南山大学

「世界の中の自分」を意識し、
行動できる人を育てる

カギは「国際性」と「人間の尊厳のために」

南山大学第8代学長ロバート・キサラ氏。米国シカゴ生まれ。1985年司祭叙階。1995年より南山大学で教鞭を執り、神言修道会の本拠地ローマで副総会長を務めた後、再び南山へ。2020年4月学長就任。

―4月、学長に就任されたキサラ先生に、これからの南山大学について伺います。まず、神言修道会の活動を経て2018年、12年ぶりに南山へ戻られた時、どう感じましたか?

 その変貌に目をみはりました。規模が拡大し、キャンパス統合が行われ、1つのキャンパスに8学部6研究科を擁するようになった本学。グローバル化社会に対応する人材育成のために、海外の協定校の数や短期留学の機会を増やしてきており、この流れを継続すると共に、キャンパス内の多文化交流を促進していきたいと考えています。

―改めて、新学長としての考えをお聞かせください。

 キーワードを挙げるなら「国際性」と、教育モットーである「Hominis Dignitati(人間の尊厳のために)」の2つです。南山のアイデンティティに立ち返り、お話をさせていただきたいと思います。
 現在、世界各地で他者を受け容れない、排他的な雰囲気が広がっています。私が神言修道会の一員としてローマで勤めた12年の間に、世界中から集まった仲間と共に世界35カ国へ赴きました。中でも印象に残っているのは、内戦が続く南スーダンでの活動です。現地の人々は度々起こる内戦により、すべてを失った状況でした。私たちに何ができるか。考えに考えてたどりついた答えは「人々が将来に向けて希望が持てるよう、一緒に働くこと」でした。
 近年の若者世代は内向き志向で、海外に行きたがらない人が多いと聞きます。インターネットで検索すれば画像や情報は何でも手に入り、わかったような気になれます。しかし、学生の皆さんにはぜひ海外へ赴き、人と触れ合い、その土地の匂いや食文化を含め、五感すべてを総動員して感じてほしいのです。そういった経験ができるよう、南山大学ではクォーター制を導入し、世界各国の大学との間で短期留学プログラムを構築しています。さまざまな国の言語が飛び交うキャンパスで、日常的に「世界の中の自分」を意識してほしいと思います。また、国際的な研究拠点として、学生のみならず教職員も交流していきます。
 地球環境の問題や経済についても、今は一つの国で完結できる世の中ではありません。現在の新型コロナウイルス感染拡大にも証明されているように、地球に住んでいる私たちは深くつながっていて、地球規模で関心を持つ必要があります。
「世界の中の自分」を意識し、行動ができるグローバルな人材を育てること。これは脈々と受け継がれてきた南山大学の使命です。その根底に息づくのは「人間の尊厳のために」という、多様性を受け容れ、他者も自身も大切にする心です。


各学部独自の短期留学プログラムで、世界の文化に触れる。

「思う以上の力」を
引き出し、共に未来へ

キャンパスにたくさんいる留学生との交流は、世界へ意識を向けるきっかけとなる。

―世界に貢献したいという志はあっても、どうしていいかわからない場合は、何から始めたらよいでしょう?

 私もそうですが、「目標を持ち、今自分にできることを考えて一歩ずつ行動する」ことです。歩みを続けていけば、やがて大きな潮流となります。そのために、一人ひとりが自身の本当の価値を見いだし、自ら課題を見つけて動ける人になってほしい。学生が世界へと意識を向けられるよう、授業や留学経験などを通して刺激を与えることができればと、私たち教職員も工夫を凝らしています。キャンパスに留学生がたくさんいることも刺激になるでしょう。キャンパス全体でその雰囲気を醸成していけたらと思っています。
「思う以上の力」を引き出す。このフレーズは、私の好きな映画「インビクタス(負けざる者たち)」(南アフリカのネルソン・マンデラ氏が、大統領就任後にラグビーワールドカップを招聘して開催国となり、アパルトヘイトの色濃い自国チームが人種の壁を越えて優勝した実話に基づくストーリー)からの引用です。マンデラ大統領は、チームを率いるキャプテンに「目標を超えるためには、一人ひとりが思う以上の力を引き出すことが必要だ」と語りかけています。私もチーム南山のキャプテンとして、学生、教職員、一人ひとりが持つ力を最大限に引き出せるような環境を整備し、知的好奇心を刺激していきたいと考えています。

―大学運営も教職員や卒業生を含めた「オール南山」で推進していきたいと話され、「一緒に」という思いを強く示されています。

 2021年9月に、本学は創立75周年を迎えます。この節目をどのように迎えるのか、そして未来に向けて何をすべきなのか。今期より4人体制となる副学長、教職員、学生、卒業生、かかわる全ての人と、南山を一つの共同体として捉え、共に考えていきたいと思います。

TOPICS[注目のトピック]

2021年4月、AI・IoT時代の新理工学部が始動
 南山大学の理工学部は、2021年4月に改組を予定している。新しい理工学部では、理学の基礎の上に、AIやIoTを支える4つの基盤技術(数理技術・電子通信技術・機械制御技術・ソフトウェア技術)を相乗的に学ぶことができ、超スマート社会で活躍できる人材を育成する。
 データサイエンス学科、電子情報工学科、機械システム工学科(いずれも仮称・設置構想中)の3学科が新設され、従来のソフトウェア工学科と合わせ、4学科構成となる予定。例えばデータサイエンス学科では、統計学やオペレーションズ・リサーチなどの応用数学を基礎とし、ビッグデータ解析技術やシミュレーション、機械学習、人工知能技術など、データサイエンスで用いられる技術と方法論を学ぶ。
 また、他学科の専門分野も学べる副専攻制を導入する。モノづくりの現場では、複数の専門技術を組み合わせて活用できる「Π(パイ)型人材」が求められており、そこに適用できる、2つの専門性を持つ技術者を育てるためだ。

※Internet of Things:モノのインターネット。身の回りのあらゆるものがネットにつながる仕組みのこと。
AI・IoT時代のモノづくり技術者を育てる、新たな理工学部が誕生。

KEY NUMBER

就職率 ▶97.2%(2019年度実績/就職希望者数2034名中1977名)
毎年、高い就職実績を誇っており、就職先にはあらゆる業種にわたって日本を代表する企業が名を連ねる。内定先満足度も94.2%(南山大学調べ)と高い。

留学生数 ▶400人以上(2019年度実績)
キャンパスには約30カ国・地域から多様な留学生が集う。学内にある多文化交流ラウンジ「Stella」では留学生と日本人学生が日々交流している。

創立から ▶75年(2021年)
前身である南山外国語専門学校は、終戦間もない1946年に設立された。そこから発展し、開学した南山大学。2021年に創立75周年という節目を迎える。

PROFILE

南山大学

1946年設立の南山外国語専門学校を前身に、建学の精神「キリスト教世界観に基づく学校教育を行い、人間の尊厳を尊重かつ推進する人材の育成」を掲げて1949年に開学。男女共学の総合大学では中部圏唯一のカトリック系ミッションスクールであり、現在は8学部17学科体制。「Hominis Dignitati(人間の尊厳のために)」を教育モットーに、多様性を受け入れる心を育みながら国際性を身につける教育を実践している。
https://www.nanzan-u.ac.jp/

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