朝日新聞
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昨年の国公立の大学特集

都留文科大学 教員養成の伝統をグローバル人材の育成に 中央が伏見華奈さん。フィルムケースより大きなフラスコでも実験 都留文科大学 教員養成の伝統をグローバル人材の育成に

中央が伏見華奈さん。フィルムケースより大きなフラスコでも実験

Think Global, Act Local × Tsuru University

学生が計画を練り小学生に理科実験

学長補佐・中井均教授(初等教育学科)

「これから実験の流れを説明します」。緊張した面持ちで伏見華奈さん(初等教育学科4年)が話し始めた。小学4~6年の子どもたち20人が耳を傾ける。放課後、山梨県都留(つる)市にある市立谷村(やむら)第二小学校の理科室で始まった「谷二(やに)ラボ」でのひとコマだ。

理科が得意な小学校教員養成にも力を入れる都留文科大学。谷二ラボは、学生が同小学校の子どもたちと理科の実験をする活動で、2011年度から開催している。

初等教育学科の山森美穂准教授は活動の目的をこう話す。

「実際、子どもたちを相手に実験をするとなると、学生がものすごく真剣に取り組むんです。その意欲的な態度にとても意味があると思い、ゼミ生の有志と活動を始めました」

今回の実験テーマは「振ると色が変わる液体」。色の変化を楽しみながら酸化還元反応について学ぶことが目標だ。子どもたち一人ひとりに薬品を混ぜた水溶液を作ってもらい、そこに学生が異なる液体を加えると緑色に。しばらくすると赤色、黄色へと変化した。それを振ると、また赤色を経て緑色に。「不思議だよね。どうしてだと思う?」と、伏見さんたちが声を掛ける。子どもたちは、容器を振ったり止めたりして目を丸くしていた。

実験の計画を練り、準備をするのは学生たちだ。安全面を考慮しつつ、楽しいショーで終わらないものを提案する。今回は、はかりやスポイトといった実験器具に触れてもらうことも目的の一つ。水溶液を入れるためのフィルムケースを人数分用意したり、保護眼鏡やビニール手袋をそろえたり。

「準備がバタバタになってしまったのと、説明の言葉が多すぎたのが今回の反省点です」

と伏見さんは言う。学生は子どもたちと接しながら課題を見つけ、解決法を導き出していく。

不思議そうな表情の子どもに、学生が優しく教える

伏見さんが谷二ラボに参加した当初にぶつかった壁は「子どもたちに話を聞いてもらうことの難しさ」だった。そこで編み出した対処法は、「グループに分かれたなかで、それぞれ真剣に聞いてくれる子を見つける。その子を中心にグループ全体を盛り上げる」ことだった。今では、「教育実習の前に小学生と触れ合う機会が持てたので、とても勉強になった」と、谷二ラボの効果を実感している。

「子ども理解」を重視した教員養成を行う都留文科大学では、教員を目指す学生が市内の小中学校に学習支援員として入る学生アシスタント・ティーチャー(SAT)制度も充実している。教育の現場を日常的に体験できる学校版インターンで、教職を志望するほぼすべての学生が参加している。

学生は全国から集まり地域交流活動も盛ん

地域の人との関わりから生まれた空き家利用の
「つるまち図書館」。社会学科の学生が運営する

「地域との関わりも本学の非常に大きな特徴です」

と話すのは、初等教育学科の中井均教授。全国から集まった都留文科大学の学生は市民の約10分の1になるという。そんな大学都市・都留市との関係が教育を支えている。

谷二ラボのような地域との交流や連携活動を支援するのは、学内の地域交流研究センターだ。豊かな自然に囲まれた都留文科大学の環境を生かし、地域を「フィールド・ミュージアム」と捉えて、自然や暮らしの知恵を学ぶ取り組みなどを実施している。学生が地域の魅力や課題を見つけ、学び合う目的で制作している機関誌「フィールド・ノート」の制作もその一つ。企画から取材、執筆、編集まで学生主体で行い、年4回700部を発行。市民ら購読者に届けられている。ほかにも、近くの森に住むムササビの生態を観察・記録する「ムササビ・ライブカメラ事業」など多彩な活動を続けている。

こうした「自然」や「地域」に根差した理系の活動にも力を入れてきた都留文科大学。来年度は、これまで文学部だけだった学部を、学校教育学科と地域社会学科で編成する教養学部との二本柱に改編し、文学部の枠を超えた分野に踏み出す方針だ。

学校教育学科では、これまで切望されていた数学と理科の中学校教諭一種免許の取得が可能になる予定。それにより小学校から中学校までの主要5科目の教員養成が実現する。

地域社会学科では、従来の社会学科に「地域」というキーワードを加え、ワークショップやフィールドワーク、プロジェクト研究などの実践科目を強化する。理論と実践の双方を徹底的に学んでもらい、創造力のある人材の育成を目指していく。

President’s Voice 学長の声

理系教員養成も可能に。新年度から教養学部がスタート

福田誠治 学長

教員養成を中心とした大学として60年以上の歴史を持つ本学は、これまでの伝統にグローバリズムを重ねて、教育の質を上げることを目指しています。富士山麓の、人口約3万1千人の都留市にあり、全国各地から来た学生の多くが大学周辺に下宿をしています。勉強に集中できる環境で地域に根差した生活を送りながら、広い世界を視野に入れた教育を受けられるのが本学の特徴です。

国際的な教育プログラム「国際バカロレア」(IB)の認定校にもなり、IBに対応した教員養成を担うことになりました。今年4月に新設した国際教育学科では、ほとんどの科目でバイリンガル授業を実施し、2年次後期には全員が北欧3カ国へ交換留学に出かけます。デンマークの全教育大学と、スウェーデンのウプサラ大学とは既に交換留学協定を結んでおり、現場体験も含めて現地の教育を学ぶことが可能です。

さらに、来年4月には教養学部を開設。既存の初等教育学科と社会学科を改編し、ここに置きます。新たな「学校教育学科」では、小中一貫教育を担う教員養成となり、念願だった理科と数学の中学校教諭一種免許を取得できるようになる予定です。「地域社会学科」は、現在の2専攻を地域経営、公共政策、環境社会、教育文化の4コースに拡大します。世界規模で物事を考え、地に足をつけて行動する人材の育成に力を入れていきます。

また、既存の英文学科と比較文化学科はグローバル化が進む現代に合わせ、高い英語力を学べる教育を重視しています。今後は、日本やアジアの文化を英語で表現する力が重要になってくるでしょう。これは、日本の文学を学ぶ国文学科の学生にとっても同様です。

現在、卒業生の半数以上は企業に就職しています。実践力を培える本学の教育は、教員だけでなく企業人になっても有効です。将来は、国境を越えて働ける社会人になってほしいと考えています。

Student’s Voice

都留興譲館高校との高大接続連携事業に参加し、今年4月に入学

初等教育学科1年生 渡辺徹平さん

大学では空き時間にも友人と自主学習

昨年度から始まった、山梨県立都留興譲館高校と都留文科大学との高大接続連携事業に参加し、高校3年の時に大学の授業を毎週1コマ受けました。僕は小学生のころから教師を目指し、都留文科大学を志望していました。ひと足早く授業を体験できるうえに高校の単位にもなるので、応募しました。

授業は生徒3人と、科目ごとに替わる先生とのゼミ形式で、国語や数学、理科のほか、教育基礎などを教わりました。教わったことをその場で自分の言葉で説明するといった場面もあり、人に伝えることの難しさがわかり、とても勉強になりました。

入学前に約1年間授業を受けたことで志望大学をより明確に知ることができ、参加した意義がありました。

地域の子どもたちを支援する「あつまれ! つるっ子!」プロジェクトを立ち上げ

国文学科4年生 青野秀哉さん

地域の人と子どもたちに提供する食事の準備

「あつまれ! つるっ子!」プロジェクトは、毎週第3土曜日に地域の子どもが集まれる場所を作り、そこで勉強を教えたり、一緒に遊んだりする活動です。3年の秋に地域に貢献したいと思い、友人と立ち上げました。今では未就学児から中学生まで10人以上の子どもたちが来てくれます。先生や地域の人たち、JAなどから寄付金や食材を提供していただき、運営しています。都留文科大学は奉仕活動をする学生が多いので、協力を得やすい環境があったのが幸いでした。

僕はこの活動を通して、一人でできることは限られており、人と協力し合うことが大切だと学びました。それは大人でも子どもでも変わりません。教師を目指しているので、学校でこの経験を伝えていきたいと思っています。

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