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情報技術を活用した新しい価値を世の中に提案できる力を育てるネットワーク情報学部の学びとは 専修大学 ネットワーク情報学部長 飯田周作教授×タレント 上田まりえ

コロナ禍でテレワークやオンライン授業などが急速に広まるなか、ニューノーマル時代を支えるインフラともいえる情報技術が注目を集めています。そこで、情報学の基礎的な理論や技術を徹底的に学び、情報の表現力などを磨くネットワーク情報学部の魅力を探りに、OGの上田まりえさんが新たに学部長に就任した飯田周作教授のもとを訪れました。
※撮影時のみマスクを外し、対談中はマスクを着用しています

情報学を幅広く学ぶため、2つのコース、6つのプログラムを展開

飯田周作教授
飯田周作教授

上田 ネットワーク情報学部は私が入学(2005年度)した頃からありましたが、当時はパソコンを一から組み立てるところからスタートするということが印象的でした。今でも最初の授業でパソコンを組み立てているのですか?

飯田 現在は組み立ては行っておらず、一人一台AppleのノートパソコンMacBookを配付しています。パソコンを組み立てていた時代から全員が同じパソコンを持ち、同じ環境で学べることは、ネットワーク情報学部の特長の一つになっています。

上田 現在のネットワーク情報学部では、どういうことを学んでいるのですか?

飯田 ネットワーク情報学部は総合的な情報系の学部で、情報学に属する分野を幅広くカバーしています。

上田 私のイメージではインターネットという広い大海原のなかのシステム的なことだけを学ぶ学部でしたが、幅広くというと例えばYahoo!やGoogleで検索したり、そのなかにあるエンタメやスポーツ、社会などの各種ニュースも情報の一つということでしょうか?

飯田 もちろん、それも情報の一つですが、その情報がどこにどんな関わりがあるのか、そのサービスを作るときにどんなことに気を配ればよいかといったことまで幅広く学んでいきます。

上田 具体的にイメージできるものはありますか?

飯田 例えばニュースサイトのサービスを作ることを考えてみると、どのようなニュースを対象とするべきか、それをどう入手するか、入手したらどう蓄積すればよいか、さらにその情報をどういう順番でどのように表示するかといったことまで、幅広く考えなければなりません。

上田 たしかに幅広いですね。学びのプログラムはどうなっていますか?

飯田 1年次の必修科目で基礎を固め、2年次よりSコースとDコースの2つに分かれます。Sコースでは「データサイエンス」「ネットワークシステム」、Dコースでは「コンテンツデザイン」「メディアコミュニケーション」「フィジカルコンピューティング」「ITビジネス」と、計6つのプログラムがあり、それぞれ指定された科目を履修し、専門分野を深めていきます。

上田 それぞれのプログラムの内容は言葉の意味でなんとなくイメージできるのですが、「フィジカルコンピューティング」だけはどういう学びなのかイメージできません。

飯田 コンピュータの外にある物理世界とコンピュータをつなぐコンピューティングを指します。例えば、駅の自動改札で使われるSuicaや車の自動運転がわかりやすいと思います。これらの仕組みはコンピュータの中だけで終わるものではなく、外界のいろいろな情報と関連しながらサービスが提供されたり、安全に動いたりしますよね。

飯田周作教授

上田 ほかに無人のコンビニエンスストアなどもその一例ですね。現在は、このような事例がたくさんありますので、授業で学んだことを日常のリアルの世界で感じることがますます多くなりそうですね。そういう状況のなか、先生は9月から新学部長に就任されたということですが、今後、ネットワーク情報学部の学びをどのように導いていきたいと考えていらっしゃいますか?

飯田 コロナ禍の現在ではなかなか難しいのですが、元々、ネットワーク情報学部では教室の外へ出て学ぶことを重視してきました。例えば地元の小学校と連携したり、川崎市を通じてNPO団体と連携したり、学修の成果発表会を広く一般に公開したり、企業と連携してハッカソン※を行ったりといった活動です。アフターコロナには、こういった活動をさらに発展させていきたいです。

上田 具体的にはどのような活動なのでしょうか?

飯田 例えば、ある演習では「デザインを応用して科学的な学習ができる玩具を作る」というテーマで、自分たちの作った玩具を地元の小学校へ持って行き、実際に遊んでもらうなかで子どもたちの自然科学への興味を引き出せたかを検証してきました。

上田 それはおもしろそうですね。現場で実際の反応を見れば、より意欲的に取り組めそうですね。

飯田 この活動を15年近く行っていましたので、できればより発展させた形で継続していきたいです。また、近年はデータを分析して物事を明らかにする能力が重視されていますので、データ分析に関する教育には注力したいです。ネットワーク情報学部には「データサイエンス」というプログラムがありますが、プログラム以外の学生も含めてデータをきちんと理解し、分析して何かしらの価値を見出すことのできる人材を育成していきたいです。

上田 私は野球が好きで野球界の方と話す機会が多いのですが、そのなかでもデータ分析の話題は多いです。しかし、一方でデータ至上主義に偏りすぎて、本質からずれてしまっていることが問題になることがあります。やはり、データはあくまで一つの指標として、そのデータをどのように有効活用するかを考えることが重要だと思うのですが、先生はどのようにお考えですか?

飯田 データは作り方により、人を勘違いさせることがありますので、とても難しい問題だと思います。データというものは、見えない部分を見える化したものにこそ価値があります。例えばお店の売り上げデータのようなものは簡単に見ることができますから、情報の希少性はあまりありません。しかし、世の中には見えない情報があふれており、それをいかに見出していくかが重要で、それがデータサイエンスの醍醐味にもなっています。人が気づいていないもの、表面に現れないものをどう見つけ出し、どのように判断材料として正しく提示していけるかが大きなポイントになると思います。

国境や言語、文化の壁を超えて繋がる社会のメインプレイヤーとして活躍してほしい

上田まりえ
上田まりえ

上田 学びの領域が大変広いですが、先生のご専門は何ですか?

飯田 私は主にソフトウェアを構築することに関係した授業を担当しています。例えば無人のコンビニエンスストアなら、店内にお客がいるかいないかを認識し、いるならどの商品を手にとったのか、その商品の価格はいくらかといったことを認知し、判断する機械が必要です。そして、その機械を正常に動かすためには、ソフトウェアが必須となります。

上田 そういった技術は近年、目覚ましいスピードで進化していますね。

飯田 ここ10年でソフトウェアに関する知識や技術は大きく変わりましたが、大きな変化は二つあります。一つはAI技術の活用、もう一つはフレームワークの活用やクラウド上にあるさまざまなサービスを組み合わせる手法を用いて、信頼性のあるソフトウェアを短期間に構築する技術です。

上田 AIと聞くと、「AIがニュースを読めるようになるとアナウンサーがいらなくなる」といった話を聞き、私も仕事がなくなると困るなと思いました。最近のAIの話題を聞いていると、AIでできる範囲は想像を超えているように感じますね。

飯田 たしかにAIの活用は私たちの想像の範囲を超えて驚かされることが多いですね。でも、AIでなんでもできるというのは幻想かもしれません。例えば、チェスや囲碁の番組を楽しみにしている人がAI同士の戦いを見て、本当に楽しいと思うかどうかというと、あやしいですよね。やはり、棋士のキャラクターや背景、その人ならではの戦略のクセがあり、それが勝負にどう作用するかといったことが楽しいんだと思います。同じように、AIの読むニュース番組が人間のアナウンサーの読むニュース番組より人気が出るとは思えません。

上田 それを聞いて安心しました。AIの進化に代表されるように情報分野の進化は早いですが、コロナ禍で大きな変化はありましたか?

飯田 ソフトウェアを開発するとき、信頼性や連携性、価格などさまざまなことを要求されるのですが、最近は早く作ることを要求されることが多くなってきました。例えば、ワクチン接種予約のシステムを作る場合、とにかく早く作ることが要求されます。また、感染状況の情報発信についてもいかに早く正しい情報を発信できるかが重視されます。このように、迅速に信頼性の高いものを作り上げることの価値の大きさが、再認識されるようになったと感じています。

上田 システムを早く作るといえば、大学の授業もコロナ禍で大きく変わり、オンライン化のスピードが求められたのではないですか?

上田まりえ

飯田 ネットワーク情報学部の教員にはそういったことに詳しい方が多いので、専修大学のオンライン授業体制の構築にかなり貢献されたと思います。

上田 オンライン化は私たちの仕事にも恩恵があり、例えば遠隔地の方の取材も気軽に行われるようになりました。

飯田 そういったオンライン化の流れはコロナ禍に関係なく、今後もどんどん進んでいくと思います。こういった技術が発達していくと、国境や言語、文化などの垣根がどんどんなくなり、人が柔軟に繫がっていく社会になっていくと思います。

上田 このまま技術が進化していくと、5年後、10年後の社会はどうなっているでしょうか?

飯田 仕事や趣味といった人間の繋がりがより柔軟に形成され、それぞれ異なる専門性や能力をもつ個人が集まってチームとなり、新しいことにチャレンジすることが当り前の社会になるのではないでしょうか。情報ネットワークの発達は、こういう社会を明確に促進すると思います。

上田 私もSNSを通じて仕事のオファーを受け取ったり、SNSで知り合ったファンの方と仕事をすることがありますので、そういったことは実感として感じますね。では、そういうネット社会のなかで求められる人材とはどんな人材でしょうか?

飯田 自分を突き動かす原動力をもつ人が、社会で大きな役割を果たすと思います。原動力とは強い使命感や目的意識、知的好奇心などで、これらの原動力と知識や技術がマッチしたとき、人間は高い専門性をもってキャリアを構築し、社会に貢献できる人材になれると思います。そのため、大学はその原動力を涵養する場でなければいけません。原動力の涵養は簡単なことではありませんが、これからの大学には学生にリアルな体験や経験を提供することで、それを実現していく使命があると考えています。

上田 そのリアルな体験や経験を提供するためのプランはあるのでしょうか?

飯田 ネットワーク情報学部では、今年から「フィールド演習」という新しい科目をスタートさせました。問題解決のためのフィールドを定め、そこに身を置き、問題を自分ごととして解決する体験を得るための演習科目です。今年は「人間以外の生物とのコラボレーション」をテーマとし、学内に設置されている万葉植物園で活動したりしています。

上田 では、そういった学びを社会にどう活かしてほしいと考えていますか?

飯田 国境や言語、文化の壁を超えた人の繋がりができたとき、そのグループのメインプレイヤーとして活躍してほしいです。仕組みやシステムを作るときだけでなく、その仕組みを使うとき、新しい仕組みを提案するときなど、どんなときでもネットワーク情報学部で学んだことが活かせると思っています。

※ハッカソン(Hackathon)は、ハックとマラソンを掛け合わせた造語。与えられたテーマに技術やアイデアを持ち寄り、短期間に集中してサービスやシステム、アプリケーションなどを開発するイベントです。

飯田周作飯田周作(いいだしゅうさく)
専修大学ネットワーク情報学部教授。ネットワーク情報学部長(2021年)。
北陸先端科学技術大学院大学博士後期課程修了。博士(情報科学)。
SRI International Visiting Scholar(2007)。University of Illinois Urbana-Champaign Visiting Scholar (2007-2008)。専門はソフトウェア工学。
著作に「UML動的モデルによる組み込み開発」(共著 第7章 オーム社2003年)、「Document Logic: Risk Analysis of Business Processes Through Document Authenticity」(Journal of Research and Practice in Information Technology, Australian Computer Society 2011年)など。

上田まりえ上田まりえ(うえだまりえ)
1986年鳥取県境港市生まれ。専修大学文学部を卒業後、2009年に日本テレビにアナウンサーとして入社。2016年1月末、日本テレビを退社し、同年2月にタレントに転身。現在は、タレント、ラジオパーソナリティ、ナレーター、MC、スポーツキャスター、ライターなど幅広く活動中。2021年9月、日本語検定委員会審議委員に就任。
主なレギュラーに、テレビ東京「インテリア日和」ナレーター、YouTube「上原浩治の雑談魂」アシスタント、MONDO TV「俺プロ!〜俺たちのプロ野球〜」MC
2021年7月14日には「知らなきゃ恥ずかしい!? 日本語ドリル」(祥伝社黄金文庫)を上梓。

Vol.19
〜上田まりえの母校訪問〜
情報技術を活用した新しい価値を
世の中に提案できる力を育てる
ネットワーク情報学部の学びとは
専修大学 ネットワーク情報学部長
飯田周作
タレント
上田まりえ
Vol.18
〜上田まりえの母校訪問〜
興味のあることなら何でも研究対象にできる
社会学科の魅力
専修大学 人間科学部社会学科
樋口博美
タレント
上田まりえ
Vol.17
〜上田まりえの母校訪問〜
生田キャンパスの進化の象徴
新しくなった2・3号館を訪問
専修大学 理事長室 広報課
佐野潤
タレント
上田まりえ
Vol.16
〜上田まりえの母校訪問〜
創立140周年記念の高層新校舎
神田10号館(140年記念館)の魅力を体感
専修大学 理事長室 広報課 主任
小川淳史
タレント
上田まりえ
Vol.15
〜上田まりえの母校訪問〜
コロナ禍のなかで生まれた
専修大学の新たな可能性とは
専修大学 学長
佐々木重人
タレント
上田まりえ
Vol.14
〜上田まりえの母校訪問〜
ビジネスオフィスに囲まれた環境で展開される
商学部の新たな学びとは
専修大学 商学部長
渡辺達朗
タレント
上田まりえ
Vol.13
〜上田まりえの母校訪問〜
身近な問題を経済学の視点で読み解いていく
経済学部の新たな学びとは
専修大学 経済学部長
兵頭淳史
タレント
上田まりえ
Vol.12
〜上田まりえの母校訪問〜
真の国際人を育成する
専修大学の新たな学びとは
専修大学 国際コミュニケーション学部 日本語学科教授
王伸子(現 文学部教授)
専修大学 国際コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科准教授
鈴木健郎(現 商学部准教授)
タレント
上田まりえ
Vol.11
〜上田まりえの母校訪問〜
変化を恐れず、多彩な改革を進行中
創立140周年以降の専修大学とは
専修大学 学長
佐々木 重人
タレント
上田まりえ
Vol.10
〜上田まりえの母校訪問〜
日本で初めて「ジャーナリズム」を学科名称とした
文学部ジャーナリズム学科の学びとは
専修大学 文学部長
高岡貞夫
タレント
上田まりえ
Vol.9
〜上田まりえの母校訪問〜
経営学部が「ビジネスデザイン学科」を新設。
2学科制となる経営学部の新たな学びとは
専修大学 経営学部長
関根純
タレント
上田まりえ
Vol.8
〜上田まりえの母校訪問〜
2020年に140周年を迎える
専修大学の目指す「新しいカタチ」とは
専修大学 学長
佐々木 重人
タレント
上田まりえ
Vol.7
〜上田まりえの母校訪問〜
上田さんが最も強く印象に残っているという
「ジェンダー論」で展開された授業の内容とは
専修大学 文学部教授
広瀬裕子
タレント
上田まりえ
Vol.6
〜上田まりえの母校訪問〜
スポーツに強い憧れとこだわりをもつ
上田まりえさんの原点、スポーツ心理学の学びとは
専修大学 スポーツ研究所 スポーツ心理学教授
佐藤雅幸
タレント
上田まりえ
Vol.5
音声(発音)に軸足を置き、
4技能統合型の学びを実践
専修大学文学部教授
田邉 祐司
Vol.4
現場重視のフィールドワークで、
変容する世の中を生き抜く能力を身に付ける
専修大学商学部教授
神原 理
Vol.3
学んだことを「外」の世界で試せるチャンスが
学生のキャリア意識をいっそう高める
専修大学商学部教授
鹿住 倫世
Vol.2
日本語を共通言語として海外と
ネットワーク利用共同授業
―日本文学文化学科のユニークな試み
専修大学文学部教授
板坂 則子
Vol.1
グローバリゼーションのもう一つの
側面を支える 「日本語教育」を、
海外実習を通して深める
専修大学文学部教授
王 伸子 備前 徹

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