お金を呼ぶ教養塾

【第7回】お金を遠ざける思考回路、お教えします

経済評論家加谷 珪一

お金に恵まれた生活を送れるかどうかは、物事に対する考え方や日々の行動によって大きく左右されます。お金と友達になりたければ、それ相応の考え方というものが必要になってくるのです。逆に、お金が離れていくばかりの人には、必ず原因があります。それを取り除かなければ、豊かな人生は送れません。

お金を自身から遠ざけてしまう思考回路のひとつに、「キーワード志向」というものがあります。

物事をキーワードで単純化するのは、非常に心地がよいものです。自分が何をすればよいのかハッキリ示された気がしますから、大きな安心材料にもなるでしょう。

キーワードを使って話をシンプルにする効果そのものは、否定しません。一方で、こうした手法には、落とし穴があるものです。キーワードで物事を考えるクセばかり身に付いていると、物事の本質を見失ってしまうのです。本質を理解できないことは、お金にとって大きなマイナスとなってしまいます。

キーワード志向の最大の欠点は、「なぜ」という感覚を失わせてしまうことです。

以前、「鈍感力」というキーワードが流行ったことがありました。大きな成果を出す人は、必ず他人から嫉まれたり、批判されたりするものです。そのような時、周囲の声に煩わされず、自らの道を追求できることは極めて重要な意味を持ちます。こうした能力があることを、「鈍感力」があると表現しているわけです。

鈍感力が重要であるというのは、まったくその通りだと思いますし、状況を的確に表したキーワードだと思います。しかし、このキーワードを無批判に受け入れることは、避けなければなりません。

このキーワードを聞いて、「そうだ。鈍感力を身につければよいのか」と思った人は、要注意です。キーワードで処理してしまった人の多くは、その後も鈍感力を身につけられていない可能性が高いでしょう。

自分が鈍感になれないことには、明確な理由があります。

※写真はイメージです。

日本はよく「ムラ社会」といわれます。表面的には近代的なビルが建ち、高速鉄道が走っていますが、前近代的な慣習があちこちに残っており、本当の意味での個人主義は確立していません。このような社会において周囲と異なる行動を取ることにはリスクを伴いますし、実際、大きな批判にさらされることもあります。

しかしながら、周囲の目を気にして、同じような行動ばかり取っていては、経済的に豊かになれるはずがありません。今日の飲み会への支出がムダだと感じたら、きっぱりと断る勇気がなければ、お金は出ていくばかりです。こうした周囲からの同調圧力を乗り越える力が、真の鈍感力ということになるのだと思います。

しかしながら、鈍感力というキーワードにしてしまうと、表現が柔らかくなり、物事の真実を覆い隠してしまう危険性があります。

鈍感力を身につければよいのだと思ったことで満足してしまい、「周囲との軋轢を乗り越える」という本当の試練に到達せずに終わってしまうのです。厳しい言い方をすれば、行動を起こさない言い訳として、「鈍感力を身につける」というキーワードを使ってしまう可能性すらあるといってよいでしょう。

社員力、人間力といったキーワードも同じです。

社員力や人間力という力は、本当は存在しません。これらは皆、具体的なスキルや能力の組み合わせとして成立しています。人間力というものは、創造力、責任感、意欲、忍耐、思いやりといった複数の要素で構成されており、その集大成が人間力と考えるべきです。

人間力を高めるためには、結局のところ、これらの各スキルを地道に向上させていくしかありません。その苦労は並大抵のことではありませんし、こうした地道な努力の重要性は昔から説かれているものです。

ところが、「人間力を身につける」というキーワードで処理してしまうと、あたかも目新しい斬新な解決方法に思えてきます。そして先ほどの鈍感力と同じく、「人間力を身につければよいのか!」と考えて、それで満足してしまうのです。

お金に縁のある人は、決してこうしたキーワードで物事を考えません。なぜそうなっているのだろうと考え、どうすれば状況がよくなるのかを筋道立てて考えます。こうしたクセを付けることが、結果的にお金を自身に引き寄せてくるのです。

お金を呼ぶ教養塾

【第36回】世の中に「オイシイ話」は転がっているのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第35回】他人へのプレゼントにはお金をかけた方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第34回】豊かになりたければ「怒り」を否定してはいけない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第33回】会食にかかるお金についてどう考えるか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第32回】決断が速いことはなぜ重要なのか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第31回】お金のセンスをトレーニングするもっとも効率的な方法は?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第30回】お金と見た目の関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第29回】割り勘よりおごりの方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第28回】ありがとうと言える人はお金持ちになれるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第27回】高いモノは良いモノか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第26回】どんぶり勘定の方がお金持ちになりやすい?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第25回】お金はお金のあるところに寄ってくるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第24回】お金はまとまっていると意味がある

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第23回】自分の一生と冷静に向き合ってみよう

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第22回】お金持ちになれる趣味の持ち方とは

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第21回】お金は天下の回り物

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第20回】物事の是非と損得勘定をしっかり切り分ける

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第19回】相関関係と因果関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第18回】「そのうち」は永遠にやってこない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第17回】率と絶対値の違いをマスターする

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第16回】「数字」はお金の教養そのもの

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第15回】今現在、1年後、5年後、10年後を同時に考え、30年後は考えない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第14回】金利の意味を知ればお金が寄ってくる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第13回】お金持ちはお金持ちになってお金持ちになる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第12回】時間には値札が付いており、その値段は刻々と変わる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第11回】お金持ちほどお金を使わなくなる話のホント・ウソ

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第10回】消費してよいお金とダメなお金の違い

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第9回】学歴とお金は関係あるの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第8回】理解と共感の違いを理解できると、自身の経済力は飛躍的に高まる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第7回】お金を遠ざける思考回路、お教えします

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第6回】経済的自由を得ることの意味

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第5回】お金が貯まらないのは、承認欲求が強すぎるから

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第4回】幸せはお金で買えるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第3回】年収1000万円では「お金持ちの生活」を送れない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第2回】お金に縁のある「教養人」は、徹底して資産額を重視する

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第1回】お金に縁のある人は、常に相手の目線で物事を考える人

経済評論家加谷 珪一
  • 投資

あなたにおススメの記事

pagetop