朝日新聞
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昨年の国公立の大学特集

横浜国立大学 真のグローバル教育と文理融合改革が進行中 ワークショップ型のパラグアイ事情の授業。藤掛洋子教授(中央)の呼びかけに、学生がスペイン語でこたえる 横浜国立大学 真のグローバル教育と文理融合改革が進行中

Initiative for Global Arts & Sciences × YOKOHAMA National University

文理の垣根を越えたグローバル教育

「地域課題実習」の一つ「おおたクリエイティブタウン研究プロジェクト」。学生、先生、地域の人たちとの共同作業だ

今年4月、それまでの教育、経済、経営、理工の各学部を改編するとともに、「都市科学部」を新設して5学部体制となった横浜国立大学。語学力のみならず、異文化適応力や海外の知識を持った、教養あるグローバル人材を育てる教育を展開している。中村文彦理事はこう語る。

「本学は、これまでも理念の一つに国際性を掲げてきました。近代日本で初めて開港した横浜に立地し、もともとグローバル化への意識が高い大学という背景があるので、近年とくに英語による講義が増えています。例えば『YCCS特別プログラム』という、英語による授業のみの留学生対象プログラム。この授業は、留学生だけでなく日本人を含め全学部生が履修できるのです」

日本にいながら、さまざまな国の留学生と一緒に学べるのだ。さらに、と中村理事は続ける。

「経済学部・経営学部共同のプログラム『GBEEP』では英語による専門科目を一定単位修得することが必要です。また、理工学部では、『ROUTE』と呼ばれる制度に参加すると、優秀な学生は海外の理工系協定大学で研究することもできます。卒業後に大学院工学府に進学した場合は、2年間すべての講義が英語で行われます」

それに加え、異文化適応力の養成にも力を入れる。全学部生共通の科目「世界事情」では、経済成長が著しい中国、ブラジル、ベトナム、パラグアイなど八つの新興国や地域の社会、文化、宗教、商習慣について、現地語の基礎とともに学ぶ。また、留学とは別に国際協力に携わる実践的な海外派遣の機会もある。

「外国語でのコミュニケーションによる体験を成長の糧にしてほしいと考えています。国際協力の例では、ネパール地震の被災支援のため現地で調査をしたり、本学と覚書を結んでいるJICA(国際協力機構)を通じて、青年海外協力隊短期隊員としてトンガとキリバスの農村に生活改善指導に行ったりしています」

こうした実践的海外派遣によって海外で活躍できる人材を育てるのが、横浜国立大学が掲げる教育改革の一つの柱である「文理融合による実践的な学習」だ。一例として、文系理系を問わず全学部生と大学院生が参加できる「地域課題実習」がある。フィールドワークを通して、地域の人々とプロジェクトの成果を共有する。例えば東京・大田区の工場街をどう再生するかといった課題に対する解決策を探り、地域に提案していく、というものだ。

将来を見据えて成長著しい国で学ぶ

教育人間科学部4年生の大橋怜史さんは「来年3月まで9カ月間、JICA ボランティアでパラグアイに渡航します」と目を輝かせる

全学部生共通の科目「世界事情」の一つ、「パラグアイ事情」は、海外渡航を体験できる授業だ。講義を担当する藤掛洋子教授が説明する。

「パラグアイは昨年、日系人移住80周年を迎えた、実は日本にゆかりの深い国です。2010年にGDP年率約13%増という経済成長を遂げ、日本企業も多数進出しています。授業では、パラグアイの日系移民の歴史や経済成長モデル、発展とともに生じている格差やジェンダーの問題、そして若者たちの地域や国づくりへの取り組みなどを参加型で学びます」

パラグアイ事情で学んだ学生たちは、現地の公用語であるスペイン語とグアラニー語を習得した後、ショートビジットという制度を使い1カ月以上パラグアイの都市部・農村部で調査や国際協力の実践を行う。藤掛教授が続ける。

「国際協力について学び、現場で人々と最善のプランを計画、実行する経験を積むことで、多様な立場の人々を理解できるようになってほしい。それは国際協力だけでなく、どんな社会や企業でも役に立つはずです」

学部改編により、横浜国立大学はどうなっていくのか。今後の展望を中村理事はこう話す。

日本語に対応するスペイン語やグアラニー語をふせんに書きだしていく

「将来、世界で活躍する学生を応援できる仕掛けをつくっていきたい。文系の学生が理系の学生とぶつかりあいながら思考を深め、理系の学生が歴史や人類学を学びながら都市のことを考える都市科学部は、本学の核となっていくでしょう」

President’s Voice 学長の声

新興国や途上国に解決策を示せる学生を育てる

長谷部勇一 学長

21世紀に入り、世界経済の光と陰の部分が顕著に表れてきました。先進国から、中国をはじめとした新興国、途上国に経済成長の軸が移ってきている。一方で環境問題やテロ、地域紛争という社会課題が増大しています。そうした変化の激しいグローバル新時代に対応するためには、経済学、工学といった単独の分野で解決策を考えるのは難しい。そこで本学ではさまざまな分野で連携する「文理融合」の教育を進めています。人文系、社会系、理工系の分野が一つのキャンパスにあるという特色がここで生かせるのです。

その環境の中で、真のグローバル人材育成のためのメニューを体系的に用意しました。1年次から専門性を磨くと同時に、教養教育で異文化適応力を養成し、英語による講義科目を充実させています。さらに地域や世界をフィールドにするスタジオ科目、海外での英語研修、討論会、インターンシップなどで国際交流体験を積み、最終的には長期の交換留学を目指してほしい。専門性とともに対人コミュニケーション力や行動力を身につけることが、本学の実践的な人材育成です。

また、本学が立地する横浜は、国際都市でありながら少子高齢化などローカルな課題も抱えています。これらに対応するため、都市科学部を開設しました。人文社会、建築、土木、環境の専門領域からなる一つの分野として、新たに「都市科学」を提唱し、都市をさまざまな角度から捉え研究します。他学部の学生も対象とした「地域交流科目」では、地域活性化に取り組む課題演習もあります。こうした横浜、神奈川などへの取り組みから、海外の問題にも視野を広げてほしい。今後、世界の持続可能な発展を目指し、新興国や途上国に解決策を示すことが、大きな意義になるからです。ほかに、県立高校や本学附属中学校と連携し、課題解決を考える場も設けています。ローカルとグローバルをつないで考えられる̶̶そんな学生を育成したいと考えています。

Campus Topics

1. 理工学部の制度「iROUTE(アイルート)」で
世界トップクラス大学への派遣も

ROUTE の立ち上げで中心となった前川卓理工学部教授と研究室の学生。「ROUTE に参加して配属された学部4 年生の中には、修士2 年生と対等な実力を持った学生もいます」(前川教授)

「iROUTE」(international Research Opportunities for UndergraduaTEs)には、二つのプログラムがある。一つは、海外の大学から招聘された研究者の集中講義を受けられるプログラム。2015年度は、ミラノ工科大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の教授が講義を行い、最終日には学生の中から成績優秀者が選ばれた。もう一つは、指導教員の共同研究先である海外の大学で、短期間研究を体験できるというもの。海外の大学と共著論文を書くことにも挑戦できる。iROUTE に参加するためには、まず1年次から最先端の研究に参加できる制度「ROUTE(ルート)」に参加する必要がある。ここで、早い段階から研究の面白さを知ることができる。

2. 経済と経営両学部が相互乗り入れ世界で活躍するビジネス人材を育成「GBEEP(ジービープ)」

ダニエル・ヘラー教授とGBEEP に所属する1年生9人。この日は、外食産業の問題点と展望について発表し合った。発表は英語で行われることもある

今年4月に新設された、経済学部と経営学部共同の教育プログラム「Global Business and Economics Educational Program」(GBEEP)。世界で活躍するビジネスパーソンの育成が目標だ。経済学と経営学を相互に学ぶことができ、英語による専門科目(GBE)も受講する。経済学を主専攻とした場合は経営学が副専攻に、経営学を主専攻とした場合は経済学が副専攻になる。また、海外の協定大学への交換派遣留学などによる単位取得が必須。経営学部のダニエル・ヘラー教授は「GBE科目では留学生と一緒に授業を受けることもあります」と話す。ベトナムの大学の学生と相互に大学を訪問し、共通テーマについて発表し合う授業もある。

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