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九州大学 新元素の発見に沸く世界のトップ校へ躍進九州大学の理学研究院には加速器を設置。森田浩介教授のチームを含め、実験核物理研究室の学生が研究に取り組んでいる九州大学 新元素の発見に沸く世界のトップ校へ躍進

九州大学の理学研究院には加速器を設置。森田浩介教授のチームを含め、実験核物理研究室の学生が研究に取り組んでいる

Your Dream × Kyushu University

日本初となる発見 新元素「ニホニウム」

現在、国内外で注目を集めている日本の科学者の一人が、九州大学理学研究院の森田浩介教授だろう。昨年末から今年6月にかけてもたらされた、日本初の新元素発見と、名称案「ニホニウム」のニュースは、周期表に日本生まれの元素が加わるという分かりやすさもあり、科学に対する人々の興味を呼び起こすものだった。

この新元素発見の研究を、理化学研究所の超重元素研究グループディレクターとして率いたのが森田教授だ。母校でもある九州大学では、2013年から後進の指導に当たってきた。

今回の発見について、その原点は「九州大学にある」と森田教授は言う。「大学4年生のときに、指導教官に勧められるがまま、加速器のある研究室に入りました」。そこで実験核物理学(原子核の構造や核反応などを研究する物理学の分野の一つ)に携わることになった。

「実験核物理学が面白いのかもわからずに始めましたが、そのまま研究にのめり込み、それが新元素の発見に直接つながっています」

大学卒業後はそのまま大学院に進み、84年に理化学研究所サイクロトロン研究室に入った。

「当時、理研では加速器『リングサイクロトロン』の建設が進んでいました。私は最新の加速器を使って新しい元素を発見するために採用されたのです」

もともと自然界に安定して存在する元素は、92番のウランまで。93番から現在認定されている118番元素までは、加速器で原子核と原子核をぶつけて人工的に合成することで、存在が確認されてきた。つまり、新元素の「発見」とは、正しくは「合成の成功」のことをいう。

柔道部で培った粘り強さが研究にも

明るく、大の左党という森田浩介教授。学生との飲み会も多い

それまで新元素の発見は欧米の研究チームが独占し、森田教授たちは「新参者でした」と自認する。実験環境を整え、新元素発見に挑戦することになったのは、2000年以降。それから、約400兆回の衝突実験を繰り返し、ニホニウムの合成に成功した。04年7月の1回目成功から、その後の約8年間でできたニホニウムはわずかに3個。それほど難しいのだ。

研究成功の秘訣を聞かれると、森田教授は決まって「粘り強さ」と答える。その粘り強さも九州大学で培われたものだと言う。

「学生時代は柔道部に所属していました。あまり真面目な学生ではありませんでしたが、柔道部の活動は4年間熱心に取り組みました。毎日毎日厳しい練習に打ち込んでいるうちに、卒業するころには粘り強い男になっていたんですね(笑)」

基礎研究によって人類の知が蓄積する

森田浩介教授。新元素の命名権獲得を受けて行われた理化学研究所での記者会見の様子。「ニホニウム」の名称案は年内にも正式決定される見込み

現在は理研での忙しい研究の傍ら、教職に就く。研究者としての土台をつくってもらった母校に少しでも恩返しし、後継者を育てたいという思いが強い。

「新元素の研究は、いわゆる基礎研究です。出てきた成果が日常的に役立つということはほとんどありません。では、なぜ研究するのかと常に疑問を持たれるのですが、理学部で行う自然科学の研究は、何かに利用したいという明確な目的があるものばかりではありません。純粋に興味や好奇心の追求もあります。学生には、そのような研究があることを知ってほしい」

森田研究室に所属する庭瀬暁隆さん(修士課程1年)は、森田教授からの言葉が心に深く刻まれているという。

「サイエンスはすごく楽しいものなので、これからも学び続けてください」

東京の大学を卒業した庭瀬さんは、森田教授に誘われて九州大学大学院に進学した。「言葉では説明できないほど、科学が楽しい」と目を輝かせる。

森田教授は言う。

「現在、元素は120種類もありません。それが一つ増えるということは、人類の知識が一つ増えるということ。それが基礎研究の意義なのです」

総長の声 President's voice

世界の大学トップ100を目指して

九州大学 久保千春総長

本学は、1911年に九州帝国大学として創立しました。2011年の創立百周年を機に、新たな百年に向けて、すべての分野において世界のトップ100大学に躍進する、「躍進百大」というスローガンを掲げ、「常に未来の課題に挑戦する活力に満ちた最高水準の研究教育拠点となる」ことを基本理念としています。

大学が担う役割には「教育」「研究」「社会貢献」の三つがあります。本学の教育の大きな特徴は、14年度から始まった基幹教育です。全学部の1年生が一緒に講義や課題解決型のグループワークを受け、高校までとは異なる大学での学び方を身につけます。自ら考えて学習するアクティブラーナーを育成する教育です。また、留学生も積極的に受け入れていて、現在は2097人ほど。国公立大学で2番目の多さです。

研究面では、エネルギー研究教育機構を立ち上げました。風力や水力、地熱といった自然エネルギーや、水素エネルギーなどに関する国内外の研究者が集まり、最先端の研究を活発に進めています。

もう一つ、本学を代表する研究に、福岡県久山町で61年から続けている疫学データがあります。人口8400人ほどの久山町の方々にご協力いただき、健康診断と病理解剖による死因検証を重ねてきました。脳卒中の研究から始まり、生活習慣病、がんと広がり、現在は認知症の研究に注目が集まっています。

ほかにも水素エネルギーや有機EL発光材料などの研究では産学官連携も進め、研究の成果が少しでも社会への貢献になるよう努力しています。

また、総合大学である本学は、文学部、教育学部、法学部、経済学部の文系4学部に、国立大学で唯一の芸術工学部も備えています。教育研究設備をより強化するため、箱崎から伊都の新キャンパスへの移転を進めています。青空と緑が広がる伊都キャンパスは、日本最大規模。ここから研究教育の成果を世界へ発信します。

予想を超えた時代を生き抜くための意識や精神を鍛える 2018年度に文理融合型の新学部が誕生

丸野俊一理事。21世紀プログラムや基幹教育の制度設計を担ってきた

「10年後、20年後の世界は、現代の予測を超えた未知の世界になっているかもしれない」。基幹教育院長である丸野俊一理事・副学長は、将来をこう予測する。時代に対応する人材育成のため、九州大学では2018年度を目標に、新学部の設置準備を進めている。丸野理事は「グローバル社会を見据えた、真の文理融合の学部」を目指すと言う。

具体的には、01年に始まった「21世紀プログラム」をより発展させていく予定だ。そもそも21世紀プログラムとは、学生が一つの学部に所属するのではなく、学部を横断し、自ら学びたい科目を選んでカリキュラムをつくるという取り組み。丸野理事は「学生のチャレンジ精神が育つという同プログラムの良さを生かしながら、さらに環境を整えたい」と、さまざまな分野の教員を新学部に集結させる計画だ。

新学部では、文学や理学といった従来の学問領域を融合させた、「人間・生命」「人と社会」「国家と地域」「地球・環境」という四つの専門エリアを設ける。入学した学生はメインで学ぶエリアを一つ、補足的に学ぶエリアを一つ、計2エリアを選ぶことができる。さらに卒業論文の指導時、学生にはメインに選んだエリアの教員だけでなく、副担当として他のエリアからも2人の教員がつく構想だ。このように複数のエリアの教員が学生と接することで、学生に多様な物の見方や考え方を提供できるようにする。

伊都キャンパス。現代的な学園都市だ

この専門エリアを縦軸とすると、横軸になるのが必須科目だ。学生は専門を問わず、「データサイエンス」「デザイン思考」「科学・哲学」「数学」「物理」「歴史」「倫理」といった必須科目を受け、問題を解くためのさまざまな方法論を学ぶ。さらに3カ月から1年の留学も課せられる。

「今後さらにグローバル化が進み、社会が抱える課題はより複雑に、多様に、重層的になっていくでしょう。そのような時代には、分野を超えて知や人の橋渡しができる『コミュニケーター』と、多様な知を融合して創出することができる『クリエイター』の能力を兼ね備えた人材が求められます。新学部では、従来のような既成学問ありきの深掘りではなく、社会の課題解決をベースに、必要な知識や方法論を学んでもらいます」

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