お金を呼ぶ教養塾

【第8回】理解と共感の違いを理解できると、自身の経済力は飛躍的に高まる

経済評論家加谷 珪一

共感することと理解することは、似ているようですが、まったく異なる考え方です。お金持の教養を身につけようと思うなら、この二つはしっかりと区別しなければなりません。

日本は、論理よりも情緒が優先されがちな社会です。このため、言葉でコミュニケーションするのではなく、感覚でコミュニケーションするケースがよく見られます。しかし、お金というのは非常に合理的な存在ですから、お金に関するコミュニケーションは言葉で行うことが重要です。

ビジネスをスムーズに行うためには、相手をよく理解しなければなりません。それは社内の同僚であっても、取引先であっても同じことです。しかしながら、多くの人は、相手を理解すること=共感すること、だと考えがちです。その結果、相手を理解するためには共感が必要であると勘違いしてしまいます。

しかし、人間というものは、どんな相手にも共感できる生き物ではありません。共感できない相手が周囲にたくさんいるのは、むしろ当たり前のことなのです。共感しなければ仕事にならないということでは、仕事がうまく回るわけがありません。実は、かなりの人がこうした状況に陥っており、ビジネスの大きな障壁になっているのです。

相手を理解するにあたって、共感する必要はまったくありません。相手に対して共感していないどころか、反発していても、相手を理解することは可能です。

妻を殺し、完全犯罪を目論む資産家の婿を題材にした外国映画がありました。主人公の弁護士はこの婿の弁護を買って出て、法律の知識を駆使し、無罪を勝ち取ります。裁判が終わって礼を言おうとした婿に対して、弁護士が「あなたは無罪だが、人としては最低だ」と言い放つシーンがあります。

※写真はイメージです。

この弁護士は、妻を殺し、その財産を丸ごと奪ったこの婿を、人間として心の底から軽蔑しています。一方で、その婿のことは100%理解しています。そうでなければ、完璧な弁護はできないからです。この映画が教えてくれていることは、完璧な理解のために共感は必要ないということです。

ビジネスというものは、顧客から強い支持を得られなければ、利益を上げることも継続することもできません。しかしながら、顧客から強い支持を得られることと、顧客の共感を呼ぶことは、また別の問題です。

本当に儲かるビジネスというものは、顧客から共感を得てそうなっているわけではありません。顧客から確固たる支持を得るためには、顧客から共感を得るのではなく、顧客に「メリット」を提供できなければダメなのです。

ユニクロやイオンモールは非常に画一的で、これらの商品やサービスに対して共感を示さない人はたくさんいます。しかし、ユニクロやイオンモールに共感していない人の多くが、現実にはユニクロを着て、イオンモールに通っています。
相手から共感されることばかり考えてしまう人は、相手のメリットではなく、共感ばかりを考えてしまい、結局は相手が望むものを提供できない状況に陥ってしまうのです。ユニクロやイオンが成功できているのは、共感ではなくメリットをとことん追求した結果です。

あるビジネスがうまくいくのかどうかをチェックするには、以下の2つを問いかけてみれば良いでしょう。ひとつは「その商品やサービスは、絶対になくてはならないものなのか?」。もう一つは「その商品やサービスは、絶対に欲しいものなのか?」という問いです。実は、これらは顧客が得られるメリットのことを指しています。

一方、「こんな商品があったらいいね!」という場合は、ある程度の販売にはつながるかもしれませんが、大きなビジネスにはならないことがほとんどです。「あったらいいね」は、基本的に共感がベースになっていることが多いのです。

こうした考え方を、仕事の中でしっかりと実践していくことができれば、仕事の成果は飛躍的に高まるはずです。あなたの給料にすぐに反映されるわけではありませんが、あなた自身の経済力を確実にアップさせていくことでしょう。

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