名古屋大学

進化する教育と研究で
世界に羽ばたき、未来をつくる

東海国立大学機構スタート

東海国立大学機構の機構長に就任する、名古屋大学の松尾清一総長(右)と副機構長に就任する、岐阜大学の森脇久隆学長(左)。

 2020年4月1日、名古屋大学と岐阜大学は運営法人を統合し、「東海国立大学機構」を発足させた。一法人が複数の国立大を運営する最初の事例だ。
 これにより大学としての可能性が大きく拡大することが見込まれる。国際的な競争力と地域創生に貢献する力を同時に強化することを目標に、互いの強みを生かし、秀でた部分を共有・融合することで、単独では難しかったものに挑戦していく。
 その一つが事務部門の統合による合理化・効率化で、人員や財源を新しい取り組みへ投入する。
 研究面では、機構設立と共に設置した「糖鎖」「航空宇宙」「医療データ」「農学」にかかわる4拠点で重点的に連携を深め、世界最高水準の研究を展開する。例えば「医療データ」では、両附属病院で臨床研究プラットフォームを構築。県をまたいだ2大中核病院のデータの融合・活用で、革新的な研究を進める。
 教育面では、「アカデミック・セントラル」を設置し、協働で改革を進める。双方の図書館を利用できるようになるなど、資源活用の利点も生まれている。
 産学連携では、実績を共有し、運営支援機能を一元化。産業界や自治体とのつながりを一層強化し、産業創生の核になることを目指す。国際化の情報共有、多様な人材が活躍できる環境整備など、あらゆる面で計画が進行中だ。また今後、参加大学が増え、規模が拡大していく可能性も見据えている。

2020年4月1日、東海国立大学機構の役員たちが参加した看板の上掲式。

アカデミック・セントラル構想

アカデミック・セントラルは東海国立大学機構の教育の中枢となる。

 東海国立大学機構の教育における理念は「勇気をもってともに未来をつくる」。変化が激しく先が読めない時代に、協働しながら未来を創造し、リードしていける人材を育てるため、それに必要な「新たな価値を生み出す力」=「考え抜く力」「進める力」「伝える力」の育成を目指す。これらの力は、多様な人が共に考え、成長する中で育まれるものであり、機構発足によって環境がより整ったと言えるだろう。
 教育の中枢となる「アカデミック・セントラル」では、その基盤の上で改革を進め、学生の主体的な学びを重視した教育、成果の得られる質の高い教育、国際通用性のある教育を実践していく。
 まず、全学共通のリベラルアーツ、英語、数理・データ科学などを、両大学で連携して推進していく。具体的には、英語教育のサマーキャンプや海外研修、数理・データ科学教育の共通カリキュラムの開発・実施や実世界データを用いた演習の共同実施などがあげられ、すでに始まっているものもある。
 専門教育についても、今後、共通化・合理化を進めることでより専門性の高い教育を行い、更なるレベルアップを図る予定。
 学生および教員の支援も、連携や共通化を進め、新たなツールやシステムも積極的に取り入れていく。インターネットを使った遠隔授業で場所や時間に捉われず学べる環境を整備し、それを高等教育のモデルの一つとし、将来的には東海地域、更に全国へ広げる考えだ。

世界屈指の研究大学へ前進

トランスフォーマティブ生命分子研究所のミックスラボで化学実験を行う研究者たち。

 「自由闊達」な学風のもとで開学以来、豊かな研究力が培われてきた名古屋大学。21世紀に入ってから6人の大学関係者がノーベル賞を受賞し、2018年には「指定国立大学法人」の指定を受けた。ビジョンに掲げる「世界屈指の研究大学」への道を着々と進む中、その取り組みの一環「世界最先端の研究拠点群の形成」で進展があった。最先端基礎研究を強化するための体制の再構築だ。
 2019年10月に「国際高等研究機構」が発足し、そのもとに「素粒子宇宙起源研究所」と「トランスフォーマティブ生命分子研究所」、並びに若手研究者育成プログラムなどで次世代研究者の育成を支援する「高等研究院」が集結した。
 「素粒子宇宙起源研究所」は、素粒子・宇宙・数理物理の融合により、宇宙と時空の起源解明に挑み、さまざまな問題の解決に迫っている。WPI拠点の「トランスフォーマティブ生命分子研究所」は、生物と化学の融合により、革新的な生命機能分子の創出に挑戦。動植物の機能を分子レベルで解明し、それを動かす研究が進み、寄生植物を撲滅する分子を開発するなど、大きな成果をあげている。
 新体制では、これら世界的研究拠点の支援を一層強化する。同時に、その後に続く世界的拠点を増やしていくため、「高等研究院」を中心に若手人材の育成やスタート支援をより強化。異分野の研究者との交流や融合研究の促進も図り、領域を超えた新たな研究を創出することも目指している。

※World Premier International Research Center Initiative(世界トップレベル研究拠点プログラム)

TOPICS[注目のトピック]

人気コラムの文庫版
「名大ウォッチ2」発売
 元朝日新聞記者の辻篤子・名古屋大学国際機構特任教授が、名古屋大学の“今”を自由な立場で綴り、ウェブで公開してきたコラム「名大ウォッチ」。2018年、それが文庫本になり、この度、第2弾の「名大ウォッチ2」が発売された。
 辻特任教授は、朝日新聞社で長く科学報道に携わり、2004~13年には論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当した。そのジャーナリスト経験を生かした科学的な視線と柔軟な感性で、幅広い角度から名大の現在を切り取ったコラムは、名古屋大学の魅力を改めて知ることができ、しかも読みやすいと好評だ。
 ウェブの連載は2017年1月から2020年3月までの3年余り続いた。文庫本の第2弾は2018年3月27日以降のものを収録しており、世界でも類を見ない大規模実験施設の誕生を紹介したり、研究者らに話を聞きながら、モビリティー社会やAI時代の大学の役割を考察したり、さらに就職問題から国際化まで、多様なテーマの読み応えのある内容だ。
第1弾と共に、名古屋大学生協や名古屋市内大手書店、アマゾンなどで購入可(728円+税)。

TOPICS[注目のトピック]

好調!起業家育成プロジェクト
「Tongali」
 名古屋大学は起業家育成にも取り組んでいる。東海地区国立5大学の協働で、起業家を育成・支援する「Tongali(とんがり)プロジェクト」(https://tongali.net/)が2016年に始まり、翌年、名古屋大学を主幹校とする「Tokai-EDGE プログラム」として文部科学省事業に採択された。学生や若手研究者、卒業生を対象に、スクール、セミナー、コンテストなど、多彩なプログラムを提供しており、教育から起業、その後の事業展開までをシームレスにサポートするのが特徴だ。
 世界が注目する起業家も誕生している。名古屋大学発の学生ベンチャーで、物流のラストワンマイルの最適ルートを示すクラウドサービスなどを展開するオプティマインドの代表取締役社長・松下健さんが、『Forbes』の「30 UNDER 30 Asia 2020」のIndustry, Manufacturing & Energy部門に選出された。各界で活躍する30歳未満のイノベーターを選出するアワードのアジア版で、世界的にも栄誉ある賞とされる。同部門の日本人としては唯一だ。

※最終拠点からエンドユーザーの間
Tongaliビジネスプランコンテスト2019の様子。

PROFILE

名古屋大学

1871年に設置された名古屋藩仮病院・仮医学校を起源に、1939年、最後の帝国大学として開学。現在は名古屋市内の3つのキャンパスに、9学部、13研究科、3附置研究所、4共同利用・共同研究拠点、18学内共同教育研究施設などを展開する。中部および日本の中核的な教育研究拠点であり、2018年には文部科学大臣から、世界最高水準の教育研究活動の展開が見込まれる大学として「指定国立大学法人」に指定された。
http://www.nagoya-u.ac.jp/

掲載大学一覧[東 海]

OPEN