TOYOTA DOGサークル イヌと人とのカーライフを考える × sippo

AERA太田記者のおでかけコラム
愛犬と旅に出かける準備
〜しつけとマナー〜


 飼い犬と一緒に旅行に出かける。そんな朝は、いつもの家族旅行より少しあわただしい。

 エサは少し早めの時間にあげる。車酔いをしたらかわいそうだから。散歩はいつもより長めにする。渋滞にはまってしまった場合の備えだ。ウンチ袋やトイレシートは普段使っている量の倍くらい、荷物に詰めておいたほうがいいだろう。慣れない環境では、万が一の粗相もありうる。

 忘れてはいけないのは、お気に入りのおもちゃや毛布。これがないと、きっと不安な気持ちになる。休憩を予定している高速道路のサービスエリア(SA)にドッグランがあるのなら、ボールも必要かもしれない(おもちゃ禁止のドッグランもあるので、事前確認が必要)。アスファルトとは違う芝生の感触を楽しみながら、走り回る様子が目に浮かぶ。

 そう、犬との旅行には入念な準備が必要になる。でもそれがまた楽しい。飼い犬を車に乗せ、家を出発するとき、人間だけの旅行では味わえない期待感と心地いい緊張に包まれるのだ。ただ、準備が必要なのは出発の日の朝だけのことではない。飼い犬へのしつけや飼い主としてのマナー順守など日常的に心掛けていてこそ、旅行を楽しむことができる。

楽しい旅には飼い主の認識が大切


 飼い主がまず認識しておくべきは、日本で暮らす犬の多くが問題行動を起こしがちである、ということ。問題行動とは、見知らぬ人やほかの犬にほえかかったり、かみついたり、過剰におびえたりする行動だ。麻布大学獣医学部の菊水健史教授はこう指摘している。

「日本の犬は米国の犬と比べると、問題行動の出現頻度が4、5倍にものぼる」

 日本では子犬を、ペットショップで販売するために、生後56日に満たないタイミングで産まれた環境から引き離しているのがその原因だと見られている(欧米先進国では生後56日未満の子犬を産まれた環境から引き離すことが禁じられている)。

 事前に探しておいたドッグカフェに車を止め、一緒に休憩をする。ふと見つけた絶景ポイントで、犬と記念撮影をする。そして、静かな温泉宿で犬とともにくつろぐ――。人も犬も、そんなふうに旅を満喫するには、やはり日ごろから最低限のしつけをしておきたい。

 旅先で犬がほえたり、かんだりするのは、慣れない環境への不安や恐怖が原因の一つとして考えられる。それならば例えば、普段から近隣にあるいくつかのドッグカフェやドッグランに飼い犬を連れて行くようにしてはどうだろう。そこで、「飼い主のそばにいれば安心だ」「ちょっと離れてもすぐに戻ってきてくれる」とわからせてあげる。見知らぬ場所へ連れて行かれる不安や恐怖は、徐々にやわらぐはずだ。その時に、普段と違う犬用フードを注文してあげたり、いつもはできない遊びをしてあげたりすれば、犬も遠出を楽しみにするようになるかもしれない。もちろん、無駄ぼえやかみ癖があまりにひどい場合には、獣医師やドッグトレーナーに相談することをおすすめしたい。

 飼い主自身が普段からマナー順守を心掛けておくことも大切だ。観光名所でウンチを放置したり、ドッグカフェで人間用のイスに犬を乗せたり……。犬が苦手な人はもちろん、犬の飼い主ですら顔をしかめるそんな行為は、決して楽しい旅行に結びつかないことを知っておくべきだろう。

 ドイツでは、レストランに子どもが入れないことがあっても、犬が入れないことはほとんどない。空港内や駅の構内を犬と一緒に歩き、そのまま飛行機や電車に乗ることもできる。それは、犬のしつけと飼い主のマナー順守が徹底されているからこそ可能なのだ。日本でも、しつけやマナーがいまより向上していけば、そんな日が実現するかもしれない。

文:太田匡彦(おおた・まさひこ)
1976年東京都生まれ。2001年、朝日新聞社入社。経済部記者として流通業界などの取材を担当。07年からAERA編集部記者。著作に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日新聞出版)がある。

撮影:西巻平
撮影協力:新横浜公園ドッグラン

2014年1月11日掲載

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