お金を呼ぶ教養塾

【第2回】お金に縁のある「教養人」は、徹底して資産額を重視する

経済評論家加谷 珪一

お金には、実は2つの種類があります。もちろんお金はお金ですから、どれも同じに見えるわけですが、現実には大きな違いがあるのです。賢くお金と付き合うためには、私たちはお金のあり方について、もっと真剣に考える必要があるでしょう。

読者の皆さんの多くは、会社から毎月給料をもらい、その中から食事代や家賃などを支払っていると思います。自営業の人は、毎月の定額ではないかもしれませんが、やはり一定期間にお金を受け取り、必要な支払いを済ませていることでしょう。このように、ある一定期間に受け取ったり、支払ったりするお金のことを、フローと呼びます。フローというのは「流れる」という意味です。まさに水が流れるように、お金が入ってきて、そして出て行きます。

一方、必要な支払いを済ませても、まだ余裕がある場合には、多くの人は貯金していると思います。フローの中で消費に回らずに蓄積されたものを、ストックと呼びます。日々の生活の中で出入りしているお金がフロー。貯まったお金がストックです。フローは常に動いていますが、ストックは動きません。

「なあんだ。給料と貯金の違いか」と思ったかもしれません。確かにその通りなのですが、お金というものをフロー中心で見るのか、ストック中心で見るのかで、世界はまるで違ってきます。そして、お金に縁のある「教養人」は、徹底してストックを重視するのです。

皆さんは「お金持ち」と聞くと、どのくらいの金額を想像するでしょうか。年収1000万円でしょうか、それとも5000万円でしょうか。いずれにせよ、ほとんどの人が年収を想像したのではないかと思います。この時、資産額が5000万円とか、資産額が10億円とイメージした人は少数派ではないかと思います。

もし、お金持ちと聞いて、資産額をイメージした読者の方がいるなら、あなたはすでに結構なお金の教養人です。

※写真はイメージです。

多くの人は、お金を年収、つまりフローとして理解してしまうので、お金持ちと聞くと、やはりフローである年収を先に思い浮かべてしまうのです。しかし、お金持ちにとってもっとも大切なのは、年収(フロー)ではなく資産額(ストック)。資産額を大きくすることを心がけた人だけが、お金に縁のある生活を送ることができます。

その理由は、貯金が多いと、イザという時の備えになるといった意味にとどまりません。まとまったお金があると、それを株式や不動産で運用することによって、収益を得ることができるからです。働いて得られる収入だけでなく、運用で得られる収入がプラスされてくるのです。

貯金が1億円あれば、3%で運用したと仮定すると、そこからの年収は300万円になります。300万円では贅沢はできませんが、生活できない金額ではありません。言い換えれば、1億円のストックがあれば、働かなくても毎年300万円をゲットし、生活ができるのです。富裕層の人はよく、「お金に働いてもらう」という表現をします。まさに、このようなことを指しています。

富裕層向けのマーケティングでは、資産額1億円以上を富裕層と定義しており、年収はあまり考慮に入れていません。その理由は、働かずに遊んで暮らせる金額が1億円以上だからです。よく雑誌などで、「目指せ資産1億円」などとタイトルが付けられていますが、これにはちゃんとした意味があったのです。

世の中には年収が1000万円以上もありながら、貯金がほとんどなく、常に自転車操業という人が少なくありません。まさにフロー重視型の典型といえます。お金をいくら稼いでいても、その分だけ使ってしまっては、いつまでも働き続けなければいけない悪循環から逃れられません。

もし、この人にストックを増やすという感覚があれば、多くのお金を貯金して、それを運用に回していたでしょう。老後を迎える頃には、運用資金だけで余裕ある生活ができるようになっていたかもしれません。残念ながら、ストック中心に考えるというお金の教養がなかったがために、この人の生活はずっと「自転車操業」になってしまうわけです。

本当にお金に縁のある生活を送ろうと思うのであれば、年収を過度に気にしていても意味がありません。最終的にどのくらいの資産を持つことができるのかで、人生の豊かさは決まってしまいます。こうした感覚を持って人生設計を作ることができるのかどうかが、教養人か凡人かの分かれ目となるのです。

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