世界的な景気拡大の恩恵を受ける

アジアのこれから(前編)各国経済の現状

三菱UFJ国際投信

世界景気の拡大によって恩恵を受けるアジア諸国。政治・経済・マーケットはこの先どうなっていくのでしょうか。各国の現状と今後の見通しについて、三菱UFJ国際投信・戦略運用部の入村隆秀・経済調査室長に話を伺いました。今回はその前編です。

中国経済は予想以上の伸びも

中国の2017年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.9%と予想以上に景気が上振れし、7年ぶりに前年実績を超えました。2018年の政府目標は6.5%と抑えめですが、1、2月の鉱工業生産や都市部の投資などを見る限り、今年も目標を小幅に上回るのではないかと考えます。

世界的な貿易量の伸びにともない電気機器や自動車の輸出が好調で、輸出企業の業績も堅調です。家計消費も強く、サービス業も底堅く伸びています。こうした動きが、環境規制の強化などによる下押し圧力を相殺し、景気を押し上げています。

また、この2、3年で石炭・鉄鋼業などで過剰設備の削減が進みました。習近平国家主席の指名した地方の幹部も増え、中央政府の政策が地方で忠実に実行された結果でしょう。過剰設備が削減されデフレからの脱却に成功したため、企業業績も改善しています。こうした中で、今後も、しばらくは過剰設備の削減の流れが続くとみています。

配車サービスが発展するインドネシア

インドネシアは、2030年ごろまで生産年齢人口の上昇が続くいわゆる「人口ボーナス期」に入っています。労働力が増加し、消費も活発になり、経済成長を押し上げています。また、2014年に就任したジョコ大統領が、財政を圧迫していた燃料補助金などを削減し、インフラ投資など中長期の成長力を高めるための歳出を増やす財政構造改革を行いました。この結果、一次産品価格が上昇する局面でも財政赤字や経常赤字が拡大しづらくなるなど、経済の安定性が増しています。補助金の削減の影響などから足元の家計消費は少し勢いに欠けるものの、インフラ投資の成果としてこの先、経済の成長力が増していくことが期待されます。

先日、ジャカルタに出張したのですが、バイクタクシーの配車サービスが急成長している印象を受けました。アメリカ発のUber(ウーバー)に加えて、シンガポールが本社のGrab(グラブ)、地元企業Go-jek(ゴジェック)などが2017年だけでも数十万人単位でドライバーを雇って、激しい顧客獲得合戦を繰り広げているそうです。スマホを使って現在位置を知らせると、簡単にバイクタクシーを呼ぶことができます。ジャカルタは来年開業予定の地下鉄が建設中で、市内の渋滞は相変わらずひどいため、非常に人気のサービスだそうです。

インドネシア・ジャカルタ市内

回復基調にあるタイ経済

しばらく成長が滞っていたタイ経済ですが、ようやく昨年後半くらいから景気が加速してきました。輸出競争力が高く、世界経済の成長による貿易量増加の恩恵を受けやすいためです。輸出のための増産で設備稼働率も上がり、これまで低迷していた企業の設備投資も回復しつつあります。現在、地形的に洪水の被害を受けづらい東部臨海地域(チャチェンサオ、チョンブリ、ラヨン3県)へのインフラ投資計画が進行中で、空港や港湾などとの接続が進みつつあります。

タイは東南アジア諸国の中では高齢化のスピードが速いグループに入るので、労働集約的な生産拠点としては競争力があまりなくなってきています。政府としてはその部分はカンボジア・ラオス・ミャンマーなどインドシナ諸国に移して、自分たちは付加価値の高い産業に転換していこうと考えているようです。タイの企業や銀行などが積極的に進出していますし、国境沿いでの人・モノの動きも活発になっています。

キャッシュレス化が進むインド

2017年前半のインド経済は、景気の冷え込みが目立ちました。第1四半期は、2016年11月に行われた高額紙幣廃止の影響で経済が混乱し、消費などが停滞しました。第2四半期は、GSTと呼ばれる物品サービス税の導入を7月に控える中で企業が在庫の圧縮を急ぎ生産が滞りました。昨年後半、10月くらいからやっと景気が持ち直してきて、現在は着実に回復が進んでいます。

高額紙幣の廃止は、建前上、脱税や密輸など闇資金の追放が目的でした。高額紙幣を持っている人は期限までに銀行に預けて、身分証や所得証明を出してくださいという内容です。しかしたくさんの抜け道があったようで、中央銀行の報告書によると、ほぼ100%の旧紙幣が銀行に集まってしまいました。

闇資金の完全な追放はできませんでしたが、お金の流れがガラス張りになったことは評価できると思います。さらに思いもよらなかった効果として、キャッシュレス化が半ば強制的に進んだことが挙げられます。これまで圧倒的な現金社会だったインドにとって、携帯電話などを使った電子決済が進むことは画期的なことだと思います。

ここまでの前編では、アジア各国の現状について話を聞きました。後編では、為替や金利、2018年のトピックスなどを伺います。

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