.nagoya-cu.ac.jp/