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2012.2.1

上智で身につけたのは「人間力」。
すべての基本となる精神です。

藤巻 幸大 氏
株式会社シカタ 代表取締役プロデューサー・1982年 上智大学経済学部経営学科卒業

人生を変えた先生方との出会い。
人間を究める大切さを学びました。

僕は体育会のテニス部に所属していたせいもあり、恥ずかしながらちゃんと勉強したとは言えない大学生活を送りました。当時の経済学部経営学科には僕のように勉強以外のことに熱心な学生も多く、文学部の真面目で優秀な女子と自分たちを比べて、僕らとはデキが違うなあ、などと言っていたものです。

そんな中でも、強烈に印象に残っている授業や先生方との出会いがあります。まず、越前喜六先生。もう引退されてしまいましたが、カトリックの神父様でもあり、上智の名誉教授として教壇に立たれていた方です。先生の「人間学」の授業で学んだ「マズローの自己実現理論」には、大きな衝撃を受けました。人間は生理的な欲求から始まって、より高次元の欲求を満たそうとして行動する。最終的には自己実現を目指して成長していく、という理論ですが、その時の衝撃が自分の思いを何とかして実現させたい、という向上心になって、未だに僕の原動力になっています。

経営学の奥田健二先生の授業で学んだ「ホーソンの工場実験」にも、感銘を受けました。「結局のところ組織は人なんだ。人と人のつながりが仕事を動かしていくんだ」と感じたことは、その後の僕の仕事スタイルに大きく影響していると思います。

それから、フランス語の加藤恭子先生。弁論や日本文化についての著作も多く、今も講座を開いて教えていらっしゃいます。語学が不得手だった僕のような学生にとっても、「人間としてオープンであれ」という先生の教えや、真の国際人はどうあるべきかという観点での授業は非常に印象的でした。今も新聞や雑誌で僕の書いたものを読まれて、お手紙をくださることがあります。「あなたはちょっと変わった学生だったけれど、当時から何か光るものがあった」という言葉をいただいた時は、うれしかったですね。

上智は国際色豊かな大学ですが、僕自身は社会人になってからさまざまな国の人たちと仕事をするようになり、国際社会を実体験しました。その経験から感じたのは、日本はまだ中途半端な鎖国状態なのではないか、ということです。日本人はなかなか自分の言葉で話せないし、自分から行動することができない。ネゴシエーションも下手です。世界と仕事をする上で、学力よりも大切な人間力に欠けています。まず人間を知り、社会をフラットな視点で見る。やらなければならないことに気づいたら、自分で道を切り拓いていく。有り難いことに、僕はその力を上智で身につけることができたと感じています。

大学で学ぶべきなのは、精神論。
リーダーとしての素地を養ってほしい。

最近よく韓国の人たちと仕事をする機会があるのですが、彼らには日本の若い人と段違いの「頑張る力」があるようです。これは徴兵制の恩恵なのかもしれません。日本で若いうちに肉体と精神を鍛える機会を作るなら、「徴農制」などはどうでしょうか。僕のように、体育会でスポーツをやるのも良いと思います。この辺でいいや、と止まらずに、そこからもう一周走るために力を振り絞ることができるかどうか。この違いは、仕事でも大きな差を生むのです。

精神論と思われるかもしれませんが、大学では精神の教育こそ大切なのではないかと考えています。それは、リーダーとしての基本でもあります。行動と精神は切り離せないものだからです。精神が行動を生み、行動が思想を生みます。その思想がまた新しい行動を生み、行動が仲間を生むのです。自分の意思を持ち、仲間と本気・本音・本心で付き合い、腹を割って話す。自分で決断して自分から動き、何かあった時には自ら責任を取る。そんなリーダーとしてのプリンシプルを、大学時代にこそ養っておくべきではないでしょうか。また、嘘をつかずにどんな時も自分の良心に従って生きる、といった倫理感も、上智のキリスト教精神から改めて学ぶべきことだと思います。

一方で、大学にいる間に実社会で働く人たちから学ぶ機会を持つことも重要です。大学の経営学やマーケティングの授業は、基礎技術のようなもの。社会に出て経験を積み、失敗を繰り返し、苦労して初めてわかることが多いのです。上智でも社会人として実績のある方たちの講義が設けられていますが、そのチャンスを活かしてほしいと思います。

今の日本は、大企業がすべての時代ではありません。僕自身、大きな会社にいた頃は組織の歯車として動くだけの人たち、目が死んでいる人たちをたくさん見てきました。逆に、小さい企業でも夢を持っている人たちは皆いきいきと働いています。仕事が人を成長させると言いますが、若い人たちには学生の間から働くということに対して連続した思考を持ってほしい。そのために、僕も上智の卒業生として貢献したいと思います。

藤巻 幸大 (ふじまき ゆきお)
株式会社シカタ 代表取締役プロデューサー・1982年 上智大学経済学部経営学科卒業
伊勢丹にて数々の売り場をプロデュース、バーニーズでのバイヤーなどを経験。2003年福助株式会社代表取締役社長、2005年株式会社セブン&アイ生活デザイン研究所代表取締役、株式会社イトーヨーカ堂取締役執行役員衣料事業部長を歴任。現在では、「日本」にこだわったブランド作りに全国を行脚する一方、株式会社シカタ代表取締役、株式会社テトラスター代表取締役など、実業家として活躍している。