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アジアのこれから(後編)今年以降の見通し

三菱UFJ国際投信

成長を続ける中国、インド、インドネシアなどアジア諸国は、今後どのように変化していくのでしょうか。各国の2018年のトピックスについて、三菱UFJ国際投信・戦略運用部の入村隆秀・経済調査室長に話を伺いました。今回はその後編です。

経常黒字国が多いアジアの強み

2017年はほとんどの新興国通貨にとって非常に良い年でした。米ドル安、つまり新興国通貨高が進んだからです。アメリカの景気が良くなって失業率が下がっているのに、賃金はあがらず長期金利もあがらない。新興国にとっては居心地のいい状態でした。

今年に入ってアメリカの長期金利が上昇してきました。このことは新興国にとって逆風だと思います。一方、金利が上がっている割にはドルが上がっていない。これは逆に順風かもしれません。昨年は順風しかありませんでしたが、今年は両方ある。ボラティリティ(価格変動の大きさ)も、おそらく今年のほうが高まると思います。

そうなると新興国の中でも比較的強いのはアジアの通貨だと思います。経常黒字国が多く、海外のお金にあまり頼っていないからです。典型的なのはタイです。タイバーツは2017年初から2018年3月下旬にかけて対米ドルで15%近く上がっていますが、経常黒字が拡大していることが背景です。モノを生産して輸出する力が強いですし、海外からの観光客、特に中国からの客が増えて観光関連の外貨収入を押上げています。またマレーシアも好調です。一次産品の価格上昇と工業製品輸出量の伸びによって経常収支が改善しています。

選挙が続くこれからをどう見るか

今年から来年にかけて、マレーシア、タイ、インド、インドネシアで選挙が控えています。

まずマレーシアですが、5年に1度の総選挙が今年あります。8月24日に下院議員が任期満了を迎えますが、早期解散に伴う4、5月ごろの選挙が見込まれています。現職のナジブ首相率いる与党連合・国民戦線と野党連合・希望同盟との戦いですが、野党連合から離脱した汎マレーシア・イスラム党(PAS)も参戦します。現政権が農村部や低所得層に手厚い財政支援を行って支持を集めていること、野党が分断されていることなどから、現状では与党が有利と言われています。建国以来、与党が選挙で敗れたことはないのですが、野党連合の首相候補にマハティール元首相がいることが注目されています。

タイ・バンコク市内

タイは現在プラユット首相による暫定的な軍事政権の下にありますが、民政移管の総選挙が予定されています。当初は2018年11月と言われていましたが、暫定的な国会にあたる国民立法議会が選挙の施行日を遅らせる法案を決めたこともあり、早くても2019年2月ごろではないかと予想されています。プラユット首相は自分が選挙に勝てる時期を待っており、この先も選挙時期の先延ばしがあるかもしれないとの見方も絶えません。

インドネシアも2019年に大統領選挙と議会の総選挙がありますし、今年は州知事選を含む大規模な首長選挙があります。ジョコ大統領の支持率は50%をやや上回るくらいで、トップではあるものの圧倒的に人気でもない状況です。今年は再選へ向けた正念場と言えると思います。

インドも2019年に総選挙があります。5月が下院議員の任期となり、4月ごろから全土で選挙が始まります。2014年の政権誕生以降、モディ首相はマクロ経済の安定を重要視し、農村部への現金給付や農作物の買取り保証価格の伸びを抑えることで、食品物価の上昇を抑制しました。その結果、物価は沈静化し財政健全化が進んでインド経済は安定化したのですが、農作物価格の低迷などのために農村部の暮らしはあまり良くなっていません。首相のおひざ元のグジャラート州で昨年12月にあった州議会選挙では、与党・インド人民党(BJP)の政権が再選されたものの、農村部での得票率が低迷したとのこと。2月に公表された来年度予算案では農作物の買取価格の引上げなどの農村部の支援策が盛込まれたものの、モディ政権が年内の州議会選挙と2019年の総選挙で苦戦する可能性も否定できません。

エネルギーやインフラの今後

アジア全体を見ても、電気自動車の普及や再生可能エネルギーの使用などで、いわゆる従来型のエネルギーへの依存を減らす方向に進むと思います。ただ、あくまで中長期の話であって、短期的には経済発展が急速に進む中で、どうしても石油などに頼らざるを得ないと考えます。

またインターネットの環境整備がさらに進み、バイクタクシーのような新たなビジネスがどんどん発展していくのは間違いないと思います。インフラが発達して便利になることで、それに関連する新しい需要がさらに生まれる。国の経済発展を考えると、別に自国資本であろうと外資であろうと、新しいサービスで生活が豊かになって、経済の効率が増すのであれば、その国の成長率を引き上げます。それはどの国にとっても好ましい動きなのかなと思います。

アジアをひとくくりに見るのではなく、それぞれの国に落とし込んで細かく見ていくと、全体的な大きな流れや勢いをしっかりとつかめるのではないかと思っています。

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